市川猿之助がルフィに!?「スーパー歌舞伎」ワンピースも上演:日本をリブランディングする”サブカル×伝統芸能”の取り組み

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日本で古くから上演されている歌舞伎と、映画が公開されるなど人気なアニメ「ワンピース」がコラボしたスーパー歌舞伎が映画で上映されるなど、新しい歌舞伎の形が出てきています。

今回はこの「スーパー歌舞伎」と、同じく新しい形である「超歌舞伎」について紹介します。


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スーパー歌舞伎とは

2代目市川猿翁が始めた新しい歌舞伎の形であるスーパー歌舞伎とは、隈取りや見得といった歌舞伎ならではの演出、見せ場となる宙乗りや早替えがある一方でセリフは現代語で行われる新しい形態の歌舞伎のことです。

その初演は1986年の「ヤマトタケル」です。その後、「リュウオー」「オグリ」「新・三国志」などが上演されました。

志を受け継いだ4代目市川猿之助は、「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)」として人気アニメの「ワンピース」が上演したり、2020年夏には「ヤマトタケル」の再演も決定しています。


歌舞伎とは

2016年のニコニコ超会議にて上演した新作歌舞伎『今昔饗宴千本桜』を「超歌舞伎」としてネット配信したものが始まりです。

歌舞伎俳優とボーカロイドキャラクターなどの共演、NTTによる最新技術を駆使して、日本の伝統芸能、歌舞伎の形を新たに作り出しました。

『今昔饗宴千本桜』というこの演目は、歌舞伎の有名な演目『義経千本桜』から考えられた独自のものです。2018年の公演では、両面透過型多層空中像表示装置を使い、初音ミクが山車に乗って登場するというシーンもありました。

また2019年8月には南座開場記念「八月南座超歌舞伎」として初めて京都、南座という歌舞伎上演劇場にて上演されています。

会場の一体感を味わえる演出

歌舞伎の大きな特徴としてあげられることが、一体感です。この一体感を作るものとして、サイリウムと大向こうがあります。

通常の歌舞伎にはないサイリウムが採用されてます。このサイリウムは12色に発光し、税込3,500円(2019年11月時点)で購入する公式グッズです。これを振ることで演出に参加している、一体感を味わえます。

南座での上演では、南座オリジナルのサイリウムも販売されているようです。

大向こうとは、歌舞伎の見得や所作が決まった瞬間などに「成田屋!」など屋号を叫ぶことです。元は、芝居小屋の後方、舞台から最も遠い安価な席にたびたび通ってくる見巧者の客のことをさしていましたが、この人たちが主に掛け声をかけているため、掛け声自体を「大向こう」というようになりました。

タイミングがずれるとセリフと被ってしまったり、周りの人の迷惑になってしまうため難しい大向こうですが、超歌舞伎では気軽に大向うを言って楽しみます。中村獅童の「萬屋」、初音ミクの「初音屋」、NTTの「電話屋」という屋号だけでなく、「待ってました」など様々な掛け声をかけます。気軽にとはいうものの、慣れていないと難しいと考える人も少なくないようです。

サブカルチャーのコンテンツ力とは

ここまで新しい歌舞伎の形である「スーパー歌舞伎」と「超歌舞伎」を紹介してきました。超歌舞伎でも「初音ミク」が出演しているように、日本のサブカルチャーは国内外で高い評価がされています。

そもそもサブカルチャーとは、少数派に支持される文化のことで、日本ではアニメ、漫画、ゲーム、SF、オカルト、テーマ喫茶などがこれに当たります。

聖地巡礼

『君の名は。』や『ラブライブ!』はじめ、作品の舞台となったスポットを巡る観光「聖地巡礼」が盛んです。こうした「巡礼」スポットの多さからも、日本のサブカルチャーの力がわかります。

例えば、『スラムダンク』のアニメは中国や台湾で広く人気を博しています。この影響で、アニメの舞台とされる鎌倉高校前の踏切は、5年ほど前より中国や台湾からの観光客が増加しており、もはや観光客を見ない日はありません。また同じくアニメ『氷菓』の舞台となった飛騨高山にもファンが訪れています。

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2019年4月、鎌倉市は混雑する観光地での食べ歩きや、危険な場所での撮影などを「迷惑行為」とし、観光客のマナー向上を狙いとする新たな条例を定めました。中国人や台湾人に人気の漫画の聖地で写真撮影の自粛要請が出たことで、現地メディアでも大きく取り上げられています。 年間2,000万人以上の観光客が訪れる鎌倉で、訪日客が急増した背景と観光地の現状、そして訪日客のマナー対策について、今回の条例施行を参...

歌舞伎×インバウンド、すすむ対策と今後の見通しは?

日本の伝統芸能の一大コンテンツである歌舞伎インバウンドに関する情報を紹介します。

1. Webサイトの多言語対応

外国人が歌舞伎について知ったり、チケットを購入できる松竹のWebサイトが英語で展開されています。

演目の説明や出演者も記載されているので外国人が公演に興味を持つきっかけとなります。

チケット購入画面も多言語に対応しているため、購入者がストレスなくチケットを購入できます。

2. 英語のイヤホンガイド

新橋演舞場および国立劇場で行われる歌舞伎公演では、英語のイヤホンガイドがあります。

歌舞伎座では「字幕ガイド」というタブレット版のものがあります。これではセリフや義太夫の唄、解説を簡潔な英語で表示しているものです。一幕見席でも利用できるようになりました。

3. 歌舞伎座が海外通販モールにオフィシャルショップオープン

歌舞伎座ならではの幕乃内弁当の製造や販売、歌舞伎座オリジナルグッズなどの販売、伝統の歌舞伎座の味が楽しめるレストランおよびケータリングサービスの営業などが行われています。

世界135ヵ国への発送実績を誇る「ZENMARKETPLACE」に出店することで海外からの観光客を獲得したい考えです。

狙いはインバウンド 歌舞伎座が海外通販モールにオフィシャルショップオープン

目次世界中に歌舞伎の魅力を発信歌舞伎座オリジナル商品を販売世界中に歌舞伎の魅力を発信歌舞伎座サービス株式会社は、海外通販モール「ZENMARKETPLACE」にオフィシャルショップをオープンしました。同社は、歌舞伎座ならではの幕乃内弁当の製造や販売を始め、伝統の歌舞伎座の味が楽しめるレストランおよびケータリングサービスの営業を行うほか、歌舞伎座オリジナルのグッズなどの販売を実施しています。海外通販モール「ZENMARKETPLACE」一方、「ZENMARKETPLACE」は、ゼンマーケット...

4. ナイトタイムエコノミー

このように歌舞伎でも多言語対応が進んでいるため、歌舞伎ナイトタイムエコノミーへの仲間入りも考えられます。

平成28年の公益財団法人日本交通公社の調査によると、ナイトライフ体験に不満を持つ外国人が全体の7%と比較的目立つ結果となっています。

また「モノの消費」から「コトの消費」へと、旅行者のトレンドが変わってきているため日本の伝統芸能に触れるという「コト」になるため成長が見込めると考えられます。

サブカルチャーと伝統芸能の融合や、伝統芸能におけるインバウンド対策の進展は、外国人観光客だけでなく、同時に日本の若い世代へのアプローチにつながる側面もあるでしょう。

「スーパー歌舞伎」や「超歌舞伎」のように、古くから続く芸能の真髄は保持しながら新たな文化と掛け合わせていく取り組みが、今後増えていくかもしれません。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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