2019年11月8日から公開が始まった『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、SNSなどでじわじわと話題を集めました。
中国でもすみっコぐらしは大変人気で、ファンから映画への注目が集まっています。大人にも受けるその魅力は、日本のサブカルが大人気の中国でも通用するようです。
映画の人気と中国での反応を探りました。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
子供向けキャラクター「すみっコぐらし」7周年
すみっコぐらしは、「リラックマ」や「たれぱんだ」で知られるサンエックスのキャラクターです。2012年にデビューし、今年で誕生7周年となります。
メインキャラクターは5匹の丸い生き物で、パステルカラーの体をしています。自分に自信がなかったり、コンプレックスがあったり、隠し事があるといった影の面をもちあわせているのが特徴です。
メインキャラクター以外にも細かいキャラクター設定のサブキャラクターが存在します。シーズンごとに新しいテーマで展開されるグッズには、異なる性格の生き物が互いに関心を持ちながら生活するさまが読み取れるデザインも多くなっています。単なる表面上の可愛さにとどまらない魅力に、長きにわたりファンとなる場合が少なくないようです。
映画「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」の魅力は?
封切りされた当日、都内劇場では大人のための上映回と銘打って19時台の上映も予定されていました。キャラクターも来場するイベントも兼ねたこの回は、そうそうにチケットが売り切れており、子供だけではなく幅広い年代に愛される作品であることがうかがえます。
その後の集客も好調で、翌日の11月9日、10日の週末にかけて国内映画ランキングで動員数、興行成績ともに邦画1位を獲得しました。洋画も含めた動員数ランキングでは「ジョーカー」を上回る3位にランクインしたことも報じられています。
13日には男性限定の上映イベントも開催されています。日本の伝統的価値観では、男性はこれまで「強さ」を求められがちでした。すみっコぐらしのような優しい雰囲気をまとった作品を好む男性は、以前ならば「男性らしくない」というレッテルを貼られていたことでしょう。こうした男性に対し、世間の目を振り切ることではなく、人の目を気にしながらでも打ち解けられる相手を大切にすることを訴えているようなこの企画は、キャラクターの世界観を現実に呼び込んだ画期的な取り組みともいえるでしょう。
Twitter:「すみっコぐらし」男性限定上演イベントに関する投稿(https://twitter.com/ryu19_sfc/status/1194595214893056000)
映画化に際しては「その世界観が損なわれるのではないか」と懸念するファンもいたかもしれません。こうしたファンの不安をあっさりと吹き飛ばす完成度の高さも、今回の映画作品の高い評価につながっています。
作品は作者のよこみぞゆりさんの「キャラクターに声はつけたくない」というこだわりと、物語の自然な展開を両立するコンテンツとなっており、思いやりにあふれたキャラクターの世界観をそっくりそのまま映像化することに成功しています。
中国にも「すみっコぐらし」の魅力が伝わる
日本のキャラクターは古くから中国にもファンを作ってきました。すみっコぐらしも例外ではありません。
すでにWeiboにはすみっコぐらしの情報を配信するアカウントが非公式ですが存在しており、こうした発信に反応するファンは少なくありません。
こちらのアカウントでは「Twitter情報を転載する」としており、公式アカウントであるかどうかは明言されていません。
フォロワー数は1万を超えた程度で、Weiboのアカウントの中ではまだまだ成長途中と分類されそうですが、一日に1万ビュー以上を稼いでいること、また関連したコメントも活発につけられていることなどから、今後も関連情報の集約地となり、キャラクターのファンとの重要なコミュニケーションチャンネルとなることが考えられます。
またハッシュタグによりファンが最新情報や口コミをチェックしやすくなっています。
映画公開にファンは「中国では上映しないよね」がっかり
映画公開の情報には「本当に観たい、すごく観たい」「中国ではやらないよね‥」「映画チケットの前に飛行機のチケットが必要」「観たい(泣き顔)」といったコメントがついており、すぐに鑑賞できない悔しさが読みとれます。
サンエックスはWeChat公式アカウントも開設
すみっコぐらしを展開するサンエックスでは、WeChat公式アカウントを開設しています。
公式サイトでは日本語、英語、中国語を併記して公式アカウントの案内をしています。一見すると日本の公式サイトでの案内は不親切なようにも感じられますが、日本関連の商品のファンの中国人は、日本に住む中国人の友人や親族に情報を持っていないか呼びかけることも少なくないため、こうしたアプローチも間違いとは言えないでしょう。
実はWeChat公式アカウントは、Weiboと異なりフォロワー数が見えません。外から見ただけではどの程度のファンがこのアカウントの情報をキャッチできているかは判然としませんが、更新頻度にはサンエックスが本気で中国展開を検討していることがうかがえます。
中国では経済発展にともない、休日を返上してまで仕事に取り組むような人も少なくありません。日々の緊張を解きほぐしてくれるようなモチーフや人物を形容する「治癒系」という言葉もこの数年存在感を増しています。
こうした社会の中、かわいいだけでない、人間らしさすら感じる緻密な性格設定を背景にキャラクター同士の人物関係を描く「すみっコぐらし」が、癒しとともに中国人の心をさらっていくのかもしれません。
<参照>
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1218077.html
2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】
2024年も残りわずかとなりました。来年2025年は大阪・関西万博が開催されるほか、中国市場の回復などもあり、今年以上の盛り上がりが予想されています。2025年に向けて、訪日旅行者へ向けたマーケティング戦略を強化していきたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、株式会社movが毎月開催している「訪日ラボトレンドLIVE」をスペシャルver.としてお届け。今こそ知っておきたい「インバウンド×デジタルマーケティング戦略」を徹底解説します!
<本セミナーのポイント>
- 観光・インバウンドに詳しい専門家3名が登壇!
- 2025年に向けた「インバウンド×デジタルマーケティング」の戦略や施策について、「深掘り」した情報を「いち早く」「無料で」学べる!
-
質疑応答の時間もご用意。インバウンドに関する疑問・お悩みについて、専門家から直接「ヒント」を得られる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月後編】中国、タイの2025年祝日発表 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国、タイの2025年祝日発表 ほか:インバウンド情報まとめ【2024年11月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!