飛騨高山を訪れるイスラエル人、タブーは「星」と「ワーグナー」:2020年直行便就航、今後の注目市場

公開日:2019年11月21日

9月中旬、イスラエル・テルアビブからチャーター便が成田空港に到着しました。イスラエルから東京までの直行便が就航されたのは初めてのことで、2020年3月にはエルアル・イスラエル航空が「テルアビブ-成田線」の直行便を週3往復で開設する予定です。

地中海に面した謎の多き中東の国のイメージがあるイスラエルですが、実は日本と深い関係のある国でもあり、特に飛騨高山を訪れるイスラエル人は多くなっています。

今回は訪日イスラエル人を迎えるにあたり、知っておきたい知識をご紹介します。

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イスラエルはどんな国?

まずはイスラエルについて紹介します。

概要:位置や面積、国民について

中東イスラエルはエジプト、ヨルダン、シリア、レバノンに囲まれ、ガザ地区とヨルダン川西岸地区(パレスチナ自治政府国土)を国内に有する複雑な歴史を持つ国です。イスラエルの首都は「エルサレム」と「テルアビブ」の二つが知られていることからもわかります。(事実上はテルアビブと認識されています)

国土面積は日本の四国程度です。ヨルダンとの国境付近に世界的に有名な「死海(高濃度の塩湖)」があります。南北には車で9時間ほどで到着することができ、東西には1時間半ほどと細長い地形をしています。

イスラエルの人口は、2017年の世界銀行の統計では871万人です。東京都の人口が927.3万、ニューヨークが862.3万です。宗教は、ユダヤ教が約75%、イスラム教が約17.5%、キリスト教が約2%の比率となっています

経済:「中東のシリコンバレー」と呼ばれるその実力

主要産業は「鉱工業」と「農業」で、主要対日輸入は輸送機器(50.5%)や一般機械(14.2%)、主要対日輸出は電気機器(50.2%)や化学製品(12.0%)となっています。

2018年の名目GDP総額は約10億ドル、一人当たりの名目GDPは同年41,644ドルです。一人当たりの名目GDPでは、日本の39,304ドルよりも高くなっています。高付加価値を生み出している経済であることがわかります。

イスラエルは「中東のシリコンバレー」とも呼ばれており、マイクロソフトやインテルなどの世界的企業の開発拠点が存在します。近年ではベンチャー市場が盛り上がりを見せており、テクノロジーに見識のある方はこちらのイメージも強いのではないでしょうか。

以下のテクノロジーは実は「イスラエル発」の技術だそうです。

  • VR(バーチャルリアリティ)
  • Zip圧縮技術、CT診断装置(Fillip社)
  • インテルCPU
  • USBメモリ
  • 冠動脈ステント
  • カプセル内視鏡
  • ポータブル心臓超音波診断装置
  • ドローン
  • 金属探知機
  • 3Dプリンター
  • インスタントメッセンジャー(LINEのような技術)
  • レーシック
  • レーザー脱毛技術等

宗教による食の戒律、どのような特徴がある?

訪日イスラエル人を迎えるにあたり、まず気を付けたいのが食のルールです。

ユダヤ教の「食」カーシェール(カシュルートフード)について

国民の大半を占めるユダヤ教では、イスラム教の様に「不浄」な食べ物として認識されているものがいくつか存在します。

ユダヤ教では「豚肉」を食べることが許されておらず、更に「血液」の処理について厳格に決まりが作られています。それほど厳格でないユダヤ教徒であれば、牛肉や鶏肉、羊肉を食べる人もいますが、基本的にYES/NOの判断は「カシュルート」に従います。

もし「カーシェール(カシュルートフード)」に関して不明なことがあれば、お客様に提供する前に観光庁観光産業課資料にある関連団体に確認することが良いでしょう。

飲食店のための宗教別インバウンド対策・おもてなしポイント:ユダヤ教編

飲食店が訪日外国人観光客をおもてなしするためのインバウンド対策を考える際に、相手の立場に立つと 「食べることが出来ないもの」「食べてはいけないもの」「食べたくないもの」 でそのニーズを整理することが出来ます。特に世界の宗教の中には 「食べてはいけないもの」 を定めた宗教も数多く存在します。その中でも日本では馴染みが薄く、なんとなくキリスト教との関連があるらしい、程度に思われている ユダヤ教徒 の訪日外国人観光客向けインバウンド対策をする際に、飲食店が気をつけるべきポイントは何なのでしょうか...

▲[コーシャミールのロゴ]:コーシャジャパン株式会社HPより
▲[カーシェールのロゴ]:コーシャジャパン株式会社公式サイトより

イスラム教の「食」ハラールフードについて

イスラエル国民全体の約2割を占めるイスラム教徒に対しての食のタブーは何でしょうか。

広く認知は進んできていますが、イスラム教は宗教上「豚肉」を食べることを禁じられています。更にユダヤ教と同じように食材の処理に関して決まりが定まっており、食べられることが許される食材は「ハラールフード」と呼ばれます。

不明なことは、同じく観光庁観光産業課資料に掲載されているイスラム教に詳しい団体まで問い合わせするのが賢明でしょう。

飲食店のための宗教別インバウンド対策・おもてなしポイント:イスラム教編

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知っておくべき3つのこと

イスラエルではユダヤ教徒が多数派であり、イスラエルからの観光客を迎え入れるにあたっては、ユダヤ教徒の常識を把握しておくべきでしょう。

1. ユダヤ教における「安息日」

ユダヤ教には「安息日」という考えがあります。これは1週間の最後の日(土曜日)を休息の日とし、聖なる日として大切にされています。

安息日は、ユダヤ人の暦の中でもっとも聖なる日だと考えられています。それは、いろいろの祝祭日がありますが、十戒に書かれているのは安息日だけだからです。また、安息日違反にはもっとも厳しい罰則が書かれているからです。ヨム・キプール(贖罪日)は、それを守らない者は民の中から追放されるだけですが、安息日に働いた者は「必ず殺されるであろう」と規定されています(出エジプト記31:15、35:2)。正式なユダヤ暦では、1日は前日の日没から始まり当日の日没で終わります。特に、安息日の場合、時間の計算間違いを犯さないために用心をして、少し早目に安息日の行事(ろうそくを点すことなど)を始めます。(イスラエル・ユダヤ文化出版社ミルトスより抜粋)

厳格な信徒はその日は他の日と区別して過ごします。旅行はもちろん、料理を作ることや電気製品の使用すら行いません。お金を使うことも躊躇するそうです。

こうした知識は、今後イスラエルからの訪日客が増えるにしたがってインバウンド業界の常識となっていくことでしょう。

2. ユダヤ教における「イエローバッジ」

これは言わずと知れた、ナチス占領下で「ユダヤ人」である印として着用を強制されていたバッジです。識別するためのバッジデザインは多数存在しますが、主としてこのイエローバッジは未だに多くのユダヤ人の思い出したくない過去が連想される様です。

「イエロー」の「星」を連想させるアイテムは避けるのがベターです。

3. 法的拘束力はないが避けるべき「音楽」

反ユダヤ主義のドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner)の曲は多くのユダヤ人にとって心苦しい存在といえるでしょう。同氏の音楽は宗教徒を不快にさせることから、法的効力はないものの、公共放送局が自ら放送の自粛をする事態となっています。

2018年9月には、イスラエルの公共ラジオ局が同氏の曲を流し、謝罪した事件も起きています。

まとめ

イスラエルは日本から「15時間以上」のフライトの末たどり着くことができる、決して近いとはいえない国です。まだ他の国に比べ両国間での交流は盛んではなく、観光客として訪日するイスラエル人は日本で多くの新しい経験をすることでしょう。

そんな時にインバウンド担当者がイスラエルのことを知っていると何かとスムーズにコミュニケーションができるはずです。特に歴史的に複雑な経験の多いイスラエルには日本人には想像できないようなタブーも少なくありません。早めの学習で、世界のユダヤコミュニティで日本のイメージを高めることも期待できるでしょう。


<参照>

外務省:イスラエル国(State of Israel)基礎データ

JETRO:基礎的経済指標

AFPBB News:イスラエル公共ラジオ、「タブー」のワーグナーの曲放送し謝罪

幻冬舎 GOLD ONLINE:有名グローバル企業が「イスラエル」に研究開発拠点を置く理由

イスラエル・ユダヤ文化出版社ミルトス

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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