イスラエル人が岐阜高山を訪れる理由とは?訪日外国人数の大躍進を実現した市役所の取り組み

イスラエル人が岐阜高山を訪れる理由とは?訪日外国人数の大躍進を実現した市役所の取り組み

岐阜県高山市は今や"HIDA TAKAYAMA"として訪日外国人に人気の観光スポットですが、その裏には自治体による継続した取り組みがあります。

結果として、8年間で約6倍訪日外国人観光客が訪れるようになりました。2018年のインバウンドの宿泊者数も、過去最高の146万人を記録し、その伸び率では日本で1位となっています。

高山市役所は公式ホームページ等でインバウンド情報を幅広く情報提供しています。おすすめのイベント、グルメ情報等HIDA TAKAYAMAの魅力をあますことなく伝えようとする意気込みが高山市の姿勢として伝わってきます。

高山市はインバウンドへの取り組みとして市長自らトップセールスを行い、職員の海外派遣も予算内で積極的に行っています。このような市全体を挙げてのインバウンドへの取り組み姿勢が、多くの訪日外国人観光客を呼び込む結果に結びついています

今回は、岐阜県高山市のインバウンド市場に向けた取り組みを紹介します。


岐阜県高山市を訪れる訪日外国人が5年間で2倍に

高山市を訪れた訪日外国人は2014年からの5年間で約2倍に、2011年から数えると8年間で約6倍に増えています。2018年の岐阜県における外国人延べ宿泊者数は、前年比52%増で148万4,320人となっています。

地域別では、アジア圏からの訪日外国人が54%、ヨーロッパから18%、北米から6%、オセアニアから5%です。日本全体ではアジア圏からの訪日外国人が86.3%となっている中で、高山市は欧米豪からの訪日外国人が多いのが特徴です。

高山市はどんなところ?

高山市は岐阜県の北部の飛騨地方に位置します。2005年の町村合併によって9町村と合併して、日本で一番面積の広い市となりました。飛騨市や白川郷で有名な白川村と隣接しており、「飛騨高山」という名称でも知られています。

豪雪地帯としても有名で、3,000m級の山が連なる穂高連峰があります。全国で唯一現存している江戸時代の役所「高山陣屋」、江戸時代の建築が現存している「古い町並」が観光地として人気を集めています。

また、高山市は「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で三つ星の評価を獲得した観光地として世界的に有名な都市です。

高山市役所がインバウンド増加に成功した5つの取り組みとは?

高山市役所には観光に携わる課が2つあります。「商工観光部観光課」と「海外戦略部海外戦略課」です。

商工観光部観光課は、高山市の観光に関わる幅広い業務を行っています。高山市公式観光サイトの運営、各種観光パンフレットの作成・配布、市内でのイベント運営などがその例です。

海外戦略部海外戦略課は、インバウンドだけではなくアウトバウンドに関する業務も行います。例として観光マップの多言語化、海外のJNTO事務所への職員派遣、海外の旅行博で特産品の売り込みなどが挙げられます。

観光課と海外戦略課は市役所内で隣接して配置されており、連携を取りながら業務を推進しています。高山市はさまざまなインバウンドの取り組みを行っていますが、ここではその中の5つを紹介します。

高山市のインバウンドへの取り組みについて以下の記事にて紹介しています。

なぜ飛騨高山に外国人観光客が殺到するのか?背景にはインバウンド黎明期からの地道な努力があった…高山市の観光担当者が語る高山の底力とは

まだインバウンドということばが一般的でないころから訪日外国人をもてなす取り組みを続けてきた岐阜県高山市。今、その努力が花開き、多くの訪日外国人が高山を訪れています。高山市が行っているインバウンドの取り組みについて、高山市東京事務所所長代理の江尻英夫氏と海外戦略部海外戦略課の森由貴氏にお話を伺いました。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションを資料で詳しくみてみる「インバウンド動画プロモーション」を資料で詳しくみてみる「インフルエンサープロモ...

「何故訪日客は高山市に向かうのか」人口の5倍のインバウンドが殺到する岐阜県高山市 その背景にはいったい何が?

近年の日本国内の観光産業ではDMOを設立することによって 「稼げる観光地づくり」 が推進されています。日本国内ではすでに100を超えるDMOが存在しており、近年のインバウンド市場の好調ぶりから訪日外国人観光客誘致に乗り出すDMOも増加しています。こういったDMOでは、インバウンド誘致にどのような取り組みをしているのでしょうか。今回は、高山市ブランド・海外戦略部海外戦略課 の取り組みをご紹介します。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションの資...

1. 観光マップを11言語に対応

高山市は多言語対応を充実させています。高山市街地の観光スポットガイドの「飛騨高山 ぶらり散策マップ」を日本語・英語・中国繁体字・中国簡体字・韓国語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語・タイ語・ヘブライ語と11言語で作成しています。観光マップを11言語に対応させている自治体は、全国的に見ても他にないようです。

また各種の観光パンフレットを発行していて、こちらのパンフレットも対応している国によって内容をアレンジしています。

対応言語の中でも特にめずらしいのがヘブライ語です。ヘブライ語は、ユダヤ人が多く住むことで知られる中東の国・イスラエルで使われる言語です。

岐阜県には、ナチス・ドイツ時代にユダヤ難民向けにビザを発行したことで知られる外交官の杉原千畝にまつわる記念館があります。その記念館や杉原千畝にゆかりのある地、周辺の観光地をめぐる広域ルートを岐阜県では「杉原千畝ルート」と名づけており、そこに高山市も含まれています

杉原千畝に救われた当時のユダヤ人を祖先にもつイスラエル人が高山市を訪れるため、ヘブライ語にも対応しているということです。

2. 公式観光サイトを運営

高山市の公式サイトホームページでは、観光地の見どころやモデルコースを豊富に取り揃えてお役立ち情報を発信しています。

公式サイトも日本語・英語・中国繁体字・中国簡体字・韓国語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語・タイ語・ヘブライ語と11言語に対応しています。

3. 無料Wi-Fiの整備

高山市は街中に公衆無線LANを整備して、観光客が登録から7日間無料でインターネットに接続出来るサービスを行っています。観光客の利便性を図り、SNS等による高山市の魅力発信を促しています。

そして、利用に際してはアンケートに答えてもらい、ここで送信された訪日外国人の国や地域などの情報をもとにして動向を把握することで、インバウンド誘客活動に活かすようにしています。

4. 全国初:商店街単独の免税カウンターの設置

高山市の本町三丁目商店街では、官民が協力して消費税免税一括カウンターを設置しています。消費税免税カウンターを商店街単独で設置するのは全国初の取り組みです。

そして、訪日外国人観光客向けにどこに免税店があるのかを分かりやすく紹介している免税店マップも作成されていて訪日外国人観光客による市内での消費を活性化する仕組みが整っています。

5. アニメ『氷菓』聖地巡礼の促進

氷菓」(2012年)は、米澤穂信氏の原作の小説で、京都アニメーション(「涼宮」シリーズ、「けいおん!」を手がけるアニメスタジオ)制作の人気アニメです。ロケは大部分が米澤氏の出身地である高山市で行われました。

アニメ放送中からファンがロケ地をめぐる「聖地巡礼」をしに訪れており、高山市役所はそれを後押しすべく、京都アニメーションとともに『氷菓×飛騨高山 舞台探訪マップ』と称した聖地巡礼用のパンフレットを作成しました。市役所や図書館、モデルとなった喫茶店などで配布しています。

放送から7年経った現在でもそのロケ地としての人気は衰えず、日本アニメツーリズム協会による『2018年版 日本のアニメ聖地88』にも選ばれました。

高山市で訪日外国人に人気のあるスポット・ツアー

訪日外国人観光客の誘致に市政をあげて取り組んでいる高山市で、今人気が高まっている観光スポットやツアーにはどのようなものがあるのでしょうか?またどのような点に違いがあるのでしょうか?

1. トリップアドバイザーで人気のレストラン4位に:和洋小料理 さくら茶屋

和食小料理 さくら茶屋はトリップアドバイザーの「旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本のレストランランキング2018」で4位にランクインしている高山市のレストランです。人気の観光地「古い町並」から15分程の場所にあります。

オーナーシェフ自ら調理・接客を行い、気さくな人柄が人気の理由です。ベジタリアン料理や、卵や乳製品を含む動物性食品を一切口にしない完全菜食主義者のための「ヴィーガン料理」も提供しているのが特徴です。

2. 田園風景を見ながらサイクリング:SATOYAMA EXPERIENCE

SATOYAMA EXPERIENCE」は、スローペースのサイクリングで季節ごとの農村の美しさを体感しながら、経験豊かなガイドが飛騨高山の田園や里山を案内してくれるガイドツアーです。

日本人にとってはなんでもない日常の風景ですが、訪日外国人の目には田園風景や里山はめずらしく、魅力的に映るといいます。

"インバウンド先進地"高山市の事例を参考にインバウンド集客を

高山市のインバウンドへの取り組みは、市長自ら官民を挙げてのインバウンド受け入れ体制の構築を積極的に推進している点に強みがあります。市長及び職員が自ら海外に行き、高山市の魅力を広めています。

どこよりも早く訪日外国人の受け入れに目を向け、長い間地道に取り組みを続けてきたことがこうして形になっています。そんな"インバウンド先進地"ともいえる高山市の事例は、インバウンド受け入れを考える自治体にとって非常に参考になるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!