飛騨高山には外国人観光客が多く、定住人口の5.7倍の外国人が訪れています。なぜここまで多くの訪日外国人観光客が訪れるのか、それはまだインバウンドということばが一般的でないころから訪日外国人をもてなす取り組みを続けてきた岐阜県高山市の努力の結果でした。
今、その努力が花開き、多くの訪日外国人が高山を訪れています。高山市が行っているインバウンドの取り組みについて、高山市東京事務所所長代理の江尻英夫氏と海外戦略部海外戦略課の森由貴氏にお話を伺いました。
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高山市のインバウンド対策、30年以上前から多言語対応
高山市の国際化の取り組みのはじまりは、1960年のアメリカ・コロラド州デンバー市との姉妹都市提携に遡ります。また、1986年に国際観光モデル地区に指定、同年国際観光都市宣言がなされ、翌年には飛騨高山国際協会が設立されました。なお、英語のパンフレットは1985年より作成されています。
高山市の人口は減少。それ以上に訪日外国人が増加。
ここ10年間で高山市の人口は、約6,300人(6.7%)も減っており、2018年には高齢化率は31.9%になりました。この数字だけ見ると悲観的なのですが、訪日外国人が目に見えて増えています。
「何故訪日客は高山市に向かうのか」人口の5倍のインバウンドが殺到する岐阜県高山市 その背景にはいったい何が?
近年の日本国内の観光産業ではDMOを設立することによって 「稼げる観光地づくり」 が推進されています。日本国内ではすでに100を超えるDMOが存在しており、近年のインバウンド市場の好調ぶりから訪日外国人観光客誘致に乗り出すDMOも増加しています。こういったDMOでは、インバウンド誘致にどのような取り組みをしているのでしょうか。今回は、高山市ブランド・海外戦略部海外戦略課 の取り組みをご紹介します。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションの資...
2017年は宿泊ベースで51.3万人もの訪日外国人が高山を訪れています。これは定住人口8.9万人の5.7倍にあたります。台湾と香港からの訪日外国人で高山を訪れる訪日外国人の33%を占めますが、欧米豪からの訪日外国人も目立ちます。
海外でも活躍する高山市職員
高山市は海外に市職員を派遣し、情報収集および高山のPRをしています。
姉妹友好都市のアメリカ・デンバーの日本国総領事館、フランス・パリの日本政府観光局(JNTO)、香港のJNTOにそれぞれ1人が派遣され、領事館やJNTOの仕事を担いつつ、高山市のための活動も行っています。
また、国内でも観光庁、JNTO、JETRO、中部国際空港にも高山市の職員が派遣されています。今回お話を伺ったお二方も、香港とパリに、それぞれ駐在経験があります。
ここ10年で訪日客数が4倍以上増加 インバウンドで人気上昇中の観光地
岐阜県高山市は、1986年に国際観光都市宣言を行い、早くから多言語化などインバウンド対策に取り組んできました。高山市では「広域かつ多種多様なプレーヤーの連携の促進」を進め、訪日外国人が見たい、体験したいと考える「ありのままの日本」を観光に打ち出すことで、2016年には在住人口9万人の5倍以上となる46万人の外国人宿泊者数を達成 しています。最近ではアニメ映画「君の名は。」の聖地として有名になったことで、インバウンドでも追い風吹く高山市。同市に「最も近い国際空港」ということで、愛知県の中部国...
高山市公式観光サイトは11か国語対応
高山市公式観光サイトは、2018年4月にリニューアルを終えたばかりで、スマートフォンにも対応しています。当然のことながら、多国語対応。11か国語で高山の情報にアクセスできるようになっています。
また、該当サイトへのアクセスについても分析を欠かしません。言語別のページビューの割合は、英語は3.5割、中国語は3割となり、全体の2~4割が日本からのアクセスです。
東京から京都へ行く途中で高山に立ち寄られる方が多く、日本に入国してから「高山」を検索することが多いためだと思われます。
また、旅行の出発時には、高山訪問の予定はなかったものの、日本で高山の評判を聞いて訪問を決める訪日外国人も多くいます。
より満足度を高めるために訪日外国人にインタビュー
サイトの分析だけでなく、実際に高山を訪れた訪日外国人にインタビューをして、情報を集める取り組みを最近強化させました。。高山に何が不足しているかを調べ、より満足度を高めるには、通りいっぺんのアンケートではなく、対話をして答えを引き出さなければならないという考えによります。
JR高山駅周辺で、高山滞在を終えて次の出発地へ向かう際の待ち時間に、ここからどこへ向かうか、高山訪問をいつ決めたかなどといった質問をしてデータを集めています。なお、インタビューは、高山の地域通訳案内士が担当しています。
リピーターを呼び込むために新しい観光スポットの提案
高山は「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で三つ星で紹介されるなど観光地として世界的に知られるようになっています。高山を訪れる訪日外国人は、古い町並エリアを散策し、近隣の白川郷へ向かうという方が多いです。
あのミシュランが「観光スポット」を格付け!訪日外国人が日本観光で頼りにしているミシュラン・グリーンガイド・ジャポンをご存知ですか?
ミシュランのガイドブックと言えばホテル、レストランを格付けしたものが有名で、この星の数よってホテル、レストランの来客数が変わるほどの影響力を持っていることで知られています。さて、そんなミシュランのガイドブックに、ミシュラン・グリーンガイド と呼ばれるガイドブックがあることをご存じでしょうか? Googleマップによる集客、うまく活用できていますか?口コミサイトで、もっと集客できるようにするサ...
ですが、今まで通りの案内だけですと、観光地として飽きられるのではという危機感があります。そのため、新しい観光スポットの提案をしていく必要があります。
例えば、高山郊外の五色ヶ原では、ハイキングコースが整備されているので、こういったところをアピールするなどの施策が考えられています。
外国人のニーズを捉え受け入れ環境整備を
今回お話伺った江尻英夫氏と森由貴氏は、それぞれ香港とパリに駐在経験があります。香港、またフランスの人々からみた日本は、「憧れの国」「リスペクトする存在」だとお話くださいました。また、国民性により日本旅行で何をしたいかも異なります。高山市は、こういった訪日外国人のニーズをしっかりとらえています。
お二方は、高山市の職員ですので、当然高山のPRが仕事ではあるのですが、それよりも広い視点で日本全体のインバウンド市場を考えています。地道な努力を続ける高山には、インバウンド関係者が学ぶべきところが多くあるといえるでしょう。
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<参考>
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