インターネットの普及に伴い、安価で気楽な旅行を求める若者は航空券や宿泊などを個別に予約をすることが増えてきました。特に海外旅行の場合は、このような観光客をパッケージツアーと対比して、FIT(Foreign Independent Tour)と呼び、その数は年々増えてきています。
中国も例外ではありませんでしたが、近年、ジェネレーションZと呼ばれる90年代後半から2000年代に生まれた世代で、団体ツアー旅行を好んで選ぶ傾向がみられるそうです。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
従来の団体ツアーは「安心」だけど「退屈」
ツアー旅行といえば、かつてはツアーガイドの案内に従って有名観光地を回り、大人数で移動するものが定番でした。それぞれの観光地での時間も限られていました。
ツアーを利用すると安心できる反面、時間や訪問できる場所の制約が多くなってしまいます。定番とは違う旅行や自分の行きたいところだけに時間をかけたいという若者の需要にこたえるツアーは多くありませんでした。
自由度の高いツアー増加→ツアー客増
ツアーの場合、時間や行先などの制約はあれど、自分で日程を考えたり予約を取ったりという手間はかかりません。かつては、旅行会社が行程を決め、決められた通りに団体で行動するツアーがほとんどでしたが、最近では、自由度が高く、ニッチなニーズにも対応するユニークなツアーが増えてきました。これに伴い、今までの低価格な団体ツアーの人気は下がり、少々価格は高くても小規模のオーダーメイドができるツアーのニーズが高まってきました。
中国人観光客の訪日観光について
数年前まで、中国からのインバウンド客といえば「爆買い」のイメージでしたが、近年ではそれも落ち着いてきています。今の中国人訪日観光客は、何を求めて日本に観光に来るのでしょうか?中国マーケットでの訪日観光のポジション
中国の旅行市場において、訪日観光はその距離の近さもあって、まず行ってみたい海外であり、以前ほどの勢いはないとはいえ根強い人気があります。文化や食習慣が近いことや、治安の良さや清潔さも人気の理由で、今後もこの人気はしばらく続くとみられています。モノ消費からコト消費へ
日本への旅行の人気は変わりませんが、中国人観光客が訪日旅行に求めるものは少しずつ変化をしてきています。数年前の「爆買い」に見えるモノ消費は落ち着き、体験などのコト消費を求める層が増えてきました。特にジェネレーションZと呼ばれる若者層は、日本の“草食系”と似た意味合いを持つ“仏系”と呼ばれ、モノに対する執着が少なく、逆にアートや知識などにお金をかけています。
欧米豪観光客との違いは?
同じ「コト消費」を求める声が多いという意味では、中国も欧米豪からの観光客も同じですが、その「コト消費」に求めるものが少し異なるようです。欧米豪からの観光客は、日本文化を体験しながらゆっくりと時間を過ごすというニーズが大きくなっています。一方で、アジア圏からの観光客にも共通して言われることですが、中国からの観光客は、ガイドを付けて有名な観光地を効率よく回ったり、四季ごとに異なるイベントを楽しんだりと日本でしか味わえないアクティビティに魅力を感じているそうです。
中国人の若者に人気のツアー
では、中国のジェネレーションZに人気のツアーとはどのようなものなのでしょうか。 主に3つのタイプに分けられるようです。1. トレンドを網羅した贅沢ツアー
中国からの訪日観光客の特徴に、半分以上が初来日という点があります。このため、トレンドの観光地を効率よく回ることのできるツアーが人気です。中国の若者の間でもSNSが普及しています。富士山やカニ料理など、写真映えするスポットやアイテムをこうしたSNSで公開することも、日本旅行のだいご味の一つです。
しかし、こうした写真に収めたい一つ一つを自分で回ろうとすると、交通機関の利用や入場券の確保、営業時間の確認や飲食店の予約などかかる手間も少なくありません。旅行会社はこうした旅行者のニーズに合致したツアーを展開しています。
旅行者は個人旅行のように自分の希望をかなえられて、なおかつブッキングの大変さを負わずに済みます。
2. ニッチなニーズに対応する多様なツアー
インターネットの普及により、定番ではない様々な情報も手に入れることができる今、旅行客のニーズも多様化しています。アニメの聖地を訪問するツアーや特定のテーマに沿ったツアーなど、旅行の内容のニーズを満たすツアーだけでなく、朝の出発時間が遅いツアーや高級ホテルに泊まる豪華ツアーなど、滞在そのものを充実させるツアーも人気です。
3. モノより思い出が残る体験ツアー
夏のマリンスポーツや冬のウィンタースポーツ、トレッキングやパーティー、スポーツなど、ジェネレーションZに人気の「コト消費」をメインコンテンツとしたツアーも人気です。思い出は帰国した後も家族や知人とのコミュニケーションにも役立ち、その時、その場所でしか体験できないメニューは今後もますます人気になっていくと予想されます。便利さ&自由度の高さで人気復活
一度は若者が離れた団体ツアーですが、自由度の高さとニーズを満たすツアー設計により、再び人気が上がってきています。近年の中国の若者は、友人同士での旅行だけではなく、家族との旅行も若い世代が率先してツアーの申し込みをしているといいます。同行者との関係や、日本旅行に期待することを把握することが「選ばれるツアー」に近づくための第一歩になるでしょう。
合理的な判断を下す中国人は、便利で自分の需要を満たせるのであれば、個人旅行か団体旅行かといった形態は問わない場合も多いと考えられます。
同時に、有名観光地で、他人に自慢できるような体験をしたいという思いも強く持っています。サービスの差別化をこうした中国人旅行者の心理を踏まえて工夫することで、今後も団体ツアーマーケットを拡大していける可能性が広がっていると言えるでしょう。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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