中国の覇権着々と ECで世界をつなぐ「サイバー一帯一路」とは【週刊中国ニュース5選】

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訪日ラボ編集部が、中国現地ニュースから注目のトピックを紹介します。

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1. 「市民権」を獲得するバーチャルアイドルが、企業にとってリスクヘッジにもなる理由

キーワード:バーチャルアイドル、初音ミク

▲[バーチャルアイドル市場の盛り上がり]:媒介360 2019年11月29日
▲[バーチャルアイドル市場の盛り上がり]:媒介360 2019年11月29日

バーチャルアイドルは徐々に拡大し市民権を獲得しつつあります。各種VRやAR、モーションキャプチャーなどの技術の進化で、バーチャルアイドルのクオリティーも上がってきています。これにより、中国でもバーチャルアイドルには新たな活躍の場が増えてきているようです。

元祖バーチャルアイドルには「初音ミク」やVチューバーの「キズナアイ」がいます。旧来のアニメのキャラクタービジネスとは違い、イベント現場にキャラクターを登場させるためのハードルが下がっています。こうした特徴は、様々なビジネスとのコラボレーションの機会創出につながるでしょう。また、画面上の存在であるバーチャルアイドルは、リアルのタレントとことなり、スキャンダル発生による関連商品のイメージダウンといったリスクも回避できます。

日本のSK-Ⅱがバーチャルアイドルを使ったCMを打ち出していたことは、中国のメディアでも報じられています。バーチャルアイドルそのものへの関心も高い今、こうした機運を活かしたプロモーションはインバウンドの領域でも検討すべき手法かもしれません。

2. 来年度の新卒大学生の希望月収が判明!インターネット関連企業に人気集まる

キーワード:大学生、新卒、6月、就職、予算、福利厚生、住まい

▲[大学生の希望する月収(都市ランク別)]:中国新闻网 2019年11月25
▲[大学生の希望する月収(都市ランク別)]:中国新闻网 2019年11月25

求人情報も豊富なインターネットプラットフォーム「58同城」が、651の大学、20万強の大学生と2,500以上の事業所に対し、今年度卒業の大学生雇用希望調査を行いました(中国の卒業は6月)。

それによると、来年度卒業予定の大学生は平均して月収7,409元(約113,758.5円)を希望しており、インターネット関連の企業が人気の就職先として挙げられました。

調査結果には都市ランク別の希望月収も含まれています。北京や上海のような一級都市では8,151元(約125,151円)、続く杭州のような新一級都市では7,394元(113,528円)、二級都市で6,478元(約99,464円)、三級都市で5,696元(約87,456円)です。

また月収の他にもどのような福利厚生を希望しているかについても尋ねています。この結果によると、回答した大学生のうち87.42%が家賃の負担を、また同じく77.34%が医療保険の負担を希望していることがわかりました。

10代から20代向けのサービスや旅行プランを提供している場合には、こうしたデータは大変参考になるでしょう。 

3. 中国の覇権着々と?EC領域でも世界とつながる「サイバー一帯一路」

キーワード:EC、越境EC、ロシア、一対一路、ダブルイレブン、食品

▲[中国では様々な産地の商品が増えてきている]:イメージ
▲[中国では様々な産地の商品が増えてきている]:イメージ

中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」は、鉄道建設などの旧来のインフラ建設のみならず、通信基地局やネットインフラといったデジタル分野にも及びます。一対一路に関連して、11月29日から11月30日には中国商務部国際貿易経済協力研究院と福建省蒲田市人民政府の共催で「一帯一路、越境EC国際ハイレベルフォーラム」が開催されました。

中国はすでにロシア、カザフスタン、ハンガリー、オーストラリア、パナマ等22か国と越境ECに関する取り決めを定めており、それぞれの二か国間で越境Eコマースに関する組織を設立しています。

フォーラムではロシア企業を代表してセルゲイ・ドミトリエンコ氏が「ダブルイレブンはすでに中国のみのイベントではなく、グローバルなイベントと化した」と述べました。今年のダブルイレブンに関連したロシアとの取引総額は127億ルーブル(約216.65億円)に達したとの情報もあります。

こうした図式で、中国のデジタルエコノミーは引き続き世界の狭くない地域に拡大していくと考えられます。 これにより、各国や地域はより中国人にとって身近な存在となるでしょう。日本製品への信頼はなお大きい中国市場ですが、越境EC上、あるいは中国人にとっての海外旅行においては、様々な国や地域が競合となることをしっかりと意識していく必要があります。

4. 四川に地元の「酒」の名前を冠す新空港が誕生

キーワード:ネーミングライツ、地方空港、酒、ブランド

▲[空港はWeChat公式アカウントを開設、開業を知らせた]:新浪新闻中心 2019年11月27日
▲[空港はWeChat公式アカウントを開設、開業を知らせた]:新浪新闻中心 2019年11月27日

四川省南部の宜賓市に、12月5日、新たな民間空港「宜賓五粮液機場所」が開業しました。「五粮液」は四川省宜賓市の特産の白酒の名前です。伝統ある特産品で中国十大名酒の一つに数えられています。中国を代表する酒の名を冠した空港ということで、ネットでも話題に上っています。 

四川省と同じく中国西部に位置する貴州省には「遵義茅台(マオタイ)空港」と高級酒の一種であるマオタイ酒の名前を冠した空港も存在します。こちらも地元の特産のお酒で中国国内では非常に有名で、国内での認知拡大に一役買うことでしょう。

どちらも海外からの旅行者はまだ多くない地域と考えられますが、今後空路でこれらの地を訪れる外国人は、こうした中国の名産についても同時に理解を深めることになるでしょう。中国国内の地方空港の今後の成果に注目すると同時に、こうした取り組みをインバウンド領域に取り込む方策を検討してみても良いかもしれません。

またこれらの地域は、中国国内でも経済開発では後発の部類でもあり、今後の経済成長が期待できるとも考えられます。こうした地域が「酒」にこだわっていることは今後のインバウンド施策設計におけるヒントとして使えるかもしれません。

5. 肥満児童が増える中国「健康」で訴求が効果的?

キーワード:健康、児童肥満、ヘルスツーリズム

▲[肥満に伴う健康上のリスクを解説するイラスト]:腾讯大粤 2019年11月26日
▲[肥満に伴う健康上のリスクを解説するイラスト]:腾讯大粤 2019年11月26日

10月15日、ユニセフが児童の健康に関する国際レポートを発表し、日本の児童肥満率の低さや健康状況を高く評価しました。これを受けて、「隣国である中国はどうか?」という切り口で、中国国内のメディアが国内児童の健康状態について紹介しています。

今年の9月に発表された「中国婦女児童肥満コントロール委員会による調査報告」では、全国の6歳から17歳の肥満児童の数はここ10年で2倍にふくらんだと伝えています。数にして5,300万人の児童が肥満であると見られています。

児童肥満の要因は、高カロリーで栄養の偏った食事や運動不足がありますが、中国においては、座学での勉強重視やスポーツ関係の習いごとがあまり普及していないことがこうした状況を後押ししていると考えられます。

中華料理と異なり、油を使わないメニューも多い日本食には健康的なイメージを持っている中国人も少なくありません。今回のユニセフの調査報告は、健康領域に関心の高い中国人や子育て中の中国人の多くがチェックしたと考えられます。こうした人々の中で「日本=健康」のイメージはさらに強化されたはずです。

インバウンド領域でのグルメツアーやスタディーツアーといった体験型の滞在では、「健康」を前面に押し出した打ち出し方も積極的に取り入れていくべきでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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