なぜ中国人は「タイ旅行」に飽きたのか:インバウンド中国市場における日本の優位性とは?

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過去3年連続で中国人にもっとも人気の海外旅行先として選ばれてきたタイですが、2019年に入ってからタイを訪れる中国人観光客数に陰りが見えているそうです。

日本のインバウンド市場での中国人観光客の存在感はかなり大きく、無視できない事例です。今回は、タイにおける中国人観光客の減少の背景と現状をふまえ、日本が講じるべき対策について考えてみます。

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タイで中国人観光客が減少した背景

2017年と2018年、タイを訪れた外国人観光客数のうち、約3割が中国人観光客となっています。2018年にタイを訪れた中国人は1,000万人を突破しました。

順調に推移していくと思われた中国人観光客数ですが、2019年の1〜5月は前年同期のマイナス4.3%となるなど、減少傾向が見られています。

タイにおける中国人観光客減少のきっかけの1つとされているのが、2018年にプーケットで発生した船の転覆事故と言われています。中国人観光客の犠牲者が多数となった本事故ですが「暴風雨にもかかわらず警告を無視し催行したツアー会社の責任であり、超低価格のツアーはそもそも違法である」といったタイ副総理の発言が問題視されました。

また、中国で広く利用されている旅行系ブログサービスに「Mafengwo」があります。この中のコンテンツ等を確認すると、タイ旅行は海辺のリゾートや現地マーケットの散策等に重点が置かれていることがわかります。中国人の中でも旅行慣れした人々は、こうした雰囲気に飽きてきたということも考えられます。

特にタイ旅行は「安さ」が魅力の一つとなっており、潤沢な予算を持つ旅行者が増えるにしたがって相対的に人気が下がってくるということもありえるでしょう。

中国人が日本よりタイを旅行先にする5つの理由:日本がタイに学ぶべき「わかりやすい安心感」と「文化体験」

中国人のお正月本番、2019年の春節が終わりました。中国では近年、沿岸部だけでなく、内陸の人々の消費力も向上し、旅行の習慣が広まりつつあります。今年2019年の春節期間、中国では延べ4.15億人が国内旅行に出かけ、昨年の3.86億人から7.6%の増加となりました。またその経済効果は5,139億元(約8兆4,793.5億円)、昨年比8.2%増、また海外旅行者数は700万人を超え、昨年比28%増となったことが報じられました。(1元=16.5円で換算、以下同じ)▲2017年から2019年までの春...

政治的要因に左右されやすい中国人観光客誘致

中国人観光客が減少しているのは、タイだけではありません。米中貿易戦争の影響から、米国へ行く中国人観光客数も減少傾向にあります。特に、2018年は2017年比で46.3%減と、大幅な減少が見受けられます。カナダでも、Huaweiの幹部が逮捕された事件を皮切りに、中国人観光客数の落ち込みが発生しているとのことです。

また香港や台湾も本来は中国人の主要な旅行先ですが、政治的要因により減少傾向にあります。特に台湾は、中国との間の政治摩擦の影響から、2019年8月1日より、大陸からの個人旅行が当面中止という事態になりました。

日本で減少しているのは中国人観光客の「爆買い」

日本と中国の関係は安定傾向にあり、中国人観光客数は年間を通じて増加をキープしています。ただし、伸び率は低下しており、2018年1〜5月は前年同期と比べ23.2%増となりましたが、2019年は前年同期比で10.8%増です。

訪日目的がモノ消費からコト消費へシフトしてきていることが影響し、「買い物」における消費額の縮小も見えてきています。訪日中国人観光客の1人あたりの買い物消費額は、2015年をピークに減少を続けています。

この背景には、為替の変動や、中国国内でもECサービスを通じて日本の商品を手に入れやすくなったこと、また転売目的の大量購入の減少があると考えられます。加えて一般の中国人観光客では、こうした要因だけでなく、娯楽や食といったコト消費(体験)に費用を投じるようになったことも影響しているでしょう。

コト消費は、体験ごとに新鮮さを感じられる場合も少なくありません。例えば和菓子作りの体験であれば、季節ごとに趣が異なるものを知ることができますし、体験者の慣れによって感想も変わってくるでしょう。

こうした「来れば来るほど楽しめる」観光コンテンツの存在を伝えることができれば、初訪日の層だけでなく、リピーターの誘致にもつながります。また日本文化はアニメやドラマといった映像コンテンツですでに広く知られている面もあり、こうした点は他国と比べた場合有利だと考えられるでしょう。

中国人観光客を惹きつけるコト消費コンテンツとは

様々な国や地域で、政治的要因が中国人観光客にネガティブな影響を及ぼしているようです。日本の観光市場も、中国市場に頼りすぎないように、取り組みを多様化していく必要があるでしょう。

一方で、日本はタイと異なり、列島の各地で差別化できる地域ならではの体験コンテンツといった強みを持っているのも事実です。

また、日本産のアニメや漫画、ゲームといったコンテンツに対し猛烈なあこがれを抱く中国人ファンも少なくありません。彼らの熱量は非常に高く、関連グッズや聖地巡礼に対して惜しみなく予算を投じることも期待できます。

政治的要因のリスクは排除しきれないながらも、継続的な情報発信や旅行者目線の観光コンテンツ開発は、こうした影響を最小限にとどめてくれるかもしれません。日本の何が観光客にとって差別化の要因となるのかは、中国市場に限らず常に考えるべきトピックと言えるでしょう。

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<参照>

・DIAMOND online:中国人観光客が大挙していたバンコクから姿を消した理由

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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