中国人が日本よりタイを旅行先にする5つの理由:日本がタイに学ぶべき「わかりやすい安心感」と「文化体験」

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中国人のお正月本番、2019年の春節が終わりました。中国では近年、沿岸部だけでなく、内陸の人々の消費力も向上し、旅行の習慣が広まりつつあります。今年2019年の春節期間、中国では延べ4.15億人が国内旅行に出かけ、昨年の3.86億人から7.6%の増加となりました。またその経済効果は5,139億元(約8兆4,793.5億円)、昨年比8.2%増、また海外旅行者数は700万人を超え、昨年比28%増となったことが報じられました。(1元=16.5円で換算、以下同じ)

▲2017年から2019年までの春節期間における、中国からの海外旅行者数(延べ人数)
▲2017年から2019年までの春節期間における、中国からの海外旅行者数(延べ人数)

中国全体で海外旅行者が増えていく中で、日本を訪れる中国人の延べ人数も成長しています。2018年1年間での訪日中国人の総数も過去最高の838万人となり、全市場で初めて800万人台を記録しました。

2019年の旧正月(春節)はいつ?中国人に人気の旅行先TOP3

中国人にとって新年を迎える重要な休日である春節は、家族で集まって団らんをする風習がありますが、近年では長期休暇で多くの人が旅行に出かけることもあり、インバウンド誘致を期待する日本でも認知が広がっています。中国での2019年旧正月である春節は、2月4日(月)から2月10日(日)までの7日間です。この記事では、インバウンド誘致で重要な中国での新年「春節」の風習を始め、中国での長期休暇の扱いと、今年の休暇中の中国人の旅行予測を解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンド...

日本は中国人にとって人気の海外旅行先ですが、実は、海外旅行先人気ランキングでは常に第1位を「タイ」に奪われています。昨年の10月、春節と同じく約1週間の大型連休である「国慶節」では、ついに日本がトップに躍り出るかとの報道が出たものの、結果2位に終わりました。そして、2019年の春節でもタイの後塵を拝しています。

【中国】2018年国慶節トレンド総まとめ!:旅行先ランキング日本が1位/売れる商品は『自家用車』/『子連れ旅行のしやすさ』がポイント

10月1日は中国の建国記念日で、例年、この日から約1週間の大型連休となります。今年2018年は1日~7日までの7日間が休暇です。もちろん、前後に有給休暇をつなげて長期休暇を楽しむ人もいます。9月20日に中国のCtripが発表したところによると、この期間の海外旅行(香港、マカオ、台湾を含む)で最も人気の行先に、なんと日本がランクイン。昨年の国慶節や今年も含め春節やゴールデンウィークの海外旅行人気ランキングでは、常にタイの後塵を拝し第二位に甘んじていた日本ですが、2018年の国慶節に初の首位を...

2018年の1年間でタイを訪れた中国人は1035万人に上ります。なぜ多くの中国人はタイを海外旅行先に選ぶのでしょうか? 旅行体験記の共有サイトである「Mafengwo」から生の声を拾ってみました。

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中国人観光客にとってのタイの魅力ベスト5

中国人観光客にとってのタイ観光の威力を5つご紹介します。

タイの魅力1. 街中に中国語が多い!

タイは観光地のいたるところに中国語の表記が準備されています。そのため、個人旅行であっても、目的地に迷う心配がありません。日本国内に中国語の表記があっては、海外旅行の雰囲気が損なわれてしまうのではないか、という懸念が日本人からもらされることもありますが、少なくともタイ旅行に関しては、旅行の雰囲気よりも利便性と安心感を優先する旅行者の支持を得ることに成功しているようです。

タイの魅力2. 中華料理の延長で楽しめるタイ料理

タイは中国と国境を接しているのもあり、料理の調理方法や味付けに似た部分があります。対する日本料理は、人によってはあっさりしすぎと感じたり、年配の両親と一緒の場合に刺身など生ものを苦手とする感覚があったりと、食べなれない場合もあるようです。

普段高温で調理された料理を食べている中国人は、特に冬場の日本で「温かいものを食べたかったが見つからなかった」という感想を抱きがちです。

都心部であればたとえば立ち食い蕎麦屋、あるいはコンビニエンスストアのおでんといった商品について、もっと広く認知を獲得することで、中国人観光客の満足度をさらに向上させることにつながるかもしれません。

タイの魅力3. 安い

タイ旅行の魅力の一つに「安さ」があります。例えば現在、中国OTA最大手であるCtripのプーケットへの団体旅行は5泊7日で2999元(約5万円)、同じく団体旅行で、東京と大阪を含む複数の目的地を巡る5泊6日のプランは5299元(約8万7,000円)です。(2019年2月22日に確認)

▲Ctripでおすすめされる国内外の旅行プラン。海南省三亜、福建省アモイ、香港、大阪、プーケット、モスクワ、サイパン、ドバイの一人当たり金額と、これまでのプランの販売件数が表示されている。
▲Ctripでおすすめされる国内外の旅行プラン。海南省三亜、福建省アモイ、香港、大阪、プーケット、モスクワ、サイパン、ドバイの一人当たり金額と、これまでのプランの販売件数が表示されている。

また、滞在中の食費も安く抑えられます。日本での食事と比べ、タイは安価です。「せっかくの日本旅行中に、料理が高いからとラーメンしか楽しめないというのはもったいない、タイなら安価でもおいしいものがたくさん楽しめる…」日本とタイ、どちらを旅行先にするか悩むユーザーに、このようにアドバイスする声もありました。

タイの魅力4. 滞在中の目的地が1か所で済む

「日本に旅行に行くのなら、せっかくだから東京・大阪だけではなく、京都も奈良も北海道も行きたい」このように考える中国人も少なくありません。数ある魅力的な目的地をいかに効率的に、しかしそれぞれを味わいながら巡るかという点を考え、滞在計画を立てる際には苦心するようです。

こういった日本旅行に比べ、タイ旅行は中国人にとってシンプルです。中国人にとってタイは、滞在中は一つの島にとどまり、泳ぎと海鮮を楽しめば十分に満足できる目的地なのです。旅行の計画を立て慣れない海外旅行の初心者にとって、苦労せず満足度の高い時間を過ごせる場所と言えるでしょう。

なぜ中国人は「タイ旅行」に飽きたのか:インバウンド中国市場における日本の優位性とは?

過去3年連続で中国人にもっとも人気の海外旅行先として選ばれてきたタイですが、2019年に入ってからタイを訪れる中国人観光客数に陰りが見えているそうです。日本のインバウンド市場での中国人観光客の存在感はかなり大きく、無視できない事例です。今回は、タイにおける中国人観光客の減少の背景と現状をふまえ、日本が講じるべき対策について考えてみます。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談し...


アライバルビザもあり、ビザ取得の手続きが簡単

タイに限らず、世界各地への海外旅行の際、中国人にとって魅力の一つとして挙げられるのがビザ手続きの簡易さです。当然、ビザの発給には審査がありますので、発行に時間がかかるだけでなく、必要な書類をそろえるため労力がかかります。タイ旅行の場合は、15日以内の滞在であればアライバルビザの利用が可能です。思い立った時に旅行に出かけられます。また、本年3月からインターネット上で申請が可能になり、事前の手続きもより簡便になります。

気軽に行けるタイ旅行を見習いながら日本文化の魅力発信を

こうしてタイ旅行の魅力を探ってみると、「旅に慣れてはいないけれども、少しの異国情緒を楽しみたい」という中国人旅行者の姿が見えてきました。中国国内との大きなギャップはないものの、ある程度の経済力がなければ行けない「海外旅行」を楽しんできたと周囲にも言えるタイは、メンツを大切にする中国人にとってちょうど良い選択肢なのかもしれません。

こういった状況を念頭において考えると、今後ますます拡大していく中国人海外旅行市場の取り込みには、日本は「旅慣れていなくても気軽に訪れられる場所」であるというアピールが有効と言えそうです。また当然ながら、実際に言語方面のサービス水準を上げて受け入れ環境を整備することも重要でしょう。

今年1月からは、日本を訪れる中国人観光客に対し、数次ビザの発行要件の緩和が行われました。これまで数次ビザの申請には経済力の証明が必要でしたが、一定の条件を満たした場合には提出が免除されるようになりました。一方のタイは来月から、中国人観光客に対し、電子ビザの発行サービスの提供を開始します。日本の電子ビザ発行の運用開始は2020年の春となっており、この部分ではなおタイよりも不便さが残ります。こういった部分を補って余りある別の魅力を、さらに広く中国人に伝えていく必要がありそうです。

日本に来る中国人観光客のニーズには、これまでの買い物に加え、文化やその地の歴史について理解を深めたいという傾向が強まっています。こういった需要を満たすことのできる文化財や食文化が日本にあることは、中国人の各種口コミを見ても明らかです。2019年の中国人観光客の需要取り込みにおいては、情報発信への取り組みがタイとの勝負の明暗を分けるでしょう。

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2023年年間の訪日外客数は2,500万人を突破。外国人消費額は5兆円で、過去最高額となっています。また、2024年1月の訪日外客数が268万8100人となり、2019年1月(268万9339人)とほぼ同数となったと発表され、今後さらなる伸びが見込まれます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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