それでもやっぱり「秋葉原」が好き:爆買いに飽きた中国人でも「アニメ」「ゲーム」の魅力にはあらがえない【山谷剛史】

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電気街でありサブカル街でもある東京・秋葉原では、近年外国人観光客が急増しています。

秋葉原に日曜日の歩行者天国に行くと、外国人観光客が歩行者天国で思い思いに写真を撮る姿を見ることができます。世界の秋葉原という表現は、あながち誇張ではないようです。

(本編では、アジアITライターの山谷剛史さんより、中国人観光客から見た秋葉原について解説いただきます。)


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電気街としての秋葉原は、もはや中国人にとっての魅力を失ってしまった

秋葉原というと電気街という言葉がついてきますが、近年の日本の電機メーカーの勢いは全盛期に比べれば魅力が減っている上に、一時期ほどの中国人の炊飯器の爆買いも見られなくなりました。

秋葉原にはソフマップやじゃんぱらといった中古PCショップがありますが、そうした店ではインド系観光客をよく見かけますが、中国人観光客を見ることはあまりありません。

中国本国の製品も十分によくなった今、日本のスマートフォンもデジタル(一眼)カメラもパソコンもあまり魅力的に映らないのでしょう。

中国人観光客を乗せたバスが、秋葉原にある何軒かの免税店で降ろしてはそこで買い物させますが、そこは秋葉原とは言い難い。日本ではまず見ないような薬や健康食品や健康グッズが売られていて、日本のリアルとはかけ離れた世界がそこにあります。興味があれば日本人も買い物できるので、場所を調べて足を運んでみて見てはいかがでしょうか。

▲[秋葉原にある、中国人向けと思しき免税店]:筆者撮影
▲[秋葉原にある、中国人向けと思しき免税店]:筆者撮影

中国人観光客の「年代」に着目

では秋葉原に中国人観光客はいないのかというととんでもない。すごく人気な観光スポットです。ツアーバスに乗っているのは主に中高年の中国人ですが、一方で若い中国人は個人旅行で秋葉原を楽しみがちです。

まず若い人はニコニコ動画のような動画サイト「ビリビリ(bilibili)」が好きです。ビリビリはサイトの見た目だけでなく、コンテンツも日本のコンテンツが多く、中国のオンライン日本文化発信基地的なポジションとなっています。

bilibili動画(ビリビリ動画)とは

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息抜きに飢えた中国人学生の「爆学習」事情

なぜ若い人がビリビリやアニメが好きなのか、その背景を説明します。中国は受験大国で学生の勉強はものすごく大変です。

受験生でなくても毎日膨大な量の宿題を小中高生はこなします。宿題の量があまりに多いので、深夜まで家で机に向かい続けることも珍しくなく、また親が宿題を手伝うことも。夏休みだろうと冬休みだろうと莫大な宿題が渡され休み呆けることはできません。

日本の宿題がのびのびと自分で考え勉強するならば、中国はどんな手段を使ってもいいから与えられた無理難題をこなしていく、というところでしょうか。

勉強以外の日本と異なる学生事情でいうと、交通の危なさや不便さから、下校後に友達の家に自転車で遊びに行ったり、一緒に自転車を走らせて売店で駄菓子を買いにいったりといった行為はあまりありません。

こうした背景から、中国の子供たちは家にいるか、親に連れられて塾やお稽古事に行きがちです。そうした子供たちが宿題の合間をぬって、スマートフォンやスマートテレビで息抜きをするわけです。一つに「王者栄耀」や「PUBG」といったゲーム。もうひとつがアニメなんですね。

アニメ熱、ゲーム熱の高まりはコンテンツやゲーム機の消費に

ビリビリに限った話ではないのですが、オンデマンドで見るので、何十年も放送され続けた超長編のワンピースだろうがドラゴンボールだろうが第1話から最新話まで見られるわけです。最近は人気アニメが有料化しましたが、無料のアニメも毎日数話見ても見きれないほどたくさんあって見られるわけです。

小学生だとまだ中国の子供向けアニメが人気なのですが、中学生以降になると、ビリビリで日本のアニメをがっつり見て日本好きになる人も出てきます。

ひとつのアニメを見た、面白いから別のアニメを見よう、そうやって次々に日本のアニメを見て日本好きとして育つわけです。

さらに初音ミクや日本のネットカルチャーも気になって見始めます。中にはSwitchやPlayStation4といったゲーム機を買ってゲームしだす人も出てきます。

脱線しましたが、ビリビリなど日本のアニメを見る人が日本好きになり、日本に行こう、アキバに行こうとなるわけです。

JR秋葉原駅から一歩外に出た途端に、どこかのアニメでみたきらびやかな世界がリアルで広がるわけです。たまらないですよ。

▲[JR秋葉原駅を出ると、外国人にとって「日本らしい」景色が広がる]:筆者撮影
▲[JR秋葉原駅を出ると、外国人にとって「日本らしい」景色が広がる]:筆者撮影

中国人がコンテンツの中で出会う「秋葉原」

秋葉原は様々なアニメゲームなどのコンテンツで舞台になっています。

例えばGoogleTrendsのような検索傾向が見られる「百度指数」や「360指数」で検索すると、「AKIBA'S TRIP」という言葉が出てきます。秋葉原を正確に再現したアニメでありゲームです。

あと中国で人気のアニメ「ラブライブ!」も秋葉原が舞台。また中国ではややマイナーですが日本が舞台の人気ゲーム「ペルソナ5」も秋葉原が舞台のひとつとなっています。

アニメ熱をぶつけられる最高な街

秋葉原では人気アニメゲームのフィギュアをはじめ様々なパーツが売られているし、クレーンゲームの景品になっています。中国人の若者にとっては知ってるものがそこかしこにあるわけですよ。

前述のタイトルのキャラクターフィギュアほか、例えばビリビリの稼ぎ頭である、ゲームの「FGO(Fate/Grand Order)」や「アズールレーン」のフィギュアも、中国で見たことがないほど充実した商品を見せつけられる。

それだけではありません。人口の多い中国の、一部の日本好きといっても相当な人数ですが、さらにその中の一部は、ガンダムやミニ四駆やプラモのマニアだったり、十年以上前の日本のゲームのコレクターだったりします。

前者はヨドバシアキバのおもちゃフロアに爆買しきれないほどあるし、後者も近年秋葉原でオープンが続くレトロゲームショップをめぐれば、中国淘宝網(Taobao)などでも入手困難なソフトやハードが簡単に手に入ります。

▲[秋葉原のフィギュアショップ]:筆者撮影
▲[秋葉原のフィギュアショップ]:筆者撮影

コアなファンだけじゃない!中国人の好奇心を満たしてくれる秋葉原

マニアでなくとも楽しめます。メイド喫茶の呼び子のメイドさんが至るところで声掛けをやっているほか、駅前には中国のいくつものメディアで紹介された1階から上層階まで大人のおもちゃが揃う店が目立って鎮座しています。中国人の好奇心は止まりません。

中国人は今も昔も口コミを重視していますが、秋葉原に言った若者が、リアルで、微信WeChat)で、その経験を拡散するわけです。

中国でも良質なアニメ作品は出てきてますが、日本の作品数は豊富であり、その雰囲気は過去作品、最新作を問わず中国の学生を癒やし続けています。まだまだ秋葉原ブームは終わらないどころか、今後も加速していくのではないでしょうか。

▲[アニメグッズの取り扱いを多言語で宣伝する、秋葉原の店舗]:筆者撮影
▲[アニメグッズの取り扱いを多言語で宣伝する、秋葉原の店舗]:筆者撮影

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この記事の筆者

山谷剛史

山谷剛史

76年東京生まれ。東京池袋近辺、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。36kr日本語版のお手伝い。前職NNA。2002年より中国アジアのITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に連載。著書に「中国S級B級論(共著)」「中国のインターネット史」など。

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