「外国人医療対応マニュアル」倫理観や通訳の仕組みへの理解がキーに!3つのポイント:自治体の情報活用・書籍の活用・通訳の役割理解

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中国、湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウィルスが全世界に拡散し、死亡者も増え続けています。2月2日には、フィリピンに滞在していた中国人男性の死亡も報告されました。

インバウンド関係者の経済的損失の他にも、関係各所に衝撃や影響が広がっています。

新型コロナウイルスそのものは感染力が強いようですが、致死率が極端に高いわけではないことも伝えられています。今後のインバウンド中国市場の回復は、関係者の関心の集まるところとなりそうです。

新型コロナウイルス以外にもアメリカではインフルエンザによる死亡者や入院者数が増加していることが今週伝えられています。ほかにもノロウイルスなど、注意を払うべき病原菌は存在します。

今回は、訪日外国人が日本旅行中に医療ケアが必要になった場合、インバウンド事業者はどのように対応するべきか、心構えや採用すべき対策などを考えてみます。



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医療通訳士とは

宿泊されている外国人の方が日本で医療ケアが必要となった場合、医療通訳士という方々に頼る事になります。外国語の基本的な運用能力に加え、医療に関する知識も備えている方々です。

しかし、その高度な専門性から人材の数がとても少ないのが現状です。

自治体の情報活用

行政の方でもそうした人材を育成し確保しようと様々な勉強会や、医療機関向けの紹介などを行っています。

例えば、厚生労働省では医療通訳に関する資料を公開しています。東京都福祉保健局では医療向け緊急通訳サービスを提供しています。ホームページによると、英語中国語・韓国語タイ語・スペイン語・フランス語に対応しています。

神奈川県では「特定非営利法人MICかながわ」という団体が在日外国人向けに在宅医療や介護通訳の派遣を行っています。

医療関係のトラブルのリスクヘッジを考えたい場合には、地方自治体のホームページなどを確認し問い合わせてみると良いでしょう。

▲[特定非営利法人MICかながわ]:公式サイト
▲[特定非営利法人MICかながわ]:公式サイト

自分で勉強する(書籍の活用)

すでに外国語を身に着け日頃から外国語で接客をしている人の中には、医療に関する知識を自分で勉強し対応しようと試みている方もいるかもしれません。

簡単なことではありませんが、関連するテキストも多く出版されています。何から手を付けていいか分からないという場合には、こうした書籍が参考になるはずです。

  • 医療通訳入門 連 利博 (監修) 松柏社
  • 医療現場でつかえる 日中英―中日英辞典 国際語学者編集部
  • 疑問・難問を解決!外国人診療ガイド 西村明夫著 株式会社メジカルビュー社
  • 医療現場で必要な多言語コミュニケーションのための6ヶ国対応 医療通訳学習テキスト 沢田貴志 (監修) 西村明夫(編集) 創英社/三省堂書店

通訳を理解する

通訳という仕事は、何か目的があり、それを達成するための手段の一つとして存在します。医療通訳では、医療行為がその目的となり、通訳の一言が患者の命や健康を左右することになります。

緊急を要する医療行為だけでなく、アレルギーなども命に関わりかねない問題です。医療通訳の現場に通訳を依頼するクライアント側も、ある程度、通訳とはどういうものかを理解することも必要です。

医療通訳士向けのテキストだけでなく「福祉分野の通訳」全般にいえる倫理観や、他国と比べた場合の日本の社会制度を説明する書籍に目を通すことも役に立つでしょう。

  • コミュニティ通訳 多文化共生のコミュニケーション 水野 真木子、内藤 稔 みすず書房
  • あなたにもできる外国人への心の支援 多文化共生時代のガイドブック 野田 文隆、秋山 剛 多文化間精神医学会 (監修) 岩崎学術出版社
  • 対人援助における通訳者の倫理 公正なコミュニケーションに向けて 飯田 奈美子(著) 晃洋書房
  • 多文化精神医療 自然、風土、文化、そして、こころ 阿部 裕 (著) ラグーナ出版

まとめ

外国人の医療ケアは非常に難しい出来事です。言葉の問題のみならず、国ごとの医療状況や公衆衛生に関わる文化の違いなども考慮に入れる必要があります。

一方で、語学スキルが低くても、背景となる文化の知識、通訳の役割などを学ぶことには大きな意味があります。通訳を依頼する時にスムーズにコミュニケーションがとれ、ある程度トラブルを事前に回避し、トラブルが発生したとしても円滑な対応を可能にしてくれるでしょう。

訪日外国人はますます増えており、インバウンド業界では今後、こうした医療通訳への関心を高めることも必要になってくると予想されます。早め早めの情報収集や準備が、訪日外国人の間での施設やサービスの評判などにおける大きな優位性を生み出すかもしれません。

<参照>

https://mickanagawa.web.fc2.com/

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

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この記事の筆者

三木亮(みきりょう)

三木亮(みきりょう)

文教大学情報学部広報学科卒業、浙江師範大学アフリカ研究院修士1年として在籍中。大学卒業後、外国にルーツのある学生の学習サポートなどに携わる。現在は中国の対アフリカ援助などをキーワードに研究に取り組んでいる。

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