東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を前に、「ホストタウン」として登録している自治体では参加国・地域の合宿誘致や交流事業を進めています。
ホストタウンの取り組みは、スポーツだけでなく、文化、経済など、さまざまな分野で行われており、地方創生にも良い影響を与えると期待されています
この記事では、ホストタウンの概要、取り組み、富山県のホストタウンと、その活動を解説します。
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ホストタウンとは
2020年の東京オリンピック開催に際して、各自治体が参加国との交流を図る取り組みを進めています。 そこでポイントとなるのが「ホストタウン」です。
以下では、ホストタウンの概要、種類、取り組みを解説します。
ホストタウンって何する?東京オリンピック・パラリンピックに向けた各自治体の取り組みとは
ホストタウンとは、東京オリンピック・パラリンピック通じてスポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興などに資する観点から、参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流をはかる地方公共団体のことを指します。オリンピックはスポーツ競技が大きな目玉となっていますが、本来は「平和の祭典」といわれ、スポーツを通じて国を超え平和を体現するお祭りです。それを成功させるために一役買っているのがホストタウンであり、地域の活性化やグローバル化の推進のため、ホストタウンの全国的な広がりを目指してい...
オリンピックを機に交流を図る地方自治体
ホストタウンとは、東京オリンピックをきっかけに、参加国・地域の住民たちとスポーツ、文化、経済などの多様な分野で交流を図る自治体です。
大会参加者だけでなく、児童や生徒、その他のゲストが、祭事への参加、競技体験、 講演といったさまざまな形で交流を深め、地域の活性化を目指します。
また、2020年以降も末永く交流を実現することを最終的な目標としています。 ホストタウンに登録されれば、交流活動にかかる費用の半分まで国の財政支援を受けられます。
2019年12月時点で478の自治体と163の相手国・地域がホストタウンに登録しています。
特に、オセアニアでは17の国と地域のすべてが登録しています。
ホストタウンに求められる取り組み
ホストタウンの取り組みの目的は、オリンピック・パラリンピック出場選手との交流を通してスポーツの素晴らしさを伝えることや、参加国の人々と触れ合う中で外国を知り、日本を伝えることが挙げられます。
具体的な取り組みとしては、関係者等の招聘、事前合宿のサポート、大会後交流の企画など多岐にわたります。
ラグビーワールドカップ開催時にもホストタウンの交流が催されており、台風19号の被害を受けた岩手県宮古市ではナミビア代表選手による激励、神奈川県横浜市ではスコットランド代表ヘッドコーチによる地元高校生への指導などが行われました。
ホストタウンには種類がある
ホストタウン事業のなかには、「復興ありがとうホストタウン」と「共生社会ホストタウン」があります。
前者は、東日本大震災で多くの被害があった岩手県、宮城県、福島県の自治体が対象となります。 東日本大震災以降、支援を受けた国と地域に復興が進んでいる姿を見せつつ、住民との交流を促進するホストタウンです。
後者は、パラリンピック出場選手との交流を通して、共生社会の実現に向けた取り組みを推進するホストタウンです。 地域社会が、ユニバーサルデザインやバリアフリーを考えるきっかけにもつながるでしょう。
富山県のホストタウン
ホストタウンは、相手国とのつながりや競技との関連性から決定されるケースが多いようです。
富山県では、2つの自治体でホストタウンの登録が行われています。以下、富山県内のホストタウンを解説します。
高岡市:ポーランド
高岡市は、ポーランドとの交流を促進するホストタウンです。
同市出身の登坂絵莉選手がリオオリンピックで金メダルを獲得するなど、レスリングが盛んであることから、レスリングを中心に事前合宿誘致を推進していく予定です。
2019年7月には、同市内の給食にポーランドのカツレツ「コトレット」、トマトの煮込み料理「ビゴス」、ヨーロッパのロールパン「カイザーロール」などが並びました。
その他にも国名や国旗の由来を紹介するなど、オリンピックを通して、ポーランドの文化を学ぶきっかけづくりをしています。
黒部市:インド
黒部市は、インドとの交流を促進するホストタウンです。 同市は、インド政府、インドアーチェリー連盟との間で、事前合宿や市民交流に関する覚書を調印しました。
同市にあるアーチェリー競技施設や環境が、インド政府青少年スポーツ省、インドアーチェリー連盟から評価され、ホストタウンに選ばれました。
大野市長は、互いの文化や歴史に触れ合う交流を促すとともに、インド代表に対して万全のサポートを提供できるよう努める意向を発表しています。
富山県は北陸新幹線の開業により外国人観光客が増加してきています。ホストタウンとなったことで事前キャンプや交流の機会を通じて、外国人観光客がより増加することが予想されます。
現在も施設内案内表示の英語化率が75%以上となっているなど対策が進められていますが、一層受け入れ対策を強化する必要が出てきそうです。
富山県のインバウンド需要
富山県は訪日外国人の訪問率や訪問数は一般的な数値か、それ以上となっており、決してインバウンド需要の少ない県ではありません。
ホストタウンの取り組み内容と例
ホストタウンの取り組みは、スポーツに限らず文化交流なども含みます。 つづいて、全国のホストタウンが取り組む交流活動を紹介します。
ボッチャ体験会in産業祭
共生社会ホストタウンとして登録されている群馬県富岡市では、地域の産業祭の中で、パラリンピックの正式種目「ボッチャ」を体験するイベントを催しています。
地元住民が実際の体験を通して、障がい者スポーツへの関心を深めるとともに、東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げることを目的としています。
また、共生社会の実現を図るうえで欠かせない「心のバリアフリー」を促進するための活動でもあります。
チャレンジデーの開催
富山県高岡市では、住民参加型のスポーツイベント「チャレンジデー」を開催しています。
スポーツの習慣化や住民の健康増進、地域の活性化を目的としており、性別、年齢を問わず、誰でも参加できる「総参加型」のイベントです。
イベント時は、市立体育館と公民館を開放したうえで、どんな場所で、どんなスポーツをしても良いとしており、ラジオ体操やウォーキングはもちろん、農作業などもチャレンジデーの一環として認めています。
スポーツ交流以外の取り組み
高岡市では、企業による経済交流の促進、ポーランドの歴史や文化を学ぶ教育プログラムの実施、国際アートキャンプの開催などにも取り組んでいます。
黒部市も同様に料理教室やヨガ体験をはじめ、郷土芸能鑑賞、祭りへの参加と多方面での交流を実現しています。
また、両市で行われているのが相手国の伝統料理を給食に取り入れる試みです。 ホストタウンとしての交流は、地元の児童・生徒の食育にも貢献しています。
ホストタウンに関連した取り組みで地域活性化を
ホストタウンでは、スポーツをはじめとしたさまざまな交流に取り組んでおり、海外の都市との関係性が深まれば、インバウンドや地域の活性化につながる可能性も秘めています。
2020年のオリンピック・パラリンピックをきっかけに、地方自治体のさらなる発展が期待されています。
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