東京ディスニーリゾートや成田空港のある千葉県ですが、特徴的な観光地があるがゆえに訪問先に偏りができてしまうなど、インバウンド対策には課題が残されています。
当記事では、そんな千葉県のインバウンドの特徴やインバウンドプロモーション事例を紹介します。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
訪日外国人は千葉のどこに訪れる?
「平成29年千葉県観光入込客調査報告書」では、国内外から人気の訪問先がまとめられています。同報告書では、千葉県内の主要な15の観光地の観光入込客数を発表しています。
今回は、第3位までの観光地と、それらが訪日外国人からどれくらいの人気があるのかを発表します。
1位:東京ディズニーリゾート
いわずと知れたウォルト・ディズニーの世界観を表現したテーマパークです。千葉県浦安市にあり、2018年に訪れた訪日外国人客数は過去最高の3,225万人を記録しました。
「東京ディズニーランド」と「東京ディズニーシー」という2つのディズニーテーマパーク、そしてディズニーブランドホテル、提携のオフィシャルホテル、複合型商業施設「イクスピアリ」などで構成されています。
季節に応じたイベントも順次開催されており、年間通して多くの外国人観光客が訪れています。
2018年は過去最高の入園者数!東京ディズニーリゾートの入園者数が回復した理由は?人気と一体の懸念事項も
日本で有名なテーマパークといえば、東京ディズニーリゾートを思い浮かべる人は多いでしょう。この夏も新アトラクションの運営を開始し、またスマホアプリや公式サイトでアトラクションの待ち時間や乗車予約ができるなど、年々アップデートを続けています。こうした取り組みにより、東京ディズニーリゾートはチケットの値上げをしていながらも、入園者数3,000万人台をキープしています。東京ディズニーリゾートの入園者数が3,000万人を超えたのは2013年のことですが、今後も増加すると見られています。この好調な業績...
2位:成田山新勝寺
成田山新勝寺は、千葉県成田市にある神社です。真言宗智山山派の大本山のひとつであり、940年に創建された由緒ある神社となります。
成田空港からアクセスが良いため、訪日外国人も比較的来やすいと言えるでしょう。
境内では、情緒あふれる本堂や大東、三重塔、釈迦堂などが観られます。
また、坐禅修行、断食修行、写経体験など、日本の文化を体験することもできます。
インバウンド人気観光地ランキング26位「成田山新勝寺」の人気の理由・インバウンド対策とは
成田山新勝寺は、千葉県成田市にある真言宗智山派の寺です。成田空港が近いということもあってか日本のみならず海外からも多くの観光客が訪れる人気観光地です。
3位:海ほたるパーキングエリア
海ほたるパーキングエリア は千葉県木更津市の道の駅です。神奈川県・川崎と千葉県・木更津を結ぶ東京湾アクアラインのほぼ中間点に位置します。
アミューズメントコーナー、物産コーナーもあり、買い物からレジャーまで楽しめる空間となっています。
訪日外国人にもパーキングエリアの巨大建造物と眼下にみえる海とのギャップが魅力的なようです。
日本の技術力を感じる建物として、外国人から定評のあるスポットとなります。
千葉県のインバウンドの特徴
千葉県のインバウンドの特徴を見ていきましょう。成田空港やディズニーランドがあることから、インバウンド需要が高いように見えますが、2018年の消費動向調査によると、旅行消費額は全国で第46位と低くなっています。
数字が示すように、千葉県のインバウンド対策は改善の余地があるといえます。
外国人観光客の訪問先、時間帯の偏りが大きい
株式会社エヌ・ティ・ティ・アドの調査によると、千葉県の滞在プロットは、空港がある成田周辺や、ディズニーリゾートがある浦安周辺、ビジネスの拠点でもあり幕張メッセがある幕張周辺に約9割が集中しており、外国人観光客の訪問の偏りが大きいことがわかりました。
他のエリアにある観光地はあまり集客ができていないとも言えます。さらに時間帯も偏りが大きく、午後16時ごろにピークをむかえ、夜になると一気に減ります。
朝と夜でおよそ3倍もの人数の開きがあります。
このことから、千葉県はナイトライフに向けたインバウンド対策が課題であるといえます。
なぜ千葉県のインバウンドは夜いなくなる?GPSから判明した課題
株式会社エヌ・ティ・ティ・アド(以下、NTTアド)は、GPSなどの位置分析から収集したデータをもとに、訪日外国人観光客の昼間の訪問先と当日の宿泊先の統計をとり、当日の宿泊率などの分析結果を発表しました。分析の結果をふまえ、都道府県ごとの訪日外国人観光客の行動動向と、GPSデータを用いたインバウンド対策の効果について見ていきましょう。目次訪日客の「当日自県宿泊率」が高い地域、二大観光地と大都市圏に集中千葉県:地域ならではのナイトライフの提案で宿泊率の底上げへ自県宿泊率が最下位の奈良県、宿泊施...
どの国の人が多く来ている?
![▲[千葉県に来ている訪日外国人の割合・「訪日外客数統計(2018年)」より訪日ラボ推計]:訪日ラボ ている訪日外国人の割合・「訪日外客数統計(2018年)」より訪日ラボ推計]:訪日ラボ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/4958/main_1571977503261.png?auto=format)
訪日ラボの推計によると、千葉県に訪れている訪日外国人の割合は、1位中国(29.58%)、2位台湾(13.44%)、続いて3位韓国 (11.01%)となっています。
東アジアからの訪日外国人だけで、半数以上を占めています。実は東南アジアからの訪日外国人の数はあまり多くなく、全体における割合ではタイの5.44%が最大です。そのほかの東南アジア、南アジアの国からは多くて2%台となっています。
このような中で、東アジア圏以外だと、アメリカ(9.69%)がその次に大きな人数となっており、千葉県のインバウンド市場では注目すべき存在といえるでしょう。
千葉県のインバウンド需要
千葉県は日本の玄関口成田空港を擁するだけあり、訪日外国人の訪問率が東京に次ぐ39.7%を誇り、訪問数も全国第2位となっています。
千葉県のインバウンド事例を紹介
インバウンド対策に改善の余地が残る千葉県ですが、各所でインバウンド対策の様々な取り組みが進められています。
1. 外国人モニターツアー
千葉県では 商店街おもてなし支援事業(訪日観光客商店街おもてなし事業)の一環として、外国人モニターツアーを実施しています。外国人観光客のニーズを把握することと、お店での接客や情報発信のノウハウを得ることが目的です。
同ツアーでは、訪日外国人に日本文化の体験や地域イベントに参加してもらい、ツアーの最後にはアンケートをとります。
千葉県政では、2020年の東京オリンピック開催に向けたインバウンド対策に取り組んでいます。
2. SNSや動画でのプロモーション
- 『Chiba City Japan Just East of Tokyo』
『Chiba City Japan Just East of Tokyo』は訪日外国人向け公式Facebookページです。千葉市の観光スポットやイベント、おすすめの食べ物など、千葉市にまつわる様々なことについて英語で投稿しています。
- 『Flying Monorail@CHIBA CITY』
『Flying Monorail@CHIBA CITY』は千葉を走るモノレールをPRした動画です。着物を着た2人がモノレールの魅力と観光スポットについて紹介します。
- 『千葉おもてなしSHOPガイド』
『千葉おもてなしSHOPガイド』は、旅行者向けに飲食店の検索サービスを提供しています。同時に、同サイトに店舗情報を掲載する千葉市・船橋市内の飲食店向けに、無料で多言語メニューの作成サービスを提供しています。
食事メニューを日本語で入力すれば、14種類の言語に翻訳できます。
またメニューの多言語化だけでなく、アレルギーや宗教などにも配慮したメニュー、指差し会話シート、外国人への接客のポイント等の紹介などのツールがあります。
現状、集客に課題のある地域の魅力…どれだけ知ってもらえるかがカギ
千葉県各地には美しい海や、天気がよければ富士山がみえる鋸山など景観の良さだけでなく、温泉や、海鮮グルメを味わえるスポットなど訪日外国人の好む観光コンテンツが充実しています。その一方で、千葉県のインバウンド需要は一部のエリアに集中しているのが現状です。今後は、現状、十分な集客ができていない地域の魅力をどけだけ知ってもらえるかが重要となるでしょう。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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