インバウンド市場の回復はいつ?データから考察・過去の災害感染症事例・中国でのコロナ終息

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2020年の開始以降、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大と日本への入国規制が強化され、訪日外国人数が激減しています。

いつ新型コロナウイルスが終息するのか、各国との渡航の再開はいつになるのか、終息後に訪日外国人数は回復するのか、先行きの見えない不安を感じる人も多いでしょう。

今回は、過去の災害や疫病流行の際落ち込んだインバウンド市場がどれくらいの期間で回復したのか、また一足先に回復の兆候が見られる中国の新型コロナウイルスの感染状況について紹介します。

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インバウンド市場回復、過去の災害・疫病はどのくらいの期間を要したか

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、訪日外国人数は急激に低下しています。新型コロナウイルス感染の収束後、いつになったら訪日外国人の客足が戻ってくるのか、不安な事業者も多いでしょう。

ここからは株式会社D2C X(ディーツーシー クロス)取締役 中西恭大氏が執筆した「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」を参考に、過去の災害や疫病からどれくらいの期間で回復したのかを考察します。

note:コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか? 株式会社D2C X(ディーツーシー クロス)取締役 中西恭大氏

2020年2月の月間訪日外国人数30万人台が現実的に…東日本大震災以来の数値

出入国在留管理庁は、3月6日の衆院国土交通委員会で、2020年2月の外国人全体の新規入国者数が100万人を下回り、2019年2月の237万人から激減したことを明らかにしました。

中国人に限ると6万人を下回り、昨年の10分の1程度となっています。

また外国人全体を1日当たりで見ると3万5千人となり、昨年の8万5千人から大きく落ち込んだ形です。

新型コロナウイルスの感染が拡大した2月27日から3月4日の1週間では、1日当たり1万人強となっており、減速が加速しています。

直近1週間の訪日数である1万人というペースが継続すると想定すれば、3月の訪日数は月間で30万人となる可能性もあります。

過去に月間30万人台となったことがあるのは、東日本大震災が発生した2011年3月以来のことです。

▲[月間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」
▲[月間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」


過去のケースでは、出来事の翌年には回復

一方で、災害や疫病、世界的不景気が起こった場合でも、収束の翌年には訪日外国人の数が増加することもわかっています。

下記は、1999年から2019年にかけての訪日外国人(年間)の推移です。

グラフからSARSやリーマンショック、東日本大震災の翌年には、訪日外国人が増加傾向になっていることがわかります。

▲[年間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」
▲[年間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」


上記の経験から中西氏の取引先の中には今回の訪日外国人減少も、そこまで長くは続かないと考えている事業者もあるようです。

2003年のSARS発生、2009年のリーマンショック、2011年の東日本大震災の3つのケースについて、さらに詳細に回復の道のりを見てみます。

2003年:SARS発生後、7~8か月程度で回復

▲[SARS発生前後の月間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」

▲[SARS発生前後の月間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」

2002年12月に発生したSARSは、2003年5月頃に終息を迎えたと言われています。終息宣言直後から急速に訪日外国人数は回復し、2003年7~8月頃に、元の数字を上回る水準に回復しました。

2009年:リーマンショック発生後、半年~1年程度で回復

▲[リーマンショック発生前後の月間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」
▲[リーマンショック発生前後の月間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」

2008年9月に発生したリーマンショック発生直後は、贅沢消費である海外旅行は減少しましたが、7か月後の2009年4月に元の水準に近い数字まで回復しました。

その後若干の落ちこみはあるものの、緩やかに増加し、ちょうど1年後となる2009年9月には元の数字を上回る水準まで回復しています。

2011年:東日本大震災発生後、4か月で8割、10か月で元の水準まで回復

▲[東日本大震災発生前後の月間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」

▲[東日本大震災発生発生前後の月間訪日外国人数の推移]:中西恭太 note「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」

2011年3月に発生した東日本大震災は日本だけでなく世界に大きな衝撃を与え、連日ニュースで取り上げられていました。そのため世界各地から物資や寄付が多く寄せられた一方で、被害の深刻さや福島原発に関する情報も世界へと発信されました。

原子力発電所の風評被害は、9年たった今でも課題となっています。

しかし東日本大震災の2か月後の2011年5月から緩やかに訪日数が戻り始め、4か月後の2011年7月に震災発生前の8割の水準まで回復し、10ヶ月後の2012年1月に初めて元の水準まで回復しています。

中国の新型コロナウイルス感染症拡大からの回復状況(感染者数など)

ほぼリアルタイムで最新の感染・死亡・回復者の数などの情報が確認できる杭州・医療系ユニコーン企業「丁香園」のコロナマップを1月28日時点と、3月8日時点で比較しました。

中国国内の新型コロナウイルスの感染状況は、落ち着きはじめていることが分かります。

▲[1月28日(左)、3月8日(右)の感染状況]:杭州・医療系ユニコーン「丁香園」速報サイト
▲[1月28日(左)、3月8日(右)の感染状況]:杭州・医療系ユニコーン「丁香園」速報サイト

また、中国国内の新型コロナウイルスの新規の感染疑い者と、新規の感染者数の推移をみても、減少傾向にあることが分かります。

▲[新規の感染疑い数と、新規の感染者数の推移]:杭州・医療系ユニコーン「丁香園」速報サイト
▲[新規の感染疑い数と、新規の感染者数の推移]:杭州・医療系ユニコーン「丁香園」速報サイト

既存の確定診断数の推移も、2月中旬に大きな山を描いた後に、確実に減少しています。

▲[既存の確定診断数の推移]:杭州・医療系ユニコーン「丁香園」速報サイト
▲[既存の確定診断数の推移]:杭州・医療系ユニコーン「丁香園」速報サイト

治癒症例の数は上昇しており、既存の確定診断数のが減少している要因の一つとして、回復者が増加しているからだと考えられます。

▲[治癒症例数の推移]:丁香園
▲[治癒症例数の推移]:丁香園

死者数は上昇傾向にあるものの、直近の増加率はフラットになりつつあり、感染者数が減っていることからも今後大きく死者数が増加することはないでしょう。

▲[死者数の推移]:丁香園
▲[死者数の推移]:丁香園

世界保健機関(WHO)も3月9日に開いた会見で、中国で報告された80,000件の症例のうち、70%以上が回復していることを公表しています。

これらの結果から、中国の国内感染は終息に向かっていると考えられます。

WHO「コントロール可能なパンデミック」:感染者数10万人突破の一方で中国では70%以上が回復

WHO(世界保健機関)の発表によると、3月7日に新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者数が100か国で10万人を突破しました。WHOが3月9日に会見の内容についてお伝えします。関連記事韓国版「マスクマップ」登場!アメリカ、フランスのディズニーも続々閉鎖!【速報】WHO「新型コロナウイルスはパンデミック」【日韓】ビザ停止で何が困るコレからどうなる?目次感染者10万人突破、WHO「コントロール可能なパンデミック 」感染者10万人突破、WHO「コントロール可能なパンデミック 」世界的な新...

インバウンド市場、感染症流行の収束とともに回復が期待される

日本国内では連日感染拡大が報じられている新型コロナウイルスですが、中国国内では感染状況が落ち着き始めています。過去に大きく訪日外国人数が減少したSARS、リーマンショック、東日本大震災は、いずれも一定期間後に元の水準まで回復しています。

新型コロナウイルスの現状は当時とは大きく異なる点も多いため、必ずしも今回の新型コロナウイルスからの回復を保証するものではありません。

あくまで一つの目安ですが、前向きに事態の終息まで耐え忍ぶ希望となるのではないでしょうか。

<参照>

丁香園

株式会社D2C X 取締役 中西恭大:中西恭太「コロナウィルスの影響で減少した訪日外国人はいつ戻ってくるのか?」

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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