青森県のホストタウン事業 | オリンピック・パラリンピックに向けユニバーサルな街づくり

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東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに、地域の活性化やインバウンド集客につなげようとする事業が行われています。

その一つが地方自治体によるホストタウンの取り組みです。ホストタウンとは、外国人のスポーツ選手の受け入れやイベントを通して地域振興やグローバルな人材の育成を行う活動を指します。ホストタウン事業について、そして青森県が取り組む事例などをご紹介します。


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ホストタウンとは

地方自治体が、東京オリンピック参加国の事前合宿の受け入れや、選手や関係者と地元住民の交流を通じてスポーツ振興や共生社会の実現を目指す事業がホストタウン事業です。一定の条件を満たした地方自治体ホストタウンとして登録されます。

ホストタウン概要

東京オリンピック開催に向けて、参加国や地域とのさまざまな交流を図る地方公共団体がホストタウンとして登録され、スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等を目指します。

ホストタウンとして登録されると、オリンピアンやパラリンピアンとの交流や相手国との交流イベント、その他事業に関する必要経費の半分が国から支給されます。

ホストタウンに登録される条件

ホストタウンに登録されるには、一定の条件があります。

大会等に参加するために来日する選手や関係者、大会参加国・地域の関係者、日本人オリンピアン・パラリンピアンと、地元住民の交流を促す取り組みを行う地方公共団体が、ホストタウンとして登録できます。

そして、その取り組みはスポーツの振興、教育文化の向上及び共生社会の実現を図ろうとするものでなくてはなりません。

地方公共団体は相手国や地域と話し合い、来日する選手や関係者、参加国・地域の関係者、 日本人オリンピアン・パラリンピアン交流をベースとした事前キャンプの受け入れなどさまざまな交流イベントを計画します。

計画ができたら、それを内閣官房オリパラ事務局の窓口に提出し、申請します。関係府省庁は、経費の支給だけでなく、人材の派遣や情報提供ホストタウン事業を支援します。

青森県のホストタウンとその取り組み

青森県では、5市町村が6か国のホストタウンとして登録されています。それぞれの自治体の受入国とその概要、また、弘前市と三沢市の取り組みについて詳しくご紹介します。

青森県のホストタウン

自治体

相手国

概要

青森市

タジキスタン

浪岡地区ではりんごの栽培が盛んですが、そのりんごの原産地が中央アジアであることをきっかけに、日本の自治体との交流を希望していたタジキスタンの事前キャンプの受け入れを決定しました。

弘前市

台湾、ブラジル

ソフトボールの日本代表監督をつとめた市の職員・齋藤春香氏が、以前から交流のある台湾のソフトボールチームの事前合宿を進めました。市内のソフトボールチームと台湾チームの交流試合などを実施しています。

また、ブラジルに渡り柔道を広めた弘前市出身の柔道家・前田光世氏をきっかけとして、ブラジルパラリンピック柔道の事前合宿誘致を進めました。

三沢市

カナダ

米軍基地があることから、外国人との交流が盛んな国際都市であり、ユニバーサルタウンを目指す三沢市では、カナダのラグビー事前合宿を誘致しました。その他、さまざまな交流委ペンとを開催しています。

今別町

モンゴル

フェンシングが盛んな今別町では、モンゴルのフェンシングチームの事前合宿を受け入れます。小中学生とモンゴル選手との交流イベントなども開催しています。

西目屋村

イタリア

ロンドンオリンピック金メダリストを招聘してイベントを開催したのをきっかけに、カヌースラロームイタリア代表チームの事前合宿を受け入れます。

弘前市:台湾、ブラジルの二か国がホストタウン

弘前市では、市の職員でありソフトボールの日本代表監督をつとめた齋藤春香氏が台湾ソフトボールチームの事前合宿を進め、2017、2018年と台湾女子ソフトボールナショナルチームU19の強化合宿を受入れました。市内の子供たちとの交流や、高校生ソフトボールチームとの交流試合などを行っています。

ブラジルとの縁は、弘前市出身の柔道家でブラジリアン柔術の父と呼ばれる前田光世氏をきっかけにつながりました。2017、2018年にブラジル視覚障がい者柔道チームの強化合宿を受入れ、さまざまな交流事業を行っています。

東京オリンピックでは、合宿の受け入れ、オリンピアン・パラリンピアンとの交流、相手国との交流をはじめ、競技施設のユニバーサルデザイン・多言語化・Wi-Fiの整備など、国際化に対応します。

三沢市:ユニバーサルタウンを目指す

米軍基地が所在することから、元々外国人との交流が盛んな国際都市である三沢市は、カナダのウィルチェアーラグビーの事前合宿誘致をはじめとした交流事業を行っています。誰もが暮らしやすいまちづくりや共生社会の実現を図るユニバーサルタウンを目指し、交流事業を実施します。

東京オリンピックでは、カナダ選手・関係者の受け入れや、カナダの生活文化の学習や日本文化の紹介といった住民への国際理解教育の実施、カナダとのスポーツ交流や大会での応援を予定しています。また、ユニバーサルデザインの推進として、公共施設の改修や民間店舗のユニバーサルデザイン化などを支援します。

大会終了後も、引き続き国際大会等の事前キャンプの受け入れや子供たちの往来など、カナダとの相互交流を図っていく予定です。

※日本時間の3月23日、カナダオリンピック委員会(COC)は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに選手団を派遣しないと表明しました。

そのため、今後のカナダ人選手団との交流事業の予定については続報が待たれます。

カナダが東京オリンピック不参加を表明「スポーツよりも、はるかに重大な世界的危機の真っ只中」

カナダのオリンピック委員会(COC)は、日本時間2020年3月23日、2020年東京オリンピック・パラリンピックに選手団を派遣しないと表明しました。※東京オリンピックは、2020年3月24日、安倍晋三首相(当時)と国際オリンピック委員会のバッハ会長の合意により、延期が決定されました。※東京オリンピックは2021年7月23日開会式、8月8日閉会式が予定されています。関連記事IOC委員「オリンピック延期」発言、開催は2021年?東京オリンピック日程、来年「7月23日」目次「スポーツよりも、はる...


地域文化の魅力を発信し、インバウンド増加を図る

オリンピック・パラリンピックという大きな国際大会のホストタウンに登録することは、地域の文化や魅力を発信してインバウンドの増加につなげる絶好のチャンスです。

スポーツ大会に関連したイベント開催でPR

スポーツ大会は、普段その地域に観光に来ないであろう層がスポーツを目当てに訪れる良い機会です。

大会開催に関連したイベントを開催し、観戦者だけではなく異なる層の集客を図ることもできます。地元の名産品を大会限定仕様にしたり、ツアーやサービスを企画したりして、観光客の滞在時間や消費の拡大を狙うことも可能です。

こうしたイベントなどの開催においては、地元住民や地元企業の主体的な参画が強く望まれます。

国際交流から地域観光誘導へ

ホストタウンとして登録された自治体の多くは、大会が終わった後も相手国と交流を続けることを望んでいます。

継続的な合宿の受け入れや国際交流のイベント等を、観光資源として活用することも可能です。例えば、地域住民向けに開催していた国際交流イベントを、観光イベントとして⼀体的に開催することを地域外にPRして、観光集客につなげることも考えられます。

競技や選手に関連した消費喚起

スポーツツーリズムは、競技の人気によっても左右されます。まずはスポーツの観戦客や⾒学者などの来訪者数の増加が基本になりますが、その競技の特徴に着⽬することで、より効果的に消費拡⼤につなげていくことが可能です。

競技の公開練習時間、合宿中の試合の有無、大会のコースや会場、選手の特性などを考慮すれば適切な対策が取れます。練習試合の日程をPRしたり、対戦相手に合わせたイベントなどを行うことで消費の拡大に貢献することが期待されます。

青森県の魅力を生かした観光資源

ホストタウン事業は、世界にその地域の魅力をアピールする絶好の機会です。

しかしながら青森県はそれ以前から青森ならではの魅力を発信し、インバウンド集客を成功させています。まずは青森の観光資源を掘り起こし、商品化しました。

そこで注目を浴びたのが「ねぶた小屋ガイドツアー」と「ハネト体験と夕食プラン」でした。大型ねぶたの制作過程を見学することでお祭りをより身近に感じ、パレードに参加して実際に体験することができます。すでにあるものの切り口を変えて、新しい価値を上乗せすることで新たな魅力を引き出しました。

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ホストタウン事業を通し、外国人観光客にやさしい街づくりを

ホストタウン事業の一環として、地域にある観光資源を見直したり、その土地ならではの発見をしたりすることができます。

少子高齢化の影響で国内の経済活動が小さくなる懸念がありますが、東京オリンピック・パラリンピックを契機に外国人観光客はもちろん、すべての人にやさしい街づくりが進んでいくのではないでしょうか。インバウンド対策は、外国人観光客を呼び込むだけでなく、地域の活性化につながる重要な役割も担っています。

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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