※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年延期され、開会式は2021年7月23日(金)、閉会式は2021年8月8日(日)となりました。
3月24日夜、安倍晋三首相と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が電話会談を開き、その後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を2021年に延期することを発表しました。遅くとも夏までの開催に向けて検討していくとのことです。
近代オリンピックの歴史において、大会が中止になったことは過去5回(うち夏季は3回)ありましたが、延期は今回が史上初となります。
日本のインバウンド市場において重要な位置を占めている中国でも、この延期について様々な意見や反応がみられています。
今回の記事では、SNSへのコメントや現地ニュースをもとに東京オリンピックの延期に対する中国人の反応を紹介します。
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中国人「賢明な判断」
オリンピック延期の発表に対し、国内外で支持する声や動揺する声が広がるなか、中国でも大きな反響がみられています。
中国最大のSNSである微博(ウェイボー)では、東京オリンピック公式アカウントのオリンピック延期の投稿に対し、3.2万件のいいね!や、1万件のシェア、3,670件のコメントが寄せられています(3月26日現在)。
このコメントから、中国の延期に対する反応を紹介します。
![▲[東京オリンピック公式アカウントのオリンピック延期の投稿]:編集部キャプチャ ▲[東京オリンピック公式アカウントのオリンピック延期の投稿]:編集部キャプチャ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/6022/main_weiboaoyunhui.png?auto=format)
「賢明な判断だ」「頑張れ」という前向きなコメント
微博の東京オリンピック公式アカウントのオリンピック延期の投稿に寄せられたコメントは、延期を支持する肯定的な意見が大多数を占めました。
「一年の延期は誰にとっても賢明な判断だ。」
「来年東京で会いましょう、頑張れ!」
「やっと決まったか。」というコメントもあり、対応の遅れにやきもきしていた人もいることがうかがえます。
また、オリンピックの延期に際する経済的損失の大きさをなげく人も見られます。
アンケートでは約70%「正しい判断だ」、一方で無関心な層も
微博アカウント「新浪娯楽」では、オリンピックの延期に関してアンケートを実施しています。3月24日に公開された「東京オリンピックの1年延期に対してどう思うか?」という質問には8.7万件の回答が寄せられています(3月26日現在)。
そのうち、約6万件が「正しい判断。安全第一だ」と回答し、全体の約70%を占めています。
次いで「残念だが、しょうがない」という意見が1.1万件、「準備を進めてきた人たちを想うと心が痛む」という意見が約7,500件、「関心がない」という意見が約6,200件となっています。
前代未聞の事態に、日本を含め他者をおもんぱかる意見がみられる一方、特に関心がない人もある程度存在することがわかります。
選手をねぎらう声や心配する声
また、オリンピックの延期を支持する意見が多くみられる中、東京オリンピックに出場予定であった選手たちに対するコメントも多くみられます。
「選手たちには体に気を付けてあと1年頑張ってほしい。」
「選手たちの準備への影響は大きい。4年に1度の大会に向けて調整してきた選手たちが来年も同じコンディションでいられる保証はない。」
また、中国国内で人気の女子バレーチームや、卓球の馬龍選手といった、特定の選手やチームに対する応援の声も見られました。
「歴史を見た!」「ロゴは変わらないの?」
様々な記事の寄せられるコメントの中に多く見られたのが「见证历史」、つまり「歴史が刻まれる瞬間に立ち会っている」というコメントです。
近代オリンピック史上初の開催延期という歴史的瞬間に立ち会ったことに、どこか感動を覚える中国人も多いようです。
さらに、オリンピックの名称が「東京2020」のまま変わらないというニュースに対しては「2021年に2020年東京オリンピックをするのか?」「2020+1にするのはどうか?」「2020proはどうだろうか?」という新たな名称を提唱するコメントが確認できます。
また、「2022年開催予定の北京オリンピックと併せて開催してしまえばいいのではないか?」という意見もみられました。積極的に今後を考え、自分独自の意見を述べる前向きな姿勢は中国らしいともいえるでしょう。
専門家の意見:北京オリンピックへの影響を懸念する声も
これまでSNS上での中国の人々の反応を紹介してきましたが、現地のニュースでは専門家も多くのコメントも紹介されています。
中国外務省の耿爽副報道局長は25日の記者会見で、オリンピックの延期について、「決定を尊重し、引き続きオリンピックの実施を支持する」とコメントしました。
また、東京オリンピックが2021年夏に開催される場合、その半年後の2022年2月に開催される北京冬季オリンピックへの影響を懸念する声も見られています。
25日の中国英字紙チャイナ・デイリーによると、アジア・オリンピック評議会(OCA)の魏紀中副会長は、オリンピックのスポンサーとなっている企業が東京オリンピックへの投資を優先し、次に開催される北京オリンピックに充てる予算の削減を迫られる可能性があるという見方を示しています。
また、中国社会科学院日本所研究員の高洪氏は24日の取材に対して「2020年の東京オリンピックが延期となれば、世界中のスポーツ大会のスケジュールもそれに合わせて調整する必要がある。(中略)さらに、2022年まで延期する場合、北京冬季オリンピックの開催に影響するだけではなく、2024年のロンドンオリンピックまで2年しかなく、開催の效果が薄れてしまうだろう。」とコメントしています。
「オリンピック延期」支持、2021年の「歴史的瞬間」どうアピールする?
オリンピックの延期を引き起こした新型コロナウイルスの流行ですが、中国では特に深刻な事態に見舞われてしまいました。こうしたいきさつもあってか、オリンピックの延期決定に胸をなでおろす人も少なくなかったようです。
また、延期については「歴史の証人」というキーワードで反応している人もたくさんいます。2021年の実施の際には、こうした側面を強調することがより大きな集客につながるかもしれません。
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