本日4月8日、武漢解除!新型コロナウイルスの災禍へも迅速に対応、中国「リモートワーク」「リモート授業」現場では钉钉(Ding Talk)に存在感

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こんにちは、クロスシー編集部です。

新型コロナウイルスが世界中で流行しています。感染者数では、アメリカ、イタリア、スペインの順で多くなっています。

4月7日午前4時のAFP通信の発表によると、世界の新型コロナウイルスによる死者数は7万3,139人です。この統計は、各地のAFP支局が各国当局から収集したデータと世界保健機関(WHO)からの情報に基づいたもので、実際の感染者はこれよりも多いと考えられるそうです。多くの国では現在、症状が重い人に対してのみ検査を実施しています。

中国では日常を取り戻しつつあるようです。本日4月8日には、武漢封鎖が解除されます。

中国各地では、ここまでどのように仕事や学業を継続してきたのでしょうか。今回は、オンラインサービスに着目しながら紹介します。

※画像はすべて、筆者キャプチャ

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新型コロナウイルス流行→ほぼ収束とみられる、4月下旬までの3か月

新型コロナウイルスは2019年12月に、中国で最初に発症が確認されています。4月1日時点の百度の情報では、累計の感染者数は8.2万人、治癒した患者は7.6万人、死亡者数3,300人となっています。そして、新規感染者の数は徐々に減少しています。

▲百度の「新型コロナウイルス、リアルタイムビッグデータレポート」
▲百度の「新型コロナウイルス、リアルタイムビッグデータレポート」

今年の春節が1月25日とあって、まさに感染が始まったタイミングで、中国全土、そして海外旅行先に、中国人の移動が起こっていました。中国政府は感染の拡大防止のため、団体旅行の禁止に踏み切ります。

感染が最も広まっていた武漢については、1月23日より都市への出入りを禁ずる「封城」の措置が取られました。

新型コロナで中国人観光客の団体旅行禁止:日本政府目標「訪日客4,000万人」に急ブレーキ

26日に日本で4例目となる新型コロナウイルス(COVID-19)感染者が確認されました。日本だけでなく世界各地で感染が確認され、感染者数も日を追うごとに増加しています。感染源地である中国の国家衛生健康委員会の発表では、26日時点で中国国内の感染者が2,744人、亡くなったのは80人だとしています。いまだ終わりの見えない新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大が、日本政府が掲げる「2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人」に大きく影響し目標達成が難しくなっています。しかしこの目標、実...

春節の休暇を延長

2020年の春節は1月25日で、大みそかにあたる24日から30日までの7日間が法定休暇でした。しかし、人同士の接触が感染拡大を引き起こすことから、国は翌週の2月2日までを休暇に変更します。 

▲国務院のサイトで告知された春節休暇の延期
▲国務院のサイトで告知された春節休暇の延期

また、最も感染状況がひどかった武漢市のある湖北省では、2月13日までこの休暇の延長を決めました。湖北省に来訪した人もこの休暇延長の対象としています。

春節の休暇が明けたあとも、北京や上海といった大都市では2月10日まで休暇を延期しています。 

外部からの来訪者に隔離措置、市中でも人との接触を減らす動き…日本からの渡航が実質不可に

北京、チンタオ、上海、深センといった都市では、入国した外国人や、市外からの来訪者に対する2週間の隔離措置をとることが発表されていましたが、これ以外の都市でも、政府の指令、あるいは自主的に、同様の施策を講じていたようです。

3月10日には、中国は日本に対する14日間のノービザでの訪問を一時停止することを発表しました。

1月末より、北京でも外部からの出入りを把握するため、エリアへの車の出入り口を減少させるといった厳戒態勢がとられている様子が現地在住者より伝えられていました。また、食品の買い出しの回数を二日に一回、一世帯から一人だけと制限が課される地域もあったようです。

同じく北京では、外食産業では来店者に対し距離をとって座らせたり、タクシーでは後部座席と運転席の間にビニールのカバーを付けたり、金銭と商品のやりとりには柄の長いひしゃくを用いるといった形で、引き続き感染拡大の防止に努めているようです。

プラットフォームは情報配信:誤情報の打ち消しにも

百度や、ニュースサイト、医療系スタートアップの丁香园(丁香園)はWeChatのパブリックアカウントといった形で、様々な企業が、かなりの初期からこうしたサービスを開始していました。

▲丁香園のパブリックアカウント。UIは頻繁にアップデートされていた。
▲丁香園のパブリックアカウント。UIは頻繁にアップデートされていた。

Alipayでも同様に日々情報を更新しています。

▲Alipayでも、新型コロナウイルスに関する情報が更新されている
▲Alipayでも、新型コロナウイルスに関する情報が更新されている

「デマ」の撲滅

日々の観戦情報の配信と同時に、こうしたサービスでは「デマ」の拡散防止にもつとめているのが印象的です。社会に不安が広がる際、誤った情報が広がるのはどこの国でも変わらないようです。

今回は感染病に関するデマとあって、人の命を左右する重大な局面にあり、膨大なユーザーを抱える各プラットフォームで、同時に誤情報の拡散防止を行うのは、社会的なパニックを防ぐ面でも効果的だったと考えられます。

「特定の食べ物で感染を防げるか?」といった少し考えれば信憑性の低さに気づきそうなものから、「蚊によって伝染する?」「すでにワクチンができた?」「ウイルスへの抗体について自宅で調べられますか」といった、一般人にとっては判断に難しいトピックまで、数多くの疑問に答えています。

▲丁香園のパブリックアカウントでも、「デマ=谣言」の訂正コンテンツが展開された
▲丁香園のパブリックアカウントでも、「デマ=谣言」の訂正コンテンツが展開された


日本でもSNSはじめ「デマ」が多く出回りました。ウイルスは高温で消えるといった病気そのものにかかわるものであったり、「石」にウイルスを寄せ付けない効果があるというものだったり、それにより紙類が不足するといった経済活動への影響を吹聴するものまで、SNS上に広がりました。 

中国では2月には感染状況も落ち着きはじめ、同月末、WeChatパブリックアカウントで日々の状況を伝えていた医療系スタートアップも、関連情報の更新を週一回とすることを伝えています。

コロナでより進化した中国:リモートワークではアリババ系「钉钉(Ding Talk)」

休暇明けには、企業は在宅勤務を命じたり、出社の停止(業務の停止)を命じたりという形をとりました。 こうした中で、中国でもオンラインでの勤務が各地で開始されました。

リモート勤務を中国語では「在线办公(在線辦公)」「远程办公(遠程辦公)」などと表記します。「在線」は「オンライン」の意味です。

中国のインターネットサービスは、国内からのアクセスが制限されているサービスもあり、世界の主要サービスとは様相が異なります。

リモートワークの際のオンラインツールでも、SlackやGSuiteではなく、アリババの「钉钉(釘釘/Ding Talk)」がマーケットシェアの大部分を占めています。ただし、オンライン会議の際にはZoomも利用されています。

Ding Talkは2014年末にテスト版をリリース。2019年の発表では6月末でユーザー数2億を突破し、組織ユーザーは1,000万に達していました。

オフィス向けチャットツールとしては、テンセントのWeChat企業版も2016年先にスタートしていましたが、こちらのユーザー数は2019年末の発表で6,000万と、アリババの後塵を排しています。

今回の新型コロナウイルスの流行を受け、テンセントは300人が同時に参加できるオンライン会議サービス「腾讯会议(騰訊会議/テンセント会議)」を無料開放しました。また3月下旬には、国際版の「VooV Meeting」をリリースしており、背景には国連によりDing Talkがオンラインワーク・教育ツールとしての推薦を受けたことがあるといわれています。

今回の新型コロナウイルスの流行で在宅勤務の必要性が高まり、2月5日のアプリストアランキング(無料、iOS)ではDingTalkが初めてWeChatを抜き首位になりました。 

▲無料アプリランキングでDing Talkが首位に
▲無料アプリランキングでDing Talkが首位に


現状、アリババとテンセントがリモートワークにかかわるツール(オフィススイート)の市場シェアではリードしているようです。この先、各国でも在宅勤務やリモートワークが進むにあたって、こうした企業が他国の市場に打って出ることも十分考えられるでしょう。

またこのほかにも、中国のIT業界を代表するHuaweiからは华为云WeLink、ByteDanceからは飛書(飞书/フェイシュー)といったオンラインツールがリリースされています。 

リモート授業が継続中

学校については、幼稚園から大学まで、4月5日現在まで休業となっているところが多いようです。

中国には12月末~1月の元旦を祝う風習はなく、元旦の休日の後も授業を行い、その後冬休みが開始します。今年は1月10日ごろから冬期休暇となったようです。

今回の新型コロナウイルス流行で外出の制限がかかり、南昌市のある小学校では、冬期休暇中のオンライン授業のプラットフォームを利用してそのまま今にいたるまでオンライン授業が行われています。

ウェブブラウザ、Youku、WeChatのパブリックアカウント、スマホアプリなど、複数のサービスで同一の授業が受けられるようになっているそうです。

▲WeChat公式アカウントからアクセスした南昌市のオンライン授業サービス。トップページで学年を選ぶ。過去の授業も再生できる。
▲WeChat公式アカウントからアクセスした南昌市のオンライン授業サービス。トップページで学年を選ぶ。過去の授業も再生できる。

▲授業は動画で進行する
▲授業は動画で進行する

こうしたすぐれたシステムがすでに公教育の現場に実装されている点には、中国の「新しいサービス」を作り出すスピード感が良く現れています。

一方で親の立場に立ってみると、「これでどれほどのものを子供が学べているのかは、正直よくわからない」というのもが本音のようです。特に、小学校となると、子供自身が勉強することの意義をまだとらえきれていないこともあり、大人の付き添いが理解の程度を左右するのかもしれません。

アリババの「钉钉(Ding Talk)」がオンライン授業のツールとしてテンセントに勝った理由

アリババの「钉钉(Ding Talk)」も、学校向けにライブ配信、動画配信の機能の提供を開始しています。

中国全土で14万校、290万クラス、350万の教師がこの機能を利用し授業を行ったといわれています。またこれを利用した授業を受けた生徒は1.2億人にも及ぶそうです。サービス利用者の多さもさることながら、その配信を支えるアリババのクラウドシステムの強固さが証明されたともいえるでしょう。

钉钉(Ding Talk)のライブ配信機能は無料で展開され、こうした点でもテンセントのサービスに差をつけることに成功したといわれています。WeChatや企業WeChat、QQではこのような無料展開する取り組みはありませんでした。

また钉钉(Ding Talk)は、WeChatと異なり、送られてきたファイルに保存期限がなく、メッセージの「既読」が表示され、また教師から送られてきたメッセージだけをたどることもできるようになっています。

▲教師のメッセージの確認は、メッセージを表示させた上部に、メニューとして表示されている
▲教師のメッセージの確認は、メッセージを表示させた上部に、メニューとして表示されている

まだ影響残る中国…日本からの情報発信で気を付けたいことは?

4月4日は中国の「お盆」にあたる清明節で、新型コロナウイルスの影響で亡くなった人々への哀悼の意が、中国の各種サイトで表明され、トップページがことごとく白黒となりました。

▲中華人民共和国中央人民政府サイト
▲中華人民共和国中央人民政府サイト

仕事はほぼ正常化

オフィスビルへの出入りが再開されても、検温や出入りする人の制限といった取り組みが続きます。感染リスクを下げる環境を維持しようという意識が高まっているようです。

Ding Talkは引き続き、こうしたニーズを踏まえた企業向けサービスを展開しており、今後さらにシェアを伸ばしていくことも考えられます。中国では指紋を認証させる形でタイムカードの打刻を行う職場もあります。

Ding Talkはスマホアプリからの出退勤を登録できるため、感染リスクの低減につながるとして採用する職場も出てきているそうです。

学校は一部4月から再開

学校の授業は引き続きオンラインで提供されていますが、4月に入り、登校の再開を予定する地域もあるようです。

ある学校では、登校再開にあたり、Ding Talkを通じて数日前までの健康状態を報告させるといった運用が予定されています。

高考は一か月延期

勤務や登校が再開される中、中国の大学受験である「高考」の実施が1か月延期され、7月7日と8日に日程が変更されました。

「高考」の時期には、企業や組織もSNS上で学生を応援するメッセージを発信する等、注目を集めます。日本から公式アカウントを運営している場合には、こうした現地のイベントをとらえたコンテンツ配信を計画しておくべきでしょう。

武漢のこの後は?

4月8日には、武漢封鎖の解除が予定されています。

武漢は中国の内陸に位置する湖北省の省都であり、桜の名所である「武漢大学」、漢詩で有名な「黄鶴楼」など、観光名所も多く、中国全土で新型コロナウイルスの感染が収まった際には、応援の気持ちも兼ねて観光客が足を運ぶことも考えられるでしょう。

武漢の姉妹都市である大分市は、早くからマスクを郵送し、中国側からも感謝の声や、事態が落ち着いたら遊びに行くといったコメントが多く寄せられていました。新型コロナウイルス収束後のリバウンドに向けて、こうした中国国内のムードをふまえたうえで、この先の日本商品や日本観光の訴求の際の見せ方を検討していくとよいでしょう。 

<参照>

https://www.afpbb.com/articles/-/3277429

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200407/k10012371641000.html

https://jingyan.baidu.com/article/a3aad71a8a87cef0fa009636.html

http://www.gov.cn/fuwu/2020-04/04/content_5499017.htm




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この記事の筆者

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株式会社クロスシー編集部。中国語圏向けに日本情報の提供をするインターネットメディア運営・レップ事業を展開すると共に、訪日観光客向けのマーケティング・ソリューションを提供しています。日本の観光立国を実現すべく、メインターゲットとなる中華圏への観光情報、サービス、商品について、日中間の情報格差を埋め、観光客にとって最高の日本体験の提供を目指しています。

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