新型コロナで中国人観光客の団体旅行禁止:日本政府目標「訪日客4,000万人」に急ブレーキ

公開日:2020年01月27日

26日に日本で4例目となる新型コロナウイルス(COVID-19)感染者が確認されました。日本だけでなく世界各地で感染が確認され、感染者数も日を追うごとに増加しています。感染源地である中国の国家衛生健康委員会の発表では、26日時点で中国国内の感染者が2,744人、亡くなったのは80人だとしています。

いまだ終わりの見えない新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大が、日本政府が掲げる「2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人」に大きく影響し目標達成が難しくなっています。しかしこの目標、実は2019年から達成が危ぶまれていました。

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中国政府が「団体旅行禁止」「春節休暇延長」発表

中国政府は世界中で感染が広がっている新型コロナウイルス(COVID-19)の封じ込めのため、国内・国外の団体旅行を禁止すると発表しました。中国の旅行会社を統括する中国旅行者協会は、27日から国内外の団体ツアーを一時停止するそうです。

また人が接触する機会を減らすべく、春節休暇を2月2日まで延長すると発表されています。これにより中国国内の学校は休校となり、日本国内の中華系外国人学校も休校する学校が出ています。

日本政府目標「2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人」達成不可能か

東京オリンピックが開催される2020年に、政府は「訪日外国人旅行者数4,000万人」を誘致する目標を掲げていました。「観光立国」となるべく、政府はビザ緩和、免税制度の拡充、出入国管理体制の充実、航空ネットワーク拡大などを積極的に行ってきました。

施策の中でも特に訪日中国人誘致に力を入れており、2009年に個人観光ビザの発給が開始されたことで、2010年の訪日中国人旅行者数は前年比約40%、140万人を記録しました。2020年の春節休暇でもっとも人気の旅行先として沖縄が挙げられ、約70万人の訪日中国人旅行者を見込んでいました。しかし今回の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、大きく方向修正を迫られています。

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ビザ緩和によるインバウンド効果は?個人観光ビザの発給で増える訪日中国人向けの対策とは

2018年における日本のビザ発給数は過去最高を記録し、訪日観光客がますます増加傾向にあります。また、2019年には中国を含む複数の国・地域でビザ緩和が行われました。その中でも中国の個人ビザの伸びが顕著であり、日本の観光業における中国市場の活性化や消費拡大が期待されています。さらには、インバウンド事業におけるライバル国「タイ」の動きもあり、今後はよりビザ申請手続の簡素化が進められる予定です。このように、日本が力を入れる観光産業を促進するために、近年さまざまなビザ緩和が行われています。インバウ...


実は2019年から目標達成は厳しかった?

新型コロナウイルス感染拡大によって、「2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人」達成が厳しいと各所で報じられています。しかしこうした報道が出る前から、こうした事態は予測されていました。

みずほ総合研究所の2019年の調査によると、この政府目標の達成は難しいのではないかと指摘されています。その理由は複数ありますが、主に「災害」「政治」「経済」が大きく影響しているようです。

原因:災害

2018年まで順調に外国人旅行者数が伸びていましたが、大阪地震や台風21号、西日本豪雨、北海道地震などが相次いで発生し多くのキャンセルが発生しました。一時的な現象かと思われましたが、訪日旅行者数の伸び悩みは回復せず低迷しています。

原因:政治

韓国・台湾・香港からの訪日旅行者の伸び率が急減速しています。韓国・台湾・香港からの訪日旅行者数は2017年に前年比+25%超でしたが、台湾、香港は2019年の前年比+5%以下と予想されています。韓国に関してはー26%となっています。韓国・香港・台湾からの旅行者数は、訪日外旅行者全体の半分弱程度を占めており、この3か国ここの持ち直しは目標達成に不可欠です。

韓国の著しいマイナス成長は、日本でも大きく報道されていた日韓関係の悪化が大きな原因です。日韓関係の悪化により、反日デモや不買運動などが起こり日本企業にも大きな痛手となりました。

原因:経済

韓国・台湾・香港からの訪日旅行者の低迷は、災害や政治的要因だけでなく、経済環境の悪化も考えられます。2018年後半以降、中国経済や半導体市場の低迷が起こり、半導体等のITセクターが主力産業である韓国や台湾は、大きな経済的打撃を受けていると言われています。

さらに韓国、台湾、香港の為替レートを見ると、円安だったレートが徐々に円高になっています。円安から円高傾向になり、訪日旅行が割高に感じられるようになった可能性があります。特に韓国・台湾は経済環境の悪化により、影響が大きく出たのかもしれません。

▲[実質為替レート]:みずほ総合研究所
▲[実質為替レート]:みずほ総合研究所

上記の要因を背景に、韓国・台湾の旅行先がシフトしている傾向がみられています。韓国、台湾の旅行先は日本よりもコストパフォーマンスが良いタイ、ベトナムなど東南アジアにシフトしているようです。Expediaが公表する2018年の韓国、台湾の海外旅行先急上昇ランキングでは、ニャチャンやダナン、セブ、コタキナバルといったアジアのリゾート地が上位にランクインしています。

さらに香港はマカオや中国への旅行者が増えており、その理由が2018年10月24日に開通した港珠澳大橋だと考えられます。それまで香港―マカオ間はフェリーで約1時間でしたが、開通後はバスでわずか35分となりました。

現実的な指標と冷静な対応が必要

韓国・台湾・香港の訪日旅行者数低迷の動きがある中で、頼みの綱だった訪日中国人旅行者ですが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で期待できない状況となりました。

このまま新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威が収まらなければ、東京オリンピックの開催にも小さくない影響を及ぼします。中国からの団体旅行の制限は開始されましたが、個人旅行者や家族や親族の訪問、商業目的の日中間の人の移動は引き続き継続すると考えられます。日本国内での流行防止のためにも、個人個人の感染予防の心がけが引き続き必要といえるでしょう。

<参照>

厚生労働省:新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について

みずほ総合研究所:2020 年のインバウンド客数 目標達成に黄信号

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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