待たれる「新型コロナウイルスのワクチン」登場、最短スケジュールは2021年夏との見方も:完成を待つ今、できることは?

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新型コロナウイルス感染者数は、4月はじめ、世界で100万人を越えました。

世界各地で、ロックダウン(都市封鎖)に出る都市が複数出ています。日本でも、昨日4月7日、安倍首相による「緊急事態宣言」が出されました。

新型コロナウイルスの治療薬として期待されている薬の1つである「アビガン」について、同日の記者会見でも言及されています。

ただし、アビガンは現在(4月8日)新型コロナウイルスを対象に承認された治療薬ではありません。一刻も早い収束を目指すため、新型コロナウイルスのワクチン開発が早急に進められています。

世界と日本の新型コロナウイルスワクチン開発に向けた取り組み、そして専門家でない人が開発に協力する方法について紹介します。 

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製薬会社・研究機関が全力をそそぐ、新型コロナウイルスのワクチン開発

世界中の製薬会社や研究機関が、新型コロナウイルスの感染拡を受け、ワクチン開発を進めています。 

ジョンソン・エンド・ジョンソンが10億ドル投資、新型コロナのワクチン「来年早々」にも供給へ

米製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソンとBARDAが共同で、新型コロナウイルス予防ワクチンの研究開発に10億ドル超(約1,080億円)投入することを発表しています。

臨床試験は9月までに開始予定、ワクチンの実用は来年の初めを目標にしています。

BARDAとは、アメリカ厚生省における生物医学先端研究開発局です。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、アメリカの研究開発局と、これまで20年以上に渡りワクチン開発へ多額な投資をしてきました。

これまでの提携規模をさらに拡大した今回の共同開発に対し、世界中から期待が寄せられています。

米ピッツバーグ大「貼るワクチン」動物実験で効果確認

米ピッツバーグ大学医学部はマウスを使った動物実験で、開発中のワクチンによる効果を発表しています。

米ピッツバーグ大が利用したのは「貼るワクチン」といわれるマイクロニードルパッチを使ったワクチンです。今後、臨床試験を開始し、普及への実現を図る予定です。

今回の動物実験では、ワクチン投与後2週間で抗体が急増したと発表されており、注目が集まっています。 

オーストラリア、2種類のワクチンが実験段階へ

オーストラリアでは、新型コロナウイルス感染症の2種類のワクチンに対して動物実験が行われました。

今回、ワクチンを注入されたのはフェレットです。フェレットは新型コロナウイルスへの感染が確認されています。

この臨床実習の結果は早くて今年6月に発表される見通しですが、動物実験が成功したあとには臨床実験が必要です。

こうした省略できないプロセスがあるため、ワクチンの一般市場導入は最低でも18か月はかかるといわれています。

最短スケジュールは2021年夏?ワクチン開発、省略できないさまざまなプロセス

ワクチン開発はさまざまな角度から安全性を確認するために、臨床実験や行政の許可などさまざまな工程が必要となっています。

新型コロナウイルスのワクチン開発は進んでいますが、報道機関や専門家によれば、一般市場で展開されるまで、この先1年はかかるようです。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、3月27日の記者会見で新型コロナウイルスのワクチン開発の時期について「最低でも12か月から18か月はかかる」と言及しています。

そもそもワクチンとは?

ワクチン開発とは、病原体に似た物質を作り、それを少量体に注入し免疫系に触れさせ、免疫系にその病原体を覚えさせ、体内で病原体に対する攻撃を始めるようにさせることで進められます。

この際、ワクチンによって病原体を注入された人が重い病気にならないように細心の注意を払うことが必要になってきます。ワクチンの開発現場には、免疫系に病原体を覚えさせる目的に合致させながら、実験者の容態を悪化させないという微細なバランスを保つことが求められています。

ワクチンをつくる方法は二つに分けられます。微生物を生かしたまま弱毒化させそれを使う方法と、熱や化学物質によって殺したウイルスや細菌からつくる方法です。

大阪大微生物病研究所(微研)でも、病原体に似た粒子を使用した「VLPワクチン」、動物細胞等に感染させ培養し無毒化を図る「不活化ワクチン」の両方から研究を進めているといいます。 

ワクチン開発にかかる時間

国内で最も多く人用ワクチンを製造している「阪大微生物病研究会」によると、本来、ワクチン開発は10年前後の時間を要するものとされています。

基本的なワクチン開発は、基礎研究から動物実験の検証までに約6年、その後の臨床実験で安全性や効果を確認するまでは約3~7年がかかります。

このように、一般の市場に出回るまでは、何年もかかってしまいます。今回の新型コロナウイルスは、ワクチンに緊急性が要するため通常より早い許可が下りるだろうといわれています。しかし、そうであってもやはり、最短でも1年は必要だろうと推測されています。

開発に対して、我々にできることは?

専門家でない一般市民が、ワクチン開発に対してできることはあるのでしょうか。

1. 「Sing For Life」署名プロジェクト

▲[「Sign For Life」署名プロジェクト]:公式サイト
▲[「Sign For Life」署名プロジェクト]:公式サイト

ワクチンが開発された時、いち早く普及される国とそうでない国があります。

その差異をなくし世界中のすべての人が平等にワクチンを受け取れる仕組み作りを目指しているのが「Sign For Life」です。

署名プロジェクトの期間は、2020年4月3日(金)〜5月29日(金)です。

ワクチン開発へ支援と供給を行うグローバル・パートナーシップ「Gavi, The Vaccine Alliance (以下:Gavi)」への支援金の増額を目指します。

Gaviは、加盟政府やさまざまな組織や団体が一丸となって運営する団体です。得た資金でワクチン開発の支援や発展途上国にワクチンを届ける活動をしています。

同団体は、これまでに累計1,300万人の命を救い、累計で7.6億人の子供達にワクチンを届けています。

このプロジェクトを通しワクチン開発と供給の重要さを多くの人々に伝え、さらには出資国の日本からGaviへ支援金増額を求めています。署名は日本政府に提出されます。

2. 自分のPCのリソースを治療法解析の支援に使えるプロジェクト

▲[Folding@home]:公式サイト
▲[Folding@home]:公式サイト

パソコンを持っていれば、新型コロナウイルスの治療法の開発に協力できるプロジェクトもあります。

分散コンピューティングプロジェクト「Folding@home」は現在、新型コロナウイルスの解析プロジェクトを発表しています。

新型コロナウイルスの治療法が迅速に開発されるために、分子の合成や分析の優先順位を決めるシミュレーションを、協力者のパソコンで実行します。

シミュレーションを通じて、病気のメカニズムを分子レベルで解析し、治療に利用できる弱点を突き止めます。

これまでに、合計で100万台以上のものデバイスがこのプロジェクトに参加しており、このプロジェクトの結果は追々ブログで発表される予定です。

まとめ

世界各国の新型コロナウイルスのワクチン開発には、まだ時間がかかるとみられています。ただし、本来、ワクチンの市場流通までは数年~10年ほどの時間を要するものであり、WHOから世界に向けて「18か月」というメッセージが出された背景には、事態の深刻さもうかがえます。

また、開発現場にはかなりのプレッシャーが存在しているはずです。ワクチン開発の支援のためには、署名プロジェクトの参加など個人で協力できる道もあります。こうした形で協力の意思を示すことも、微力ながら開発への貢献となるでしょう。

新型コロナウイルスのワクチンはいずれ完成すると考えられます。その時まで、一人ひとりが感染拡大の防止に尽力するべきでしょう。

<参照>

iza:新型コロナワクチン見通し「最短で1年」も… 開発には高いハードル

WIRED:新型コロナウイルスのワクチンは、いつできる? ──基礎から最新事例まで「知っておくべきこと」

PRTIMES:新型コロナウイルス感染症のワクチン開発支援と、あらゆる感染症のワクチンを量産し世界の全ての人に供給することを目指す「Sign For Life」署名プロジェクト始動

https://signforlife.jp/

CNET Japan:自宅のPCで「COVID-19」との戦いを支援できる「Folding@home」、参加者が急増中

https://foldingathome.org/

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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