大阪で非接触配達のフードデリバリーも展開するDiDi:配車サービス「滴滴出行」の読み方や企業概要、日本展開についてまとめ

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2020年初頭から、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、外出自粛の動きに伴い、デリバリーサービスに注目が集まっています。こうした中で、中国企業のDiDiによる「DiDi Food」は、大阪にて4月7日より実証実験を開始しています。非接触の配送を提供するとのことで、感染リスクの低減にもつながるとみられ、注目が集まります。

DiDiは、ライドシェア、配車サービスの「滴滴出行」を中国で展開しています。中国社会で同サービスは広く普及しており、2020年3月末には新たな3億ドルの資金調達についてソフトバンクグループとの協議が報じられました。

また同社は2018年7月より、ソフトバンクとの合弁会社DiDiモビリティジャパンを設立して日本でもサービスの提供を開始しました。

今回は、滴滴出行の読み方やサービス概要、同社の配車サービスに関連した日本の法律や規制などについて解説します。


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滴滴出行は何と読む?

滴滴出行とは中国語で「ディディチューシン」と読みます。ピンインはdī dī chū xíngと書きます。

中国の北京市に本社をおく大手のライドシェア企業です。

滴滴出行とは

滴滴出行(ディディチューシン)は北京市に本社をおき、現在400以上の都市で4億人以上が利用している配車サービス、ライドシェアの会社で、2018年6月に日本に進出しました。

ユーザーはアプリ上で現在地と目的地を入力することで、付近を走るドライバーとマッチングし目的地に向かうことができます。つまりはどこにいてもタクシーを呼ぶことができる中国版ウーバーです。

滴滴出行(ディディチューシン)は、いわゆるライドシェア企業と分類されますが、同社が提供しているのは配車プラットフォームです。

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中国ではライドシェア、配車サービスを提供するアプリ「滴滴出行」(Didi Chuxing/ディディチューシン)が広く普及しています。一方日本ではタクシー業界の抵抗もあり、ライドシェアはまだ法律に抵触するため展開が難しい状況です。中国人含めインバウンド旅行客に人気の京都ですが、2017年のインバウンド旅行客のタクシー利用は数パーセントにとどまっており、路線バスの混雑緩和が課題ともなっています。日本では複数の配車アプリが独自のサービスを展開しており、利便性は高まりつつあるもののインバウンド旅行...


滴滴出行の企業価値

滴滴出行(ディディチューシン)は実は、中国で配車サービスの2強であったテンセントが支援する滴滴打車(Didi Dache)とアリババが支援する快的打車(Kuaidi Dache)の、ライバル企業同士の合併によって2015年に誕生しました。

合併した両社は、2012年にそれぞれ会社を設立し、2014年末の時点の配車サービス業界ではトップシェアを占めていました。そして2015年に配車サービスの大手二社が合併し社名を滴滴出行(ディディチューシン)としました。

同社は中国の3大IT企業、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、Baidu(百度)から支援を受けた唯一の企業であり、企業価値は560億ドルと非常に価値の高いテクノロジー企業です。

滴滴出行の規模

2012年当時、テンセントが支援する滴滴打車(Didi Dache)が56.5%、アリババが支援する快的打車が43.3%の配車アプリ市場シェアを占めていました。

合併して誕生した滴滴出行は、現在中国最大手の配車サービスで中国400都市で4億人以上のユーザーが利用しています。

2015年末までに、滴滴出行の運転手数は1,500万人、利用者累計3億人、依頼数は140億人を記録しました。中国の配車サービスの87%のシェアを占めていると考えられています。

中国における滴滴出行のサービス

滴滴出行が中国で提供しているサービスでは、配車される車や運転手によるランク分けがあり、そのほかにも相乗りサービス(ライドシェア)があります。

ここからは滴滴出行の多様なサービスについて解説します。

選べる配車のランク

ユーザーは配車形態や車両のランクを、以下の5種類の中から選ぶことができます。

1.順風車(乗り合い):ライドシェア。サラリーマンが副業として運転手をしていることもある。最も安い価格で利用できる。

2.出租車(タクシー):一般のタクシーをアプリ経由で呼び出し利用する。料金はタクシー会社のメーターに基づく。

3.快車(専属タクシー):通常快車と優良快車があり、優良の料金は出租車よりやや割高となる。

4.礼橙専車(高級タクシー):セダンだけでなく6人乗りなどもある。料金は通常快車の1.5倍程度。座席にペットボトルの水が用意されている。

5.豪華車(超高級タクシー):ベンツなど。料金は最も高く、通常快車の9~10倍。ペットボトルの水とお菓子が提供される。

DiDiのその他事業:車両管理プラットホームやプロのドライバー派遣など

滴滴出行が手掛けるのは、一般的なタクシーの配車サービスだけではありません。

滴滴企業版の「DiDi Enterprise Solutions」は、ワンストップ輸送ソリューションを提供する車両管理プラットホームです。企業がアカウントを作れば、社員は企業用のアプリで車を呼び、企業のアカウントでそのまま決済することが可能です。

また、自動車所有者に研修を通ったプロのドライバーを派遣し運転を代行するサービス「DiDi Designated Driving」、バス事業の「DiDi Bus」「DiDi Minibus」、カーレンタル事業の「DiDi Car Rental」、自転車シェアリングサービス「DiDi Bike-Sharing」、自動車保険のサービスプラットフォーム「DiDi Car Insurance」などを手掛けています。

滴滴出行のサービスに関する法律・規制と日本での展開

2018年に日本に上陸したばかりの滴滴出行ですが、日本進出にあたって注目すべき点が配車サービスに関する規制や法律です。

中国国内での規制、そして日本国内での規制について解説していきます。

事業に関する法律・規制

中国では2016年に『ネット予約タクシー経営サービス管理暫定弁法』(網絡予約出租汽車経営服務管理暫行弁法)が発表されました。

これによってネット予約車には車両登記が求められ、条件を満たした所有者には『ネット予約車タクシー輸送証』(網絡予約出租汽車運輸証)が与えられることになりました。

つまり、通常の免許と車両の証明書が必要になり、ドライバーはさらに多くのコストが必要となりました。さらに多くの保険料や車両の整備費用が必要になったことによってパートタイムでの労働者は少なくなりました。

運転手・労働者の保護

2014年から2018年までの4年間には、運転手と乗客の間のトラブルが多発しています。2018年には、ドライバーによる殺人事件が起きてしまいました。

社会での滴滴出行の信頼は落ち、また営業の自粛もあり同年末には従業員のボーナスは半額に、幹部はゼロになりました。さらに2019年には全体の15%にあたる約2,000人をリストラしました。

ただし、リストラ補償金が国内の通例よりも条件が手厚いことから、転職口コミサイトではむしろ切られた方がいいなどとの声もあったようです。

日本での展開

2018年7月にソフトバンクと合弁し、日本に進出したことで注目を集めている滴滴出行ですが、日本において自家用自動車を有償で運送に用いることは道路運送法で禁じられています。

よって日本ではウーバーと同じく、タクシーの配車サービスを提供します。タクシー会社に滴滴出行の配車プラットフォームを無償で提供することで、提携先を拡大しています。

訪日中国人に対しては、中国国内と同じようにアプリで現在地、目的地を入力し、タクシーが現在地に配車されるサービスを提供します。

世界で市場規模が拡大されているライドシェア市場ですが、調査会社の富士経済によると、日本でも認められているカープール型ライドシェアは、2018年の1億円見込みから2030年には131億円まで拡大すると言われています。

※カープール型ライドシェアとは、長距離移動を前提とした、共通の目的地に向かうドライバーと相乗りする人をつなぐアプリサービスです。実費をドライバーを含めた乗車人数で均等に負担し電子決済で支払うことでトラブルは回避できます。ドライバーが利益を得る目的ではなく同乗者と会話を楽しみ旅費を安くするのが目的です。

さらなる事業展開にビジネスセンスを学ぶ

2018年に日本に進出したばかりの滴滴出行ですが、日本での展開には中国と比べて規制が多いという難点もあります。また日本では業界への配慮から、大胆な方針転換がなかなか実現しません。

DiDiは、配車サービスだけでなく、機運をとらえて新規事業を展開しています。そのスピード感やサービス設計の背景には、競合があふれる中国で生き抜いてきた企業の実力があります。

こうした先例に学ぶことは、業界を問わず、国際化がすすむ社会の中で選ばれる商品を生み出すことにつながるのかもしれません。

関連記事
トヨタ600億円出資の滴滴出行、タクシー業界に与えるインパクト
Uber超えの配車アプリ「滴滴出行」ソフトバンクと提携で日本進出

<参照>

https://thebridge.jp/2020/03/didi-is-close-to-300-million-deal-with-softbank

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1245226.html

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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