3月〜5月にかけて各地で咲いた桜の花を見て、食べ物や酒を楽しむ「お花見」は日本の春の風物詩として親しまれており、訪日外国人観光客からも注目を集めています。
新型コロナウイルス感染拡大前の2019年では、JNTOの訪日外客数調査によると、3月、4月には270万人から290万人ほどの外国人旅行者が来日しています。また、新型コロナウイルス感染拡大前の5年間では年々訪日外国人客数が増えています。
さらに近年では、韓国や台湾など自国でお花見を楽しむ国も増えており、海外にもお花見が文化として定着しつつあります。
今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により外国人旅行客の渡航制限が続いていますが、来年以降のインバウンド対応を計画するにあたり、お花見がインバウンドにもたらす効果を知っておくことは大切です。
この記事では、外国人観光客のお花見文化に対する反応や、外国人対応を進めているお花見業界の対応、そして外国人に人気を集める東京のお花見スポットをご紹介いたします。
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外国人から注目を集める日本のお花見文化
外国人にとってお花見は、ただ美しい桜の風景を見るだけでなく、それにまつわる日本の習慣や食文化、礼儀や作法にも強く惹かれるものがあるようです。
以下では、お花見に対する外国人の反応をご紹介します。
テレビや新聞での桜の開花予想に驚き
2月から5月のお花見の計画を立てる時期・桜の花が咲く時期になると、「桜の開花予想」が必ずテレビや新聞で取り上げられます。日本人には春の風物詩としてお馴染みのものですが、外国人にとっては非常に珍しく映るもののようです。
毎日のニュースで桜の開花状況が報道される様子を見て「日本人はよほど桜が好きで、特別な存在と考えているのだろう。」と感じる人も多いようです。また、開花時・満開時・散り際などの様々な桜の状況をメディアで楽しめることに興味を示す声もあるようです。
お花見弁当&お酒にも関心
また、桜の花と共にいただくお花見弁当やお酒に興味を持つ外国人観光客も多いようです。弁当は近年海外でも「Bento」と呼ばれ、様々なおかずを色や栄養のバランスを考えて詰め込まれた料理の形態として注目を集めています。そこで、本場の弁当を食べたいと考える人も多いようです。
満開の桜の下で家族と一緒に食べている習慣を見て、羨ましいと考える外国人も多いと言われています。
また、花見酒と言われるように、お花見にはお酒も欠かせません。これも、外国人から見ると非常に珍しいと感じる光景のようです。
というのも、海外では公園などの公共の場での飲酒が禁止されているところが多く、日本のように外でお酒を飲んでいる様子を見て羨ましく思ったり、酒で騒いでいる日本人を見て大人しいイメージとのギャップに驚く外国人観光客も多いようです。
日本人のマナーの良さを実感
外国人観光客には、お花見の後でゴミを持ち帰る人が多く、日本人のマナーの良さに感銘を受ける人も多いようです。実際に日本人のマナーの良さは世界的にもよく知られており、2006年から2009年のエクスペディアの調査では3年連続で日本人が「ベストツーリスト」に選ばれました。日本人は「行儀の良さ」「礼儀正しさ」「清潔さ」などの項目で1位を獲得しています。
桜の花を見て料理や酒を楽しんだ後は、ゴミを片付けて帰るといった風景は海外の人に日本人のマナーの良さを伝える良い機会になっていると言えるでしょう。
他にも、お花見の時期は過ごしやすく気候が良いことや、1か所だけではなく複数の場所でお花見が楽しめることも外国人にお花見への好印象を与えています。
進むお花見業界の外国人対応
お花見は、3月から4月の桜が咲く時期に行われる日本の恒例行事です。日本ならではの風習であるため、この時期に訪れる外国人観光客にも人気があります。
それに伴い外国人観光客に対し、お花見についてアプリやWEBサイトでの情報発信に努める動きが行われています。
また、外国人観光客のための多言語対応も進められています。靖国神社や上野公園など一部の人気お花見スポットでは、「枝を折らないでください」などど外国人に向けてマナーを啓発しているところもあります。
開花予想アプリ
お花見を行う日程を決めるのに役立つ桜の開花情報。気象情報を用いたアプリは既にありますが、最近ではそれを外国語に対応させる動きが見られます。
日本気象株式会社は「桜のきもち - 桜の状態や開花・満開予想日がわかる!」というアプリを提供していますが、同社ではこのアプリの英語版「Sakura Navi」や中国語(繁体字)版「櫻花最前線」もリリースし、英語圏や台湾・香港からの観光客に向けて対応できるようにしています。
訪日外国人向けサイト『japan-guide.com』による『Cherry Blossom Reports』
訪日外国人向けサイト「Japan-guide.com」では東京や京都の桜の開花に合わせて「Cherry Blossom Reports」を掲載しています。
このサイトでは、東京や京都における桜の開花情報にとどまらず、お花見の楽しみ方やマナー、桜の木の種類の紹介、上野公園や円山公園といったお花見の名所を紹介しています。
ただ、今年は新型コロナウイルスの影響によりお花見を控えるよう要請が出ており、開花情報も3月末以降は更新されていません。
『Trip advisor』でも多くのお花見ツアーが紹介
また、世界最大の旅行口コミサイトでツアー情報なども数多く掲載されている「Trip Advisor」でも、多くのお花見ツアーが紹介されています。
東京や京都のような大都市だけではなく、長野県や福島県のお花見スポットを訪れるツアーもあるなどゴールデンルート以外を訪れる外国人観光客にも対応したものになっています。
外国人に人気の都内の花見スポット3選
全国に数多くあるお花見の名所。近年では外国人も数多く訪れるようになりましたが、特に人気のあるのが東京のお花見スポットです。
ここでは代表的な3つの名所をご紹介します。いずれもテレビなどで頻繁に登場する代表的なお花見の名所ですが、外国人観光客からはどのような評価を受けているのでしょうか。
新宿御苑
新宿御苑は新宿駅から徒歩10分というアクセスの良さもあり、名所の一つとして有名です。外国人にもショッピングやナイトライフの場所として人気の高い新宿エリアのお花見の名所だけに、多くの外国人観光客が訪れます。
早咲きや遅咲きの品種も植えられているため、シーズンを逃してしまいそうな外国人観光客にもお勧めできるスポットとなっています。
上野公園
動物園や博物館が立地する東京最大の公園である上野公園は、お花見スポットとしても有名でメディアでよく紹介されています。そんな上野公園は、外国人にも大変人気の観光地となっています。
特に公園内での飲食ができるため、桜の木の下の宴会など日本人ならではのお花見の光景を見られるスポットとして人気を集めています。実際に日本人と外国人観光客が一緒に夜桜のもとで乾杯するイベントなども開かれています。
千鳥ヶ淵
皇居の千鳥ヶ淵は、新宿御苑や上野公園に比べ規模は狭いものの、城の堀と桜という組み合わせや夜桜の美しさから人気を集める名所です。特に堀を活かしてボートに乗って桜を鑑賞できる点が特別感があり、外国人観光客から人気を集めているようです。
また、満開時だけでなく、散り際に桜の花弁が水面に浮かんでいる光景も、外国人観光客が桜の美しさを感じられるポイントとなっています。
外国人のお花見需要を理解し、効果的なインバウンド対策を!
お花見は、桜という日本を代表する花の魅力だけでなく、花見弁当やお酒を楽しむ日本人の行動も見ることができ、日本文化を体験できるイベントとして外国人観光客の人気を集めています。開花情報のアプリやWEBメディア、お花見ツアーの紹介などインターネットを通じての外国人観光客への情報発信も盛んになってきました。
また、中国の祝日「清明節 」と、桜の見ごろがほぼ同時期であることから、多くの中国人が来日することが見込まれています。
今年はコロナウイルスの影響でお花見を楽しむ人は例年に比べて少ないようですが、来年以降は再び日本文化を体験できる場としてお花見に対する注目度は高まると予想されます。その時に備え、お花見のマナーや開花情報、スポット紹介などの情報発信を充実させ、効果的なインバウンド対策をしておく必要があるでしょう。
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清明節とは
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<参照>
JNTO:2019年訪日外客数(総数)
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