4月7日に緊急事態宣言が出されてから1か月が過ぎました。緊急事態宣言の期限は当初5月6日までとされていましたが、安倍晋三首相は5月4日の記者会見で、5月31日まで延長することを発表しています。
特定の国からの入国者に対する入国制限もいまだ続いており、インバウンドへの影響は長期化することが予想されます。
そこで、訪日ラボでは各社のインバウンド事業に対する影響度合いを探るため、読者・メールマガジンユーザーの皆様を対象に「新型コロナ意識調査」を実施しました。
調査では新型コロナウイルス感染拡大により「どのような影響を受けているか」「どのような対策をしているか」などを尋ね、その結果を全体・エリア別・業種別で分析しました。
< 調査結果 >
- 調査対象:訪日ラボWebサイト読者・訪日ラボメールマガジンユーザー
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2020年4月28日〜2020年5月2日
- 回答者数:110名
- 設問数:10問(回答内容によって異なります)
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新型コロナ意識調査:調査概要
この度訪日ラボが行った「新型コロナ意識調査」では、まず「インバウンド関連の事業について新型コロナウイルスに関する影響を受けているか」どうかを尋ね、次に「どのような影響を受けているか」「どのような対策をしているか」などを選択式で尋ねました。
今回の調査では、
- 新型コロナで8割が「大きな影響を受けて」おり、都市部でより大きい
- 対策として「情報収集」「テレワークの実施」が上位に
- インバウンドの客足、戻るの「1年以上かかる」と予想が過半数
ということがわかりました。以下で調査結果を紹介します。
新型コロナで8割が「大きな影響を受けている」
- 質問
- 御社のインバウンド関連の事業について、新型コロナウイルスに関する影響を受けていますか?※単一回答
- 回答
- すでに大きな影響を受けている:80.9%
- 一部で影響を受けはじめている:15.5%
- 全く影響を受けていない:3.6%
インバウンド関連の事業が新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けているかどうか尋ねると、回答者の80.9%が「すでに大きな影響を受けている」と回答しました。新型コロナウイルスの感染拡大によるいわゆる「コロナショック」で、深刻な影響が出ていることがわかります。
選択肢には上記3つのほかに「現時点では影響がないが、今後影響を受ける見通し」もありましたが、これを選んだ回答者はいませんでした。
この結果からは、新型コロナウイルスの感染拡大によりほとんどの企業がすでに何かしらの影響を受けていることが見てとれます。
都市部でより大きな影響
同じ項目を「都市部」と「地方」のエリア別で集計すると、「すでに大きな影響を受けている」と「一部で影響を受けはじめている」の合計が都市部では100.0%、地方では87.1%という結果になりました。
このことからは、新型コロナウイルス感染拡大の影響は全国に広がっているものの、インバウンド関連事業については、都市部でその影響がより大きいことがわかります。
※なお、ここでの「都市部」は総務省の「大都市部」の定義に基づき、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の6都府県としています。企業の所在地を「その他・海外」とした回答は含みません。
インバウンド事業者でより影響大きい
このことから、業種にかかわらず広く影響は出ているものの、インバウンド事業者でその影響がより大きいことがわかります。
6割が「訪日外国人の減少」に直面
- 質問
- どのような影響を受けていますか?当てはまるものを複数お選びください。※複数回答
- 回答(上位3項目を抜粋)
- 訪日外国人の来客、宿泊、利用の減少:60.0%
- インバウンド関連事業の売上減少:50.9%
- インバウンド関連イベント・セミナーの出展・参加中止:30.0%
次に、具体的にどのような影響を受けているのか尋ねたところ、回答者の6割が「訪日外国人の来客、宿泊、利用の減少」が生じていると回答しました。
続いて「インバウンド関連事業の売上減少」「インバウンド関連イベント・セミナーの出展・参加中止」「インバウンド関連事業の一時凍結、廃止、廃止検討」が上位に来ており、インバウンド受け入れの現場や関連イベントへの影響が大きいことがうかがえます。
対策トップは「感染状況の情報収集」
- 質問
- 現在の状況を受け、どのような対策をしていますか?※複数回答
- 回答(上位3項目を抜粋)
- 新型コロナウイルスの国内・海外の感染状況などの情報収集:65.5%
- 業務のテレワーク化:49.1%
- インバウンド関連事業の事業計画の見直し・KPI(目標数値)の再調整:41.8%
現在の状況を受けどのような対策をしているか尋ねたところ、回答者の65.5%が「新型コロナウイルスの国内・海外の感染状況などの情報収集」をしていると回答しました。
続いて2番目に多かった回答が「業務のテレワーク化」でした。回答者のおよそ半数が、対策としてテレワークを実施しているということでした。政府はテレワークの全国導入率7割を目標としていますが、それにはまだ届いていない状況です。
さらに注目すべきは、回答者の4分の1ほどが「とにかく静観せざるをえない・打つ手がない」を選んでいる点です。日々変わりゆく状況に適切な対応策を見いだせず、具体的な行動に出られていない状況が考えられます。
回答者の約7割が3つ以上の項目を選択していることから、多くの企業で多角的な対策が行われていることがわかります。
テレワーク:都市部は過半数が導入/地方は4割にとどまる
対策として「業務のテレワーク化」を実施しているかどうかをエリア別に集計すると、都市部では52.0%、地方では38.7%という結果になりました。いずれにしても政府目標の「7割」には届いていませんが、都市部では導入が進んでいる現状が見えてきます。
新型コロナウイルス感染症の流行がさらに拡大していった場合には、テレワークの導入率はさらに上がると予想されます。
テレワーク:ソリューション企業は過半数導入/インバウンド事業者は4割にとどまる
さらに同じ項目を業種別で集計すると、テレワークの導入率はインバウンド事業者で42.6%、ソリューション企業で55.4%となりました。インバウンド事業者は接客業が中心になるため、ソリューション企業に比べテレワークを導入するのが難しくなっていることが考えられます。
またインバウンド事業者の場合、飲食店や小売店舗などでは、緊急事態宣言により営業を停止している場合もあると想像できます。
過半数が「対策事例」「海外からの評価」を知りたい
- 質問
- 現在の状況下で、どのような情報がほしいですか?※複数回答
- 回答(上位3項目を抜粋)
- 競合他社・他業種の対策事例:56.0%
- 世界各国からの日本の感染状況に関する評価、目線、意識など:55.0%
- 世界各国の出入国制限に関する最新情報:51.4%
現在の状況下でどのような情報がほしいか尋ねたところ、回答者の56.0%が「競合他社・他業種の対策事例」「世界各国からの日本の感染状況に関する評価、目線、意識など」を知りたいと回答しました。
その次には1ポイント差で「世界各国からの日本の感染状況に関する評価、目線、意識など」が続きました。
企業としてこの状況を他社がどのように乗り切っているのかを知りたいと同時に、今後のインバウンド市場の展開に支障があるかないかを、海外からの評価をもとに判断し対策したい、という考えがあるのかもしれません。
また、いち日本人として、日本の現状を世界はどのように見ているのかに興味があるという人もいると考えられます。
50%超がインバウンドの客足戻り始めは「1年以上かかる」と予想
- 質問
- 感染拡大や東京オリンピックの開催など考慮したうえで、いつごろまでにインバウンドの客足が戻りはじめると考えていますか?※単一回答
- 回答
- 半年後(2020年10月の国慶節頃):17.3%
- 10か月後(2021年2月の春節頃):29.1%
- 1年後(2021年東京オリンピック開催頃):31.8%
- それ以上後:20.9%
- その他:0.9%
いつごろまでにインバウンドの客足が戻りはじめると思うか尋ねたところ、もっとも多かった回答は「1年後(2021年東京オリンピック開催頃)」で、回答者の31.8%が選択しました。
続いて「10か月後(2021年2月の春節頃)」が29.1%と2番目に多くなっています。「それ以上(1年以上)後」とインバウンドが回復傾向を見せるのはかなり先になると予想している回答者も20.9%となり、長期化すると考えているインバウンド事業者が多いことがわかりました。
その他の意見には「中国人観光客に関しては、航空各社の国際線が再就航し日本が入国制限を解けばすぐ戻ってくる」というものがありました。国や地域によっては、市場回復を楽観できる要素もあるようです。
客足の戻りはじめについて、地方はより楽観傾向
同じ項目をエリア別に集計すると、「半年~1年後」までにはインバウンドに回復傾向が見られると予想した回答者は、都市部で76.1%、地方で90.3%という結果になりました。
都市部と比較すると新型コロナウイルス感染拡大の影響が少ない地方では、比較的早い時期にインバウンドの客足が戻ってくると予想している回答者が多いことがわかります。
インバウンド事業者はより楽観視/未知のウイルスで予測難しく?
さらに同じ項目を業種別で集計すると、インバウンド事業者の79.7%、ソリューション企業の76.8%が「半年~1年後」までにはインバウンドに回復傾向が見られると予想していることがわかりました。
若干の差ではありますが、より大きな影響を受けていると認識しているインバウンド事業者のほうが、回復のタイミングについては楽観視しているという結果です。
新型コロナウイルスは未知の部分も大きな存在であり、海外の事例だけで物事を判断することが難しいケースもあると考えられます。こうした状況もあり、「早く戻ってきてほしい」という担当者の希望が回答に影響を与えたということも考えられるでしょう。
インバウンド事業への影響大/先行事例を参考に危機を乗り切る
新型コロナウイルス感染拡大による影響は、程度の差はあれど全国、そしてあらゆる業種に広がっています。企業では業務のテレワーク化や事業の見直しを始め、さまざまな対策が行われています。
「とにかく静観せざるをえない・打つ手がない」という回答者も4分の1ほどいましたが、この危機を乗り越えるためには今できることが何かを考え、場合によっては行動に移していくことが必要でしょう。
まだ補助金について調べていない場合は、国や自治体のホームページから受給できる補助金を探し、そのうえで、インバウンドを前提としていた事業があればどう継続していくのかを考えていく必要があります。
事業の継続方法を探る際には、他社の事例を参考にするのも一つの手です。自治体と民間企業が提携して新しく事業を始めた例など、すでにさまざまな先行事例があります。他社がこの危機をどう乗り切っているのかについて知見を深め、自社に応用可能な要素を取り出し、それを実行していくことを意識するとよいかもしれません。
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