神田祭のインバウンド対策 | ポケトークで多言語対応・文化体験「EDOCCO」は観光客目線の設計

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日本三大祭りの1つである神田祭は、毎年5月中旬、1週間ほどの期間にわたって開催されます。神田明神の氏子である都内108の町会を神輿を担いだ行列が巡り、各町会の穢れを祓う行事です。

江戸・東京の総鎮守として名高い神田明神は、正式には神田神社と呼ばれ、2030年には創建1300年を迎えます。都心に位置するアクセスのよさも相まって日々参拝客の足が途絶えません。近年ではサブカルチャー業界とのイベントタイアップや大型文化交流施設のオープン等、「クールジャパン」を推進する文化事業を積極的に行うなど、インバウンド施策にも力を入れています。

祭り期間におけるインバウンド対策について、神田祭を中心に、さっぽろ雪まつりや長岡花火大会の事例も交えて解説します。


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神田祭とは

神田祭とは、東京都の中心に位置する神田明神の祭礼であり、江戸三大祭および日本三大祭の1つに数えられる非常に大きな祭りです。神田明神は正式には神田神社と呼ばれ、近年はアニメタイアップイベントを行うなど、神社としての斬新な取り組みが注目を集めています。

「神田祭」が行われる神田明神

「神田明神」として親しまれていますが、正式名称は「神田神社」です。東京の中心地である神田、日本橋秋葉原、大手町、丸の内等、108町会の総氏神、また江戸総鎮守として名高い神社です。

各線御茶ノ水駅から徒歩5分程度とアクセスがよく、日々参拝者が絶えず、初詣の時期には毎年約30万人以上が訪れます。ご利益としては縁結び、商売繁盛、除災厄除、勝負運の向上等が期待され、他の神社と比較して企業参拝者が多い点は1つの特徴といえるでしょう。

近年ではアニメ「ラブライブ!」にて、神田明神境内の男坂が登場したために聖地巡礼の場として注目されるようになった他、「ブシロード」とのタイアップイベントを行うなど、ファンにとっては訪問必至の聖地となっています。

日本三大祭りの1つ

神田祭は5月中旬に行われる神田神社の祭礼で、江戸時代から続く伝統行事であり、日本三大祭りや江戸三大祭りに数えられます。日本三大祭は他に大阪の「天神祭(てんじんまつり・てんじんさい)」、京都の「祇園祭(ぎおんまつり)」があり、いずれも国内外からの人出で賑わいます。

華やかな「本祭(ほんまつり)」は奇数年に行われ、偶数年には比較的小規模な「蔭祭(かげまつり)」が行われます。「蔭祭」は本祭より小規模なものですが、氏子の幸福や日本の繁栄、平和を祈念して「例大祭」が執り行われ、毎年多数の見物客を呼び込むことに成功しています。

2020年の「蔭祭」は新型コロナウイルスの影響により見物は中止となってしまいましたが、5月15日の14時より執り行われた例大祭をYouTubeでライブ中継し、その後再編集版が公開されています。

神田祭の見どころ

神田祭の会期は1週間にわたり、神田神社の御祭神を御輿へと移す「鳳輦神輿遷座祭 (ほうれんみこしせんざさい)」に始まり、衣冠装束に身を包んだ宮司・神職が日本の繁栄・平和を祈念する「例大祭(れいたいさい)」に終わります。

中でも、同日中に行われる「神幸祭(しんこうさい)」と「附け祭(つけまつり)」では、電気機器とサブカルチャーで有名な秋葉原の町を練り歩くため、その華やかさから毎年大きな賑わいを見せています。

神田祭のメインイベントの1つである「神幸祭」では、ご祭神の神力によって各町会の穢れを祓うため、神田神社のご祭神を担いだ神輿や山車の行列が氏子である108の町内を練り歩きます。神幸祭最初の行事である「御鍵渡しの儀」は、早朝5時から執り行われます。行列には平安時代の衣装を着用した人々が付き添い、この数千人規模の大行列を見るために国内外から多数の見物客が集まります。

「神幸祭」に続き、午後3時から執り行われる「附け祭」は、江戸時代には最も人気の高かった行事です。

江戸時代に人気のあったなまずや鬼の首、花咲か爺さん、浦島太郎等のモチーフを現代風にバルーンでアレンジしたものなど、趣向を凝らした出し物が並び、見物客の目を楽しませます。この時分には祭りはピークを迎え、秋葉原電気街は神輿と山車と担ぎ手の行列と見物客によって埋め尽くされ、普段とは全く違う街の表情が見られます。

神田明神の訪日外国人への取り組み

2018年末に日本文化体験できる施設「EDOCCO」を新たに開業した神田神社は、多言語対応の通訳ツールを導入するなど、訪日外国人への対策に近年大きな力を入れています。以下では、神田神社のインバウンド施策について具体的に解説します。

日本文化を体験できる施設「EDOCCO」

創建1,300年を機に、新しい"文化交流館"として2018年12月に開業したのが「EDOCCO」です。「伝統×革新」をコンセプトとし、参拝者、観光客、訪日外国人に日本の伝統文化を伝えることを目的としています。

館内1階は境内と通じており、神札授与所、休憩所、土産物屋、飲食店等が入っています。「CAFE MASU MASU」は神社カフェとして、古くから日本人に使われてきた「升」でドリンクを提供するなど、日本古来の文化を発信するユニークな試みを実施しています。

また、2階3階吹き抜けには、多目的イベントホールとして「神田明神ホール」が、4階「令和の間」には庭園が築かれ、貴賓室や会議室も併設されています。

さらに地下1階「EDOCCO STUDIO」には本格的な観劇舞台とテーブルセットが設置され、食事を楽しみながら伝統芸能を堪能できる空間となっています。着物やサブカルチャーまで取り入れた日本文化関連のワークショップも開催されています。

このように、移動で疲労している観光客や訪日外国人にとって居心地のいい空間となるよう、休憩所や飲食店を設置するなど、神田神社は「EDOCCO」の開業によってきめ細かいインバウンド対策を図っています。

多言語対応のためにポケトークを使用

神田神社では、EDOCCO内の神札授与所等にて、多言語対応のためAI通訳機「ポケトーク」が用いられています。ポケトークは世界74言語に対応し、ボタンを押しながら話しかけるだけで、通訳者を介しているかのようにスムーズな対話ができます。

今後の訪日需要拡大に伴い、多言語対応への重要性はさらに増すと予想される中、ポケトークをはじめとした通訳機の利用は一考に値するといえるでしょう。

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祭り開催でのインバウンド対策

日本文化を五感で体験できる祭りというイベントにおいては、多言語対応SNSを活用した情報発信など、多角的なインバウンド対策が求められます。

以下では、具体的な施策について、訪日外国人集客に注力している「さっぽろ雪まつり」や「長岡花火大会」の事例を交えて解説します。

魅力を最大限に伝える情報を発信する

訪日外国人に対する集客PRのためにはターゲティングを明確にした上で、チラシ等の多言語化はもちろん、ホームページやSNS、外部のWEBメディアでの情報発信、展示会への出展等、多角的な情報発信が効果的です。

特にSNSは、多言語アカウントを作成せずとも情報発信が可能です。例えば、Facebookには「イベントページの作成」機能があり、この機能を使用すれば日本語のアカウントでも英語のイベントページを作成できるため、海外へ向けた情報発信が可能となり、インバウンド施策に有効です。なお、Facebookでは他にもフランス語やドイツ語等、複数の言語に対応しています。

外部への情報発信に注力している事例としては、北海道の「さっぽろ雪まつり」や、アメリカで開催されている世界最大の気球の祭り「Albuquerque International Baloon Fiesta」が挙げられます。

1972年の冬季オリンピック開催以降、訪日外国人が年々増加している北海道では、毎冬開催している「さっぽろ雪まつり」観光活用によりさらなる誘致を図るため、4言語でQ&A情報を掲載、英語の問い合わせフォームを設置するなど訪日外国人からの問い合わせを積極的に受け入れています。

また、気球の祭りには世界各国からパイロットが集まり、古くからメディアに注目されていた背景があります。写真や動画を駆使したデザイン性の高い公式サイトに、ホテル予約や周辺観光情報などの機能を持たせることでユーザーの一元的な検索を可能にしている他、SNSの活用によりファンを獲得しています。

訪日外国人向けのサービス

訪日外国人に特化した対策としては、通訳デバイスや多言語指差しマップ等、訪日外国人とのコミュニケーションを支援する視覚的ツールの導入が有効です。

日本最大級の花火大会であり、国内外から多くの観光客が押し寄せる新潟県の長岡花火大会では、会場で必要な基本的情報を掲載した指差し質問シートを英語繁体字の2言語で作成、配布に当たっています。また看板や、チラシや会場案内図などのリーフレット等においても積極的に多言語対応を行っていく必要があります。

コミュニケーション支援ツールに加え、訪日外国人自身が祭りの特徴を体験できることにより、現地への集客および顧客満足度向上も期待できます。

神田祭同様、日本三大祭の一つである京都の祇園祭では、旅行代理店と提携し訪日外国人向けに設けた特別桟敷席を販売、通訳ガイドや近隣飲食店でのランチをツアーに組み込むなどの施策により、祇園祭への理解を深めると同時に消費促進を図っています。

神田祭期間でインバウンドを盛り上げる

日本三大祭の一つである神田祭は、華やかで巨大な神輿を担いだ行列が町内を練り歩く壮観な様が現在も高い人気を誇り、毎年国内外から多数の観光客が訪れます。

2020年は新型コロナウイルスの影響により残念ながら開催が叶いませんでしたが、文化交流館であるEDOCCOの開業やポケトーク活用による多言語対応への強化など、神田神社の訪日外国人誘致への取り組みは、今後のインバウンド施策検討への示唆に富んでいます。

また、祭り開催期間でのインバウンド対策は、多角的な観点から講じる必要があります。「さっぽろ雪まつり」や「長岡花火大会」の成功事例にみるSNSや視覚的コミュニケーションツールの活用、地域と連携した受け入れ施策などは、一考の余地があるといえるでしょう。


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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

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【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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