7,000組が応募した平戸城の「城泊」イベント、狙うはインバウンド欧州市場?上限780万円補助の「城泊」「寺泊」補助事業がスタート【観光庁】

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観光庁は6月12日、日本各地の城や寺社を活用し、「城泊」「寺泊」といった体験型宿泊コンテンツを創設し、地方への誘客促進を図る「城泊寺泊による歴史的資源の活用事業」を今年度実施することを明らかにしました。



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「城泊」「寺泊」の整備促進 観光庁、補助事業で公募

観光庁は「明日の日本を支える観光ビジョン」で掲げられた2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人の目標達成に向けて、古民家等のさらなる活用を図るほか、城泊寺泊など、泊まって楽しむ体験型宿泊コンテンツを開拓する取組を推進しています。

今回は、目標達成に向けた取り組みとして、地方においての訪日外国人観光客の長期滞在や消費金額増加を目指し、「城泊寺泊による歴史的資源の活用事業」を実施することを明らかにしました。

この事業では、城や寺社を日本ならではの体験ができる宿泊施設として活用したいと考えている事業者に対して観光振興事業費補助金も含めた支援を行い、訪日外国人観光客受入体制の整備や滞在コンテンツの充実を図ることで、訪日外国人観光客の滞在日数・消費金額の増加を目指します。

事業費補助金の応募受付期間は2020年5月26日から6月30日(17時必着)です。補助対象事業者は、観光地域づくり法人(DMO)、民間事業者、地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)又は民間事業者を中心に構成される地域協議会です。

補助率は、城泊(キャッスル・ステイ)のインバウンド化・コンテンツ造成事業では二分の一補助、上限750万円が予定されています。寺泊(宿坊)のインバウンド化・コンテンツ造成事業でも二分の一補助、上限780万円です。

補助対象事業の例として、以下のようなものが挙げられています。

  • 訪日外国人旅行者・富裕層向け滞在環境整備 (インバウンド化に伴うリフォーム等滞在環境整備)
  • 体験コンテンツの造成(例)、多言語化、モニターツアー実施(城・寺等の歴史的資源を活用した観光コンテンツの発掘・磨き上げ・インバウンド化)

城泊とは

城はその地域に根付いた歴史的建造物で、その土地を象徴する文化財です。

訪日外国人観光客が参考にする口コミサイトTripAdvisorトリップアドバイザー)が発表した「外国人に人気の日本の観光スポットランキング」上位には、姫路城松本城といった国宝に指定されている建造物がランクインしています。姫路城は、ユネスコの世界文化遺産にも登録されています。

その城を宿泊施設として活用することが「城泊」です。日本の観光市場ではあまり馴染みのない「城泊」ですが、欧州では過去の貴族の城を宿泊施設として利用する「城泊(キャッスルステイ)」は早くから人気を博していました。

日本には全国で200もの城があります。これまでも、歴史的建造物への関心の高い旅行者や、日本文化を好む旅行者から注目されていましたが、宿泊体験はこれに加え、「非日常感」を求める客層に強く訴求できるコンテンツとなると考えられます。

観光庁はこうした日本の城を宿泊施設として旅行者の滞在に提供し、地方への誘客を目指しています。

寺泊とは

寺泊」も、寺社を宿泊施設として活用し、そこで日本の文化体験を行うことです。

同じくTripAdvisor「外国人に人気の日本の観光スポットランキング」の10位以内には東大寺高野山がランクインするなど、寺社も訪日外国人観光客が関心を寄せる施設です。

すでに寺社では写経体験や座禅などの文化体験が行われているところもあり、これらも訪日外国人観光客からの関心が高いです。すでに認知の高い「寺」での新たな滞在形態は、訪日外国人観光客の目を引きやすい可能性もあります。

観光庁の資料によれば、現在、日本には寺が7万7,700箇所ありますが、宿泊できるのは約300箇所と多くはありません。寺は日本の各所に存在し、今回の事業を通して寺泊の取り組みが進めば、地方への誘客の効果もあるとみられています。

こんな取り組みも

長崎県平戸市の平戸城は、欧米豪富裕層をターゲットとし、2020年夏に日本初となる城泊の常設開業を目指しています。

平戸城では2017年にも、日本初の城泊イベントを開催しています。1組だけの招待が企画されていましたが、これに対して約7,000組もの応募がありました。

そのうち半数以上が欧州からの応募だったことが伝えられています。このプロモーションによって平戸市を訪れる訪日外国人観光客も増加しており、城泊は訴求効果も高いと考えられるでしょう。

平戸城の城泊が開始されれば、インバウンド市場における富裕層誘客も期待できます。

「城泊」富裕層が夢中にならないわけがない?!長崎県平戸城、宮城県白石城の取り組み:サンマリノ駐日大使も日本の伝統文化を体験

インバウンド向けのユニークな宿泊コンテンツとして「城泊」が注目されています。2020年夏までに、長崎県平戸市にある平戸城の「城泊」開業と、宮城県白石市にある白石城の「城泊」旅行商品化が予定され、地域の歴史的資源や重要文化財を活用した地域活性化が期待されています。今回は、新たなインバウンド誘客コンテンツとしての「城泊」について、狙いやこれまでの取り組みを解説します。目次「城泊」で欧米豪観光客の富裕層を取り込み平戸城が日本初の常設「城泊」へ白石城でサンマリノ駐日大使が「城泊」体験まとめ:インバ...


体験型宿泊コンテンツ充実で富裕層の誘客を

海外ではすでに認知を獲得している「城泊」ですが、日本で体験できる施設はまだほとんどありません。また日本の宗教文化、歴史を感じられるスポットとして関心を寄せられている寺への宿泊「寺泊」も、城泊同様の訴求力があると考えられます。

城や寺は、これまで訪日外国人観光客が集中的に訪れていた大都市以外にも存在し、こうした地方へ誘客できる大きな要因となることが期待されています。

くしくも新型コロナウイルスの流行により、旅行者が密集する観光コンテンツはことしや来年は回避する心理が強くなると予想されます。城泊寺泊を含む、地方での滞在に観光需要が高まるタイミングともいえるでしょう。


<参照>

観光庁:城泊・寺泊による歴史的資源の活用事業

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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