デンマークの「飲料ボトル」に貼られているシールの意味とは?環境問題解決のためのキュートな機械

公開日:2020年06月26日

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として、国連で定められた「持続可能な開発目標(SDGs)」は日本でも多くの企業に行動を起こす動機付けをしています。

今回は、「環境に対する試みが世界的に進んでいる」と評価されている北欧で見つけた、キュートで実用性に富んだ試みをご紹介します。

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デンマークの公園、キュートな機械は「環境問題」解決のため

デンマークの首都コペンハーゲンにはチボリ公園という名称の公園があります。公園といっても、遊園地のようなアトラクションやショーがあり、子供連れの家族やカップルなどで賑わうデンマークを代表する遊園地です。かつてウォルト・ディズニーが訪れ、ディズニーランドのモデルにしたというのは有名な話です。

そんなチボリ公園では、一見すると何のサービスを目的にしているかわからない、かわいらしい見た目の機械があります。

実はこれは、環境問題を解決するための存在です。

北欧の公園にある、飲み物の空き容器の回収機
▲[REFUNDABLE CUP-AUTOMAT 5/Tivoli公園にあるデポジット回収機]:筆者撮影

実はこれは、園内で使用された飲料カップを回収するための「デポジット受け取り機」です。

園内で販売している飲料の紙カップの種類が絵で示されている
▲[園内で使用されるカップの一覧]:筆者撮影

チボリ公園では、このマシンが設置されてから、2リットルペットボトル5,000本分に相当する毎年10トンものゴミが回収・再利用されています。

こうした取り組みは1998年から開始されており、北欧の環境問題への意識の高さがうかがえます。

デポジット回収機の使い方

このマシンの使い方はとても簡単です。園内で購入した飲料の紙カップを、このデポジット回収機に入れるだけです。その場で1カップにつき5デンマーク・クローネ(約80円)が返金されます。

ストローは取りカップのみ入れるなど少しのルールはあるものの、初めて訪れた人でも戸惑うことなく使える簡単さです。

園内で売られている飲み物の代金にはもともと5デンマーク・クローネが上乗せされており、カップをこのマシンに返すことによって、返金されるようになっています。

環境先進国 北欧デンマークでの街中での取り組み

チボリ公園以外でも、デンマークで環境問題を解決するための様々な取り組みが進められています。リユースにフォーカスしてご紹介します。

デポジット代を上乗せして飲料販売

デンマークでは、一部を除いて販売されている全ての飲料ボトルにこのシールが貼られています。

デンマークの飲料ボトルに貼られるシール
▲[返金額別にボトルに貼られるシール]:danskretursystem.dk


仕組みはチボリ公園の回収機と同様です。飲料を購入した際に消費者はデポジットを支払っており、その飲料の容器をスーパーや特定の場所にある回収機に入れると、デポジット分のお金が返ってきます。

スーパーでの支払額から、前回購入分のデポジットを差し引くという形でデポジットの返却をする店舗もあります。

容器についているシールは「缶やボトルがお金になる」と消費者に意識させる効果があります。スーパーに出向き容器を返却することは、デンマークの住民にとっては日常です。

ボトル回収機について伝える海外メディアの記事
▲[ボトル回収機について伝えるウェブメディア]:pantstation

日本のエコ活動は?

日本の商業施設ではどのようなエコ活動がされているのでしょうか。

遊園地を代表する東京ディズニーリゾートでは、年間3,000万人以上のゲストが来園します。パーク内で環境への負荷を軽減するための工夫が見られます。

東京ディズニーリゾートで発生するごみをできるだけ多くリサイクルできるよう、細かい分別基準を定め、キャストによる分別を徹底しています。
リサイクルしているごみの種類は、段ボール、生ごみ、植栽ごみ、食用油、PETボトル、プラスチック包材、その他のプラスチック類、コピー用紙、新聞・雑誌、紙コップ、紙パック、空き缶、空きビン、金属類、木くずなど多種にわたり、それぞれ専門業者に委託してリサイクルしています。(オリエンタルランド公式サイトより)

ディズニーリゾートは分別を強化したことで、2002年は50%に満たなかったリサイクル率を2018年にはパーク全体で75%にまで改善することができました。さらに、自社で回収した素材をリサイクルして再び自社で使う「リサイクルループ」という取り組みの結果、使用済み紙コップがリサイクルされ、パーク内の一部のトイレットペーパーに30%使われるようになりました。

大阪に位置するテーマパークUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)でも、同じようにクルーの手作業によってパーク内で出たゴミを分別し再資源化に取り組んでいます。

回収機がNGに

日本でも数年前までは「缶・ボトル回収機」が存在しました。ところがこうしたサービスは「県使用済金属類営業に関する条例」に抵触する疑いがあるとして、警察から指導が入ってしまった例があります。

2018年3月の朝日新聞の報道では、以下のことが伝えられています。

岐阜県内に本店があるスーパーマーケット2社が、アルミの空き缶を店に持ってきた客に、本数に応じて買い物に使える「エコポイント」をつけるサービスを始めた。ところが昨年、県警から「条例に抵触する」と指導を受け、ポイントの付与をやめた。
条例は2013年施行。当時、側溝のフタや消防ホースの筒先などの盗難が県内で相次いだことから制定され、盗難に遭った使用済み金属の流通防止などを目的に金属の売買などを規制している。
県警生活安全総務課によると、アルミ缶を持ってきた人にポイントを付与する行為が「使用済金属類営業」にあたるため条例に触れるといい、付与を続ける場合は公安委員会の許可が必要だと指導したという。(記事より)

現在の日本のスーパーでも「店頭でのゴミ回収を促進しリユース・リサイクル」を促しているのは変わりありませんが、お金が返ってくる・ポイントが戻ってくるといったことは、上のような事情から難しいと考えられます。日本で同様の施策を行うには、何か方法を探す必要がありそうです。

まとめ

日本の遊園地では従業員が一丸となりリサイクルできるよう処理や管理を行なっていましたが、デンマークの例からは「環境問題に対応すべきはお客さんも従業員も同じ。一人一人に責任がある」という考え方が見えてきます。

海外との人の行き来や、ネットを通じた情報の拡散が活発になるにつれ、日本の現状に対する世界の認知も高まります。日本国内では「常識」であることが、海外ではよくも悪くも「非常識」であるととらえられることも少なくありません。

環境問題をはじめとする地球規模の問題は長いこと解決に向けて国際的な取り組みが図られています。経済規模、人口規模ともに存在感のある日本で、どのような取り組みがされているかには、今後も注目が集まるでしょう。こうした注目により下される日本に対する評価がポジティブなものとなるような心がけが、これからの日本社会には必要といえます。

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<参照>

朝日新聞デジタル:空き缶持参でポイントは「ダメ」 警察がスーパーを指導

OCL GROUP:廃棄物を減らすために

https://www.treehugger.com/sustainable-product-design/amusing-reuse-recycling-at-copenhagens-tivoli.html

https://www.usj.co.jp/company/about/csr/environment.html

https://www.ucoop.or.jp/csr/environment/recycle/tenpo.html

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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