6月24日、ポケモン株式会社は、中国のIT企業テンセントと共同開発している新作ゲーム『Pokémon UNITE(ポケモンユナイト)』を発表しました。
これまで中国のゲーム市場は、日本が切り込めなかった領域であり、ポケモンが正規に登場するゲームは、これまでに中国本土では発売されていません。
ポケモンユナイトの販売により、日本発のゲームが公式に中国で販売できる可能性が現実的になってきました。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
「ポケモンユナイト」発売
6月24日、任天堂が出資するゲーム企画会社「ポケモン」は、中国IT企業大手テンセントと共同でゲーム「ポケモンユナイト」を開発中であることを発表しました。
一部課金もあるものの基本プレイは無料で、5対5に分かれたプレーヤーが対戦し、相手のポケモンキャラを倒すなどして制限時間内に獲得した得点を競うというものです。
任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」とスマートフォン向けに販売され、配信時期は改めて発表される予定です。
共同開発は中国大手テンセントの子会社
ポケモンユナイトの共同開発が進められているのは、テンセント傘下のテンセントゲームズの開発スタジオ「Timi Studios(天美工作室群)」です。
![▲[天美工作室公式サイト]:編集部キャプチャ ▲[天美工作室公式サイト]:編集部キャプチャ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7021/main_2020-07-01_17h55_37.png?auto=format)
天美工作室は、中国では知らない人がいない有名スマホゲーム「王者栄耀」の開発も手掛けている著名なスタジオです。
王者栄耀は、基本プレイ無料のMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)ゲームで、今年で4年目を迎えます。
MOBAとは、オンラインゲームのジャンルのひとつで、複数のプレイヤーが3対3などのチームに分かれ、味方と協力しながら敵の本拠地を破壊して勝利を目指すことです。
ポケモンユナイトも同じMOBAであり、ポケモンユナイトが発表された6月24日から25日にかけて、キーワード「MOBA」がGoogleトレンドに急浮上しました。
中国版Switchで遊べる任天堂ソフトは「マリオ3作品」だけ
中国のゲーム市場においてスマートフォン向けが6割を占める中、任天堂は2019年12月にテンセントと提携してニンテンドースイッチの中国販売に乗り出しました。
中国でゲームを販売するためには、中国当局の厳しい検閲をクリアする必要があり、中国でプレイできる任天堂のソフトは「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」「スーパーマリオ オデッセイ」「マリオカート8 デラックス」のわずか3タイトルにとどまっています。
中国国内に流通させるコンテンツは政府からの認可が必要で、厳しいコンテンツ審査にかけられます。中国版のニンテンドースイッチでは、海外版のソフトのダウンロードも制限されています。
任天堂は、ポケモンユナイトがヒットすれば、ニンテンドースイッチの販売数にも寄与すると見込んでおり、大手企業であるテンセントには、検閲にあたって政府との調整役も期待しているとみられます。
また中国当局は、ゲームの中で当局の規制が及ばない事態を危惧しており、3月に発売された「あつまれ どうぶつの森」は、ゲーム内で民主化運動が芽生える恐れがあるとして中国本土での流通が禁止されました。
中国は、検索エンジンやSNSなどのネットサービスでも、外資をシャットアウトすることによって自国産業を成長させてきました。ゲーム産業も同様の戦略で市場を確保していく狙いもあるでしょう。
中国で「あつ森」「プーさん」が"消される"ワケ:香港民主化運動との関係・ネット規制激化の影響、日本にも
香港では、2019年3月末より現在に至るまで民主化運動が続いています。この運動の原因となった「逃亡犯条例」は昨年10月に撤回されましたが、その過程で香港警察の激しい弾圧により多くの負傷者が生まれました。2020年5月には国家安全法の導入も決定され、中国政府による香港への介入は厳しさを増しています。一方、中国本土では民主化運動すら発起できないほどに言論が統制されており、インターネットの普及に伴い統制の程度も年々厳しくなっています。最近ではゲーム『あつまれ どうぶつの森』が自由度の高さを危険視...
中国でのニンテンドースイッチ販売価格は?
ニンテンドースイッチは、中国のインターネット上で正規ではないとみられる転売が行われており、こうした製品は1点1,500元(約2万3,000円)ほどで販売されています。
正規ルートでの販売価格は、その倍の3,000元(4万6,000円)程度です。
![▲[ECサイト京東で販売されるニンテンドースイッチ]:編集部キャプチャ 中国のECサイトで販売されているニンテンドースイッチ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7022/main_fireshot_capture_840_-_switch_-______________-________-_search.jd.com.png?auto=format)
昨年も、日本国内の家電量販店ではニンテンドースイッチを買い求める団体の中国人観光客の姿が都内では見られていました。こうして訪日旅行時に買い求めたり、あるいはたくさん購入できた場合には転売されている可能性もあると考えられます。
京都ヨドバシ「転売目的の外国人には売りません!」中国人バイヤーらとトラブルに:エヴァ新作フィギュア巡り攻防
経済成長著しく、国内の経済格差も残る中国では、「欲しいに対してはいくらでも払う」という消費者も珍しくありません。そして、欲しいものは中国国外であっても手に入れたいと考える人も少なくありません。そんな中国人が好きな日本製品と言えば、化粧品や医薬品・医療サービス、そしてアニメです。古くは「一休さん」「聖闘士星矢」、その後は「ドラゴンボール」そして「ワンピース」などなど、数え切れぬ日本のアニメ作品が中国人を熱狂させています。コンテンツだけでなく、グッズやコンセプトカフェといった体験型の関連商品に...
ポケモンユナイトは中国ゲーム市場の転換点となるか
中国では当局の厳しい検閲により、海外でも高い人気を誇る日本のゲームをプレイすることが難しい面があります。
一方で娯楽を求める中国人からのゲームに対する需要は高く、中国でのゲーム市場は世界最大級に成長しており、中国人の「日本製品へのあこがれ」も確かに存在します。
中国当局と調整し、厳しい検閲を乗り越えて中国のゲーム市場へ切り込むことはたやすいことではありません。
しかし難局を乗り越え、中国人のニーズを満たすことができれば、日本発のゲームが大きく花開く可能性があるでしょう。今回のポケモンユナイトの発売は、中国のゲーム市場における大きな転換点となる可能性があります。
ゲームの人気拡大に伴い、キャラクターへの愛着も形成されると考えられます。コラボカフェなどのイベント等を通して、訪日旅行時の購買意欲喚起に役立てるような施策も、今後ますます重要になるかもしれません。
<参照>
共同通信:中国でニンテンドースイッチ発売
Engadget 日本版:新作『ポケモンUnite』発表、テンセント発の5on5戦略チームバトル
36Kr Japan:ゲーム史上最も売れた「王者栄耀(伝説対決)」制作者が明かす 「ゲーム作りがAIで進化する」
HYPEBEAST:中国版 Nintendo Switch でプレーできるのは僅か3タイトルのみに
毎日新聞:中国狙いポケモンゲーム発売へ IT大手テンセントと共同開発 スイッチとスマホに配信
ねとらぼ:トレンドに急浮上した「MOBA」とは? その意味と広がり方を解説
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!