コロナ禍で「大躍進」した企業の共通点/非常時の需要を掴んだ戦略に学ぶ

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コロナ禍で多くの業界が打撃を受けるなか、この非常時をチャンスに変えた企業もあります。

外出自粛によるネットショッピングの需要を的確に捉えることをはじめ、販売方法や商品ラインナップの工夫などにより、非常時の新たな消費ニーズを掴むことに成功したと考えられます。

今回は、コロナ禍で業績を伸ばした日本企業の例を3つ紹介し、コロナ禍の逆風を追い風に変えるヒントについて考えます。


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ニトリは過去最高益に

コロナ禍は小売り業界の売り上げに大きな打撃を与え、業績悪化が顕著となりました。

小売り大手のセブン&アイ・ホールディングスが7月9日に発表した、2020年3月〜5月期決算は、東日本大震災以来11年ぶりの減収減益となりました。

一方で、小売り業界のなかでも、コロナ禍から生まれた新たなニーズをうまく取り込み、売り上げ増加につなげた企業もあります。

例えば大手家具メーカーのニトリは、2020年3月〜5月期の連結決算において、純利益が前年同期比25.4%増の255億1,900万円と、過去最高益を記録しました。

緊急事態宣言の発令中は、最大で110店舗が臨時休業や営業時間短縮の対象となり、4月の売上高は前年を下回る傾向でした。

しかし営業継続店舗の売り上げや、巣ごもり需要と通販の利用増加によるEC需要を的確に捉えたことが、売り上げの好転につながったと考えられます。

ニトリでは、外出自粛によるおうち時間の充実やテレワーク環境を整えるための商品のニーズを取り込むことに成功しました。

具体的には、機能性を重視したデスクや椅子などのホームオフィス家具をはじめ、カラーボックスなどの収納整理品、ダイニング・キッチン用品のラインナップの充実が、売り上げ増加を後押ししました。

またECサイト体制の整備も、外出自粛に伴う通販需要の増加を捉えた要因の1つといえます。

ニトリは2019年夏の時点でECサイトをリニューアルし、大量注文に対応する体制を整備していました。

また店舗においても、ECでの購入を積極的に促していたことから、通販事業は売上高と客数が過去最高を記録しています。

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アダストリアが行った「オンライン接客」

アパレルブランドを展開するアダストリアは、コロナ禍にもかかわらず2020年3月〜5月のEC売上高が前年同期比25%増の134億円を達成しました。

外出自粛による実店舗での売り上げは大きく落ち込んだ一方で、国内売上高のEC比率は42.8%と、23ポイント増加しています。

このように、ECによる販売拡大が増収につながった理由として、自社ECサイトにおけるオンライン接客が挙げられます。アダストリアでは、2018年より店舗スタッフによるスタイリング写真を投稿する「STAFF BOARD」を公開していますが、外出自粛の状況をふまえ参加スタッフを約1.5倍に増加し、コンテンツの拡充を図りました。

アダストリアが自宅待機中の店舗スタッフにEC倉庫から新作商品を発送し、スタイリング写真を投稿できるようバックアップしたことで、店舗休業中もスタッフが自宅から投稿を継続できました。

また、店舗スタッフが個人または店舗のInstagramのアカウントからライブ配信を行う、オンライン接客も強化しています。

商品紹介や着用感、着まわしコーディネートについて、動画を通しリアルタイムで紹介する取り組みです。

閲覧者からのコメントにもその場で回答できるため、ECサイトで購入する際の不安を取り除くことができ、売り上げ促進に成功しました。

ECサイトでは、レビュー投稿による購入促進に取り組んでいます。これまでレビュー投稿者へのポイント付与は10ポイントでしたが、30ポイントに拡大するキャンペーンを実施したところ、投稿件数は前年比150%以上に伸びました。

ECサイト訪問者が多くのレビューを参考にすることで購入に踏み切るといった、オンライン接客の効果的な施策といえるでしょう。

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ケンタッキー、17ヶ月連続の売上増

大手ファストフードチェーンの日本KFCホールディングスは2020年3月期決算にて、全店売上高が1,287億円となり、過去27年間で最高を達成しました。

4月の既存店の売上高も、前年同月比で133.1%と、17カ月連続での売上増加に成功しています。外食・飲食店業界がコロナ禍の致命的な打撃を受けているなか、ケンタッキーの売上好調の動向は大きな注目を集めています。

ケンタッキーでは2018年より500円ランチの提供を開始しており、コストパフォーマンスの高さからコロナ禍にも負けないヒット商品となっています。

クリスマスやパーティーなどの特別な日に食べるイメージから、日常的に気軽に食べられるファストフードのイメージへ転換できたことが、コロナ禍の売上増加の起爆剤となりました。

また、家族利用の需要増加に伴い、アプリのトップ画面に家族向けのパックメニューを表示するといった工夫をしています。

近年はデリバリー対応の店舗を拡大させていることも、コロナ禍の売上増加につながったと考えられます。

アプリ上の「KFCネットオーダー」では、持ち帰りかデリバリーを選べる導線を用意しており、外出自粛中のデリバリー需要をうまく取り込めるようになりました。

「非常時」の消費ニーズを的確に捉えた企業

新型コロナウイルスの感染流行に伴い、小売業界や外食・飲食業界など、多くの業界が売上に大きな打撃を受けていますが、商品ラインナップの工夫やECサイト、デリバリー需要への対応から、コロナ禍のピンチをチャンスに変えている企業も見受けられます。

外出自粛やテレワークの推進といった社会状況の変化を捉え、柔軟に販売方法や商品ラインナップを転換することが効果的でしょう。

商品のPR方法も、アダストリアのように消費者と密にコミュニケーションが取れるSNSを活用し、オンラインでもわかりやすく商品の魅力を伝え、購入意欲促進につなげていくといった施策が有効です。

ウィズコロナ時代を生き抜くためには、非常時ならではのイレギュラーな消費ニーズを的確に捉え、迅速かつ柔軟にニーズ取り込みに向けた施策を展開していくことが求められます。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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