6月免税売上、5月の3.5倍に回復/前年同月比では90.5%減、コロナ前に遠く及ばず【日本百貨店協会】

公開日:2020年07月27日

7月21日、日本百貨店協会・インバウンド推進委員会は、2020年6月免税売上高・来店動向の速報を発表しました。

新型コロナウイルスの影響で入国拒否の継続・対象の拡大が続き、6月の訪日外客数はわずか2,600人となりました。その影響は同データにも色濃く表れており、免税総売上高は前年同月比90.5%減、購買客数は同97.3%減にまで落ち込みました。ともに前年同月を下回ったのはこれで5か月連続となります。

免税総売上高、購買客数は5月に引き続き低水準が続いていますが、5月25日に緊急事態宣言が全国で解除されたことにより、それまで休業していた百貨店の営業も徐々に再開され、多少回復したとみられます。

売上高や客数が前年同月比で大幅に減少した一方、一人あたりの購買額は、前年同月が約6万2,000円だったところから約21万6,000円と大きく上昇しました。

《注目ポイント》

  1. 免税総売上高は前年同月比90.5%減、購買客数は同97.3%減に
  2. 一方前月比では免税総売上高が約3.5倍、購買客数が約3.8倍に
  3. 一人あたりの購買単価は前年同月から大きく上昇し約21万6,000円に

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免税総売上高は前年同月比90.5%減、購買客数は97.3%減に

日本百貨店協会・インバウンド推進委員会より、2020年6月分の百貨店免税売上高・来店動向の速報が発表されました。この調査は、90店舗の「インバウンド推進委員店」を対象として行われたものです。

免税購買客数および免税総売上高の推移
▲[免税購買客数および免税総売上高動向]:日本百貨店協会、免税売上高・来店動向より訪日ラボ作成

6月分の免税総売上高は約26億8,000万円、購買客数は約1万2,000人でした。

前年同月比では免税総売上高が90.5%減、購買客数が97.3%減とどちらも大きく落ち込みましたが、グラフの通り、4月や5月と比較するとその数は順調に回復してきているともとれます。前月(5月)比では免税総売上高が約3.5倍、購買客数が約3.8倍となりました。

その理由として、5月25日の緊急事態宣言全面解除により、多くの百貨店が6月初めにかけて営業を再開したことが考えられます。

しかし、現在も新型コロナウイルスの影響で入国制限が行われていることを考えると、これら購買の多くは6月中に訪日した観光客によるものとは考えにくいでしょう。 

入国から6か月経過していなければ免税の対象となるため、入国制限が始まる前に訪日し、日本に滞在し続けている外国人が免税売上高を支えていると推測できます。

一人あたり購買単価は21万円を突破

一人あたり購買単価については、前年同月が約6万2,000円だったところから約21万6,000円と上昇した一方、前月の約24万1,000円からは低下しました。

先月に引き続き、長期間日本に滞在している外国人のうち経済的に余裕のある層がインバウンドによる購買の中心を占めており、前年同月と比べて購買単価に上昇傾向がみられたと考えられます。

化粧品・ハイエンドブランド人気が継続

6月に人気のあった商品は以下の通りです。

順位 商品カテゴリー
1位 化粧品
2位 ハイエンドブランド
3位 婦人服飾雑貨
4位 婦人服・用品
5位 紳士服・用品

5月と比較すると、食料品がランク外となり、紳士服・用品がランクインしました。

化粧品の人気が継続している理由として、免税手続きカウンターの来店数1位である中国国内で日本の化粧品に対する「安全・安心」というイメージが浸透していることや、「中国版Instagram」といわれる中国のSNS「小紅書(RED)」などで口コミが広がっていることが挙げられます。

また、小紅書にはハイエンドブランドの商品も掲載されており、口コミで興味を持ち商品を購入する訪日中国人観光客が多くいることが考えられます。

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免税手続きカウンター来店、中国1位は継続

6月の免税手続きカウンターの来店国別順位は、以下の通りです。

順位
1位 中国
2位 台湾
3位 韓国
4位 マレーシア
5位 香港
6位 タイ
7位 シンガポール

5月と比較すると、マレーシアと香港が入れ替わったほかは順位に変動はありませんでした。

中国への入国制限は3月からと、ほかのアジア諸国よりも早い段階から始まっていましたが、いまだ1位を維持しています。 

その要因として、日本に引き続き滞在している訪日中国人観光客が免税手続きカウンターを利用していることが考えられます。

6月も入国受け入れ再開ならず/7月分も低水準続く見通し

7月27日現在、日本は146の国・地域からの入国を拒否しており、免税店の売上は7月分も低水準が続くと予想されます。

一方で、政府は7月中にもタイとベトナムに対する入国制限を一部緩和する方向で準備しているほか、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどアジア・オセアニアの14か国・地域についても受け入れ再開に向けた協議を開始しています。

しかし、受け入れ再開からしばらくは対象がビジネス目的の客に限られ、観光客の入国が許可されるのはかなり先になる見通しです。そのため、免税売上の大幅回復はまだ先になるでしょう。 

今後免税カウンター来店数の多い東アジア・東南アジアの国への入国制限が解除され、観光客の客足が戻れば、売上の回復も見込めます。

7月中旬から再び国内の新型コロナウイルス感染者数が増加しています。まずは国内の感染を最小限に抑え、受け入れ態勢を整えていくことが重要となるでしょう。

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<参照>

日本百貨店協会:2020年6月の免税売上高・来店動向【速報】

JNTO:訪日外客統計 2020年6月推計値

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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