【推計】8月の訪日客99.7%減、消費は2.5兆円減/コロナ前の7割に回復するのは来春以降か【りそな総合研究所】

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6月24日、りそな総合研究所は「新型コロナがインバウンド市場に与える影響」というテーマで市場予測を発表しました。

新型コロナウイルスの流行により、日本をはじめとする多くの国が入国制限を実施しています。日本政府は7月現在、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4か国との間でビジネス目的での往来に限り相互に入国を認める方針を打ち出しており、併せて台湾やシンガポール、ブルネイとも入国制限の緩和に向けた検討が進められています。

しかし、新型コロナウイルスはインバウンド市場にすでに大きな爪痕を残しています。

りそな総合研究所の推計では、8月の訪日外客数を前年比99.7%減、2月から8月までのインバウンド消費の減少額を約2.5兆円と予測しています。費目別に見ると、特に影響を受けたのは宿泊と物販で、関西地方ではこの2項目を合わせると2,000億円を超えるとの試算がなされました。

具体的にインバウンド市場はどの程度の被害を受け、いつごろになれば一定の水準に回復するのか、以下で資料をもとに解説します。

《注目ポイント》

  1. 8月の訪日外客数99.7%減と推計
  2. 8月までのインバウンド消費は2.5兆円の減少見込み
  3. 客足が一定の水準に戻るのは来春以降か

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8月の訪日外客数、前年比99.7%減と予想:5月推計から見直し

りそな総合研究所では、5月27日時点ですでに新型コロナウイルスの流行によるインバウンド市場への影響を推計した資料を発表していました。6月24日に発表された改訂版では、先行きのわからない現状が色濃く反映されています。

5月27日時点での推計では、訪日外客数の前年比減少率について6月は97.0%、7月は93.0%、8月は85.0%としていました。つまり、訪日外国人の客足が前年比で6月には3.0%、7月には7.0%、8月には15.0%にまで回復するとの推計でした。

一方、国内における新型コロナウイルスの新規感染者は相次いでおり、海外では南米を中心に感染が拡大しています。深刻な世界情勢を前にして、日本政府は観光客の受け入れには慎重な姿勢を示しており、インバウンド市場の回復にはさらに多くの時間が必要となることが容易に想像できます。

このような状況を受け、6月24日に発表された推計では訪日外客数の前年比減少率が見直され、6月と7月は99.8%、8月は99.7%となりました。つまり、訪日外国人の客足が前年比で6月と7月には0.2%、8月には0.3%になるという推計です。

インバウンド消費は約2.5兆円の減少見込み

りそな総合研究所の資料によると、2月から8月までの新型コロナウイルスの流行によるインバウンド市場への影響額は全国で2兆4,564億円と推計されています。

2019年のインバウンド消費総額は4兆8,113億円であったため、2020年に失ったインバウンド消費の総額は、昨年の半分以上にあたるといえます。

この2兆4,564億円のうち、1兆129億円は中国による影響です。中国は日本のインバウンドにおいて最大の市場であったため、訪日中国人観光客の姿が消えたことはインバウンド市場にとって非常に大きな痛手となっています。

インバウンド市場への影響額2兆4,564億円を費目別に見てみると、最も大きく影響を受けているのは宿泊と物販です。宿泊は合計7,067億円、物販は合計8,860億円と多大な影響を受けています。

物販業界では百貨店やドラッグストアなど、顧客に訪日外国人観光客が一定の割合を占める業種が多く、宿泊業界ではそもそも多くのホテルや旅館が外国人宿泊客を想定した形での経営を実施していたため、他の業種に比べ被害が大きくなったと見受けられます。

一定の水準に戻るのは来春以降か

冒頭で述べたとおり、ベトナムを筆頭とした数か国との間におけるビジネス目的の往来がまもなく解禁されようとしています。

とはいえ、申請には段階を踏む必要があるほか、特別な許可を得ない限り入国後2週間は指定の場所で待機することを求められます。両国間を自由に行き来できるわけではないため、ビジネス目的の往来再開がインバウンド市場の復活につながると断言するのは難しい状況です。

政府はビジネス、留学、観光の順で入国を許可する姿勢を示しているため、外国人観光客の受け入れは早くとも秋以降になる見通しです。新型コロナウイルスの流行次第ではさらに伸びる可能性も十分に考えられます。

りそな総合研究所の推測では、9月や10月の時点で訪日外客数が前年の2割ほどに回復すればまだ良い方であるとしています。その後の訪日外客数も新型コロナウイルスの流行に合わせて増減を繰り返しつつ、コロナ前の7割程度の水準に戻るのは早くとも来春以降との見方を示しています。

「2020年に4,000万人」政府目標の達成はほぼ不可能に

観光庁が毎年の観光に関する動向や経済効果を分析しまとめた観光白書の最新版が6月16日に発表されましたが、その中には政府目標として掲げられていた「2020年に訪日外客数を4,000万人にする」という文言は記されていませんでした。

前述の通り、りそな総合研究所は、訪日外客数がコロナ前の7割程度の水準に戻るのは早くとも来春以降と推測しているため、今年中に訪日外客数4,000万人を達成するという目標は現実的ではなくなったといっていいでしょう。

厳しい状況ではあるものの、政府は日本人観光客と外国人観光客の二本柱で観光立国の実現を目指しており、感染リスクの低い国から順に可能な限り早く観光客の受け入れを再開したいとの考えを示しています。

観光白書、インバウンド「20年4,000万人」目標記載なく:観光立国に向け、消費額拡大の取り組みも

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来春以降、インバウンド市場の回復期に向けたプロモーションを

りそな総合研究所の資料からは、インバウンド市場が直面している厳しい現実が浮かび上がってきます。

一方、EUやモルディブなど、観光に強い国が続々と入国制限を解除しており、それらの国に観光客を奪われないよう、訪日旅行のプロモーションに取り組む必要があるといえます。

来春までの期間を、どの国に旅行するかを決める「プレ旅マエ」と位置付け、プロモーションや受け入れ体制の確保を着実に進め、インバウンド市場の回復期に備えることが重要です。

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<参照>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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