観光白書、インバウンド「20年4,000万人」目標記載なく:観光立国に向け、消費額拡大の取り組みも

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2020年の政府のインバウンドの数値目標は訪日外国人客4,000万人でしたが、新型コロナウイルスの影響で訪日外客数が激減し達成が難しい状況となっています。

2020年6月16日に2020年度(令和2年度)版の観光白書が発表されましたが、政府の数値目標の記載がなくなりました。

この記事では、2020年1~4月のインバウンド市場について、JNTOの発表する訪日外客数から振り返り、後半では発表された観光白書から見える、本年のインバウンド市場成長の方向性について考察します。

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2020年の観光白書 政府目標値「訪日外国人客4,000万人」消える

観光庁が6月16日にまとめた2020年の観光白書から、訪日外客数を「2020年に4,000万人」にするという政府の数値目標の記載が消えました。

2018年、2019年の観光白書では、「訪日旅行の状況」の項目で「2020年に4,000万人にするとの目標に向けて堅調に推移している」と記載されていました。

一方で2020年の白書では、数値目標の記載はなく、2019年の訪日外客数が3,188万人となり「7年連続で過去最高を更新した」という記述にとどまっています。

コロナショックで訪日外客数が激減、4月は99.9%減

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年1~4月の訪日外客数は、前年同期比64.1%減の394万人にまで激減しました。

背景には新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な旅行需要の停滞があり、特に3月以降、多くの国で海外渡航制限や外出制限などの措置が取られています。

訪日外客数は2020年1月は前年比1.1%減にとどまったものの、2月は58.3%減、3月は93%減、4月は99.9%減と著しく減少しました。

特にインバウンドで大きな割合を占める東アジア市場の減少率が目立ちます。観光客の渡航正常化のめどは立っておらず、日本のインバウンド市場は今も極めて厳しい状況に立たされています。 

東京オリンピック・パラリンピックの延期も決定しており、これまで掲げられていた「4,000万人」という数字の達成が難しくなっていると考えられ、こうした背景から2020年の観光白書には数値目標の記載がなかったのかもしれません。

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2020年4月15日、日本政府観光局(JNTO)は訪日外客数の2020年3月推計値を発表しました。3月は前年同月比93%減の19万4千人と、調査対象の20市場全てで大幅な減少が見られました。新型コロナウイルスの感染拡大による海外渡航制限などの影響が、顕著に表れた結果といえます。3月の訪日外客数のデータとともに、各国の水際対策の現状をあわせて解説していきます。▲2020年3月 訪日外客数(JNTO推計値):[JNTOプレスリリース(2020年4月15日)]インバウンド対策にお困りですか?「訪...

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観光白書とは

観光白書とは、その年の観光動向や講じた施策、次年度に講じる施策などをとりまとめたもので、観光立国推進基本法に基づいて毎年国会に報告されています。

2020年の観光白書は、以下の4部で構成されています。

  • 第I部:令和元年観光の動向
  • 第II部:新型コロナウイルス感染症への対応と観光による再びの地方創生に向けて
  • 第III部:令和元年度に講じた施策
  • 第IV部:令和2年度に講じようとする施策

なぜ3,000万人超は実現できたのか?インバウンドを総まとめ「観光白書」2019年版を解説

2019年6月21日に2019年度(令和元年度)版の観光白書が発表されました。観光白書は日本の観光分野の施策について、国がまとめた報告書です。第I部:平成30年観光の動向、第II部:すそ野が拡がる観光の経済効果、第III部:平成30年度に講じた施策、第IV部:令和元年度に講じようとする施策から構成されており、インターネット上でPDFの形で公開されています。この記事では観光白書の内容を踏まえて、統計から見える最新のインバウンド動向を紹介していきます。目次観光白書とは?2019年度版からわかる...

それでも「観光立国」目指す

新型コロナウイルスの影響により厳しい状況に立たされている日本の観光業ですが、観光白書では、引き続き観光立国を目指す取り組みに手をゆるめない姿勢が示されています。

観光人材の育成図る:インバウンド対応も視野に

たとえば、観光白書の第IV部5節「更なる観光振興を図るための主要施策 」の項目では、「若者や学生の観光をテーマとした教育機会の充実」が挙げられています。

若者の旅行を促進するとともに、インバウンド対応や観光資源の魅力を自ら発信できる観光人材の育成を図るべく、若者に旅の意義や素晴らしさを伝える「若旅★授業」を全国規模で授業が行われるよう連携を強化するとしています。

さらに「道の駅」を「地方創生・観光を加速する拠点」とするための取り組みを強化していくとしています。具体的には大学等と連携して、特産品を生かした商品開発など学生の課外活動やインターンシップの場として活用したり、地域づくりや道の駅運営を担える人材育成を強化することなどがあげられています。

観光立国ショーケースの形成を推進:「消費単価の向上」課題解決に向けて前進?

観光白書の第IV部5節「更なる観光振興を図るための主要施策 」の項目では、「観光立国ショーケース」の形成の推進について言及されています。 

観光立国ショーケースとは、観光立国を体現する観光地域を作り、訪日外国人客を地方へ誘客するモデルケースを形成するものです。

2016年に観光立国ショーケースとして、北海道釧路市、石川県金沢市、長崎県長崎市の3都市が選定されています。観光白書では、観光立国ショーケース確立のため、同3都市の消費額拡大のために優先的な支援を行うとともに、3都市の取り組みの横展開を強化していくとしています。

インバウンド観光市場ではこれまでも、消費単価の向上が課題として指摘されていました。観光客の往来が回復したとしても、新型コロナウイルス対策としての「密集」を避けた旅行形態が主流となることも考えられます。訪日外客数の増加による市場の成長には限界が考えられ、消費単価の向上がより重要となってきます。2020年は、この点の解決に向けて大きな前進が試みられると考えられるでしょう。

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<参考>

朝日新聞:「訪日客20年4千万人」の記載消える 20年観光白書

国土交通省:観光白書

観光庁:「令和元年度観光の状況」及び「令和2年度観光施策」(観光白書)について

観光庁:「平成30年度観光の状況」及び「令和元年度観光施策」(観光白書)について

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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