京都 6月の日本人宿泊、5月の3.6倍で回復の兆し:ロードマップ策定で観光回復へ指針示す【京都市観光協会】

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京都市観光協会は7月31日、2020年6月分の市内宿泊施設のデータを発表しました。

この調査は京都市内の総延べ宿泊者数や外国人・日本人それぞれの宿泊者数、客室稼働率宿泊施設の収益指数などの指標をもとに、京都市内の観光産業の"今"をデータとして明らかにするものです。

データは毎月発表され、社会情勢や観光需要がどのように数値の変動に関係しているのかについても考察しています。

2020年6月分のデータでは、日本人延べ宿泊者数に回復傾向がみられた一方、外国人延べ宿泊者数は3か月連続で「ほぼゼロ」となりました。

これらの現状を受け、京都市観光協会は、新型コロナウイルスの感染拡大によって影響を受けた京都観光需要の回復に向けた事業展開のロードマップを策定しました。4段階に分けられた事業展開において、まずは国内観光需要の回復を目指すとのことです。

本記事では、2020年6月分のデータを紹介するとともに、4段階のロードマップについても解説します。

《注目ポイント》

  1. 日本人延べ宿泊客数はわずかに回復
  2. 外国人延べ宿泊客数は3か月にわたり「ほぼゼロ」
  3. 観光回復に向けロードマップ策定、まずは国内から

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日本人延べ宿泊客数、前月の3.6倍で回復傾向

京都市観光動向 月ごとの指標の変化
▲[月ごとの指標の変化] : 京都市観光協会データ月報(2020年6月)

京都市観光協会データ月報(2020年6月)によると、京都市の日本人延べ宿泊客数は56,386人泊で前年同月比こそ76.4%減となったものの、前月の3.6倍と回復傾向をたどりました。

一方、外国人延べ宿泊客数は510人泊で前年同月比99.8%減と3か月連続で「ほぼゼロ」の状態が続いています。しかし、前月5月の183人泊と比較すると2.8倍にまで拡大していることも明らかになりました。

また、日本人・外国人を合わせた総延べ宿泊者数は前年同月比89.3%減と大幅に落ち込みましたが、新型コロナウイルスの感染拡大後初めて前月よりも増加する傾向を示しました。

日本人観光客が回復傾向をたどった要因としては、6月19日に都道府県をまたぐ移動が解禁され、国内での人々の移動が活発になったことが挙げられます。外国人観光客は前年と比較して大幅な減少が続いているものの、各国との入国制限緩和の協議が進んでいることから、今後は徐々に回復していくことが期待されます。

客室稼働率は15.5%と、3か月ぶりに2桁台にまで回復しました。6月にかけて営業を再開した宿泊施設が多く、販売可能客室数が増加しているにもかかわらず、客室稼働率が前月の2倍以上の数値となっていることから、宿泊需要も回復しているといえます。

客室収益指数(宿泊施設の収益を表した値で、客室稼働率平均客室単価から算出される)も前年同月比85.1%減と減少は続くものの、前月に比べて減少幅がわずかに改善しています。

観光回復に向けロードマップ策定、まずは国内から

京都市観光協会は、新型コロナウイルスの感染拡大によって影響を受けた京都観光需要の回復に向けた事業展開のロードマップを策定しました。ロードマップは4段階となっており、まずは国内観光需要の回復を目指します。

第1段階は国内観光の復興期とし、日本人延べ宿泊客数の10万人泊/月までの回復を目指します。インバウンドにおいても、世界12都市に展開している海外拠点を通じて、各国の観光需要などを含めた情報収集と京都市の情報発信を再開するとしています。

第2段階では、Go To Travel キャンペーンによって拡大すると考えられる国内の観光需要を取り込み、日本人延べ宿泊客数を新型コロナウイルス感染拡大以前の水準である25万人泊/月にまで回復させるとしています。インバウンドにおいても、まずは在日外国人を起点としたプロモーションを実施する予定です。

第3段階では、現在入国制限の緩和が協議されているアジアや豪州などの近隣国・地域からの観光客を取り込むことで、外国人延べ宿泊客数の10万人泊/月までの回復を図ります。加えて、海外メディアの取材への支援を強化することで、海外への京都観光の情報発信をしていく方針です。

第4段階では、外国人延べ宿泊客数を約20万人泊/月まで増加させることを目指し、日本人延べ宿泊者数と合わせて45万人泊/月までの宿泊者数の回復を図ります。ただしこれは、ワクチンの普及によって新型コロナウイルスの感染が収束に向かい、各国間の渡航や入国制限がすべて解除されることを前提としています。

市民対象キャンペーンで需要喚起/7月分はどうなる?

京都観光協会では、Go To Travel キャンペーンの開始によって府外からの観光客の増加を図るだけでなく、市民対象の需要喚起策「地元応援!京都で食べよう、泊まろうキャンペーン」により、京都市民の飲食や宿泊の需要喚起を目指しています。

同キャンペーンの対象となっている飲食店では市民限定の特別メニューやプランを、宿泊施設では割引価格の特別プランを提供しています。

キャンペーンは6月19日より飲食店を対象に開始され、宿泊施設についても7月3日から予約受付を開始しました。これらの施策によって、7月分以降の日本人延べ宿泊者数はさらなる回復傾向をたどることが期待されます。

一方で、Go To Travel キャンペーンは7月22日に開始されたばかりであり、キャンペーンの効果が発現するまでには時間がかかると考えられます。また、国内の旅行需要は高まっているものの、感染拡大の第2波を懸念して旅行直前まで予約がされないことなどが懸念されています。

ロードマップで示されたように事業を展開していくためにも、まずは国内旅行で感染防止策を徹底し「安心・安全である」ことを示すことが、アジア圏や豪州からのインバウンド需要、そしてあらゆる国・地域からのインバウンド需要へとつながっていくでしょう。

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<参照>

京都市観光協会:京都市観光協会データ月報(2020年6月)

京都市観光協会:ウィズコロナ時代への適応を目指した 京都観光における事業展開(ロードマップ)について

京都市産業観光局:「地元応援!京都で食べよう,泊まろうキャンペーン」宿泊施設の利用開始について

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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