8月8日は台湾「父の日」現地交通事情が理由の人気商品とは?タブーは「時計と傘」俗信も色濃く

公開日:2020年08月07日

世界で最初に父の日が定められたのはアメリカで、1910年6月19日にワシントン州で父親を讃える祝典が開かれたことが父の日の始まりだとされています。

その後、1966年には当時のアメリカ大統領により父の日が6月の第3日曜日と定められ、1972年にはアメリカの国定記念日に制定されました。

父の日の風習はアメリカから世界に広まり、現在でも多くの国に、子供が父親にバラを送るなどの風習が存在しています。

日本、中国、イギリスなど、多くの国において父の日はアメリカと同じ6月の第3日曜日に制定されています。

しかし、いくつかの国においては別の日付が定められており、例えばロシアでは2月23日、イタリアやスペインでは3月19日、ドイツでは復活祭の39日後の木曜日とされています。

そして、世界でも有数の親日国として知られている台湾では、父の日は8月8日です。

日本と台湾には共通の文化や習慣が数多く存在していますが、台湾の父の日は日本の父の日と比べた場合、どのような特徴があるのでしょうか。

関連記事
今こそ知りたい中国と台湾の違い
台湾「親日国」といわれる理由
台湾の拾ってはいけない「赤い封筒」


台湾で父の日が「8月8日」になった理由と、家族事情

台湾では、日本と同じく母の日(母親節)と父の日(父親節)の習慣があります。

しかし、これらの日は国によって定められている国定祝日ではなく、記念日として認知されているのみにとどまります。

台湾をはじめとする中華圏では、家族の絆が重要視されており、親孝行は子供にとって大切な義務であるとする考え方が一般的です。

家庭において父母は尊敬の対象とされており、社会に出てから両親に恩返しをすることがひとつの目標だと考えている人も多くいるようです。

台湾の父の日は8月8日、その理由は?

台湾の父の日は、アメリカの父の日とは異なる由来で制定されました。その歴史は、第二次世界大戦中の1945年に遡ります。

当時、現在の台湾を統治している中華民国は中国大陸を統治しており、第二次世界大戦においては日本と戦火を交えていました。

戦争が終わりに近づく中、当時の上海にいた一部の愛国主義者団体が「父の日」を制定することで戦争を支えた世の父親を讃えようと唱えました。

第二次世界大戦が終わると、父の日の制定を求める声は各界著名人にも広がり、上海市への陳情を経て中華民国政府の知るところとなりました。

そのため、当時の中華民国政府は「お父さん」の中国語である「爸爸(バーバ)」と数字の「88」の中国語である「八八(バーバー)」の音が似ていることから、8月8日を父の日として公布しました。

その後、国共内戦を経て、中華民国は台湾への撤退を余儀なくされました。新たに中国大陸で政権を握った中華人民共和国では、父の日はアメリカと同じ6月の第3日曜日としました。8月8日は、台湾の父の日ですが、中国の父の日ではありません。

台湾の家族における父親の役割

台湾では、日本と同じく少子化が進んでおり、若年層の晩婚化も社会問題となっています。

一方で、日本ほどの核家族化は見られず、両親や祖父母と同居している家庭も数多く存在します。

その裏には、両親を大切にする中華圏の考え方や、不動産価格の急激な上昇により家を手に入れることが難しくなっている実情が隠れているようです。

また、台湾は男女平等が進んでいることでも知られており、2018年の台湾社会におけるジェンダー不平等指数(GII)は0.053と、世界163か国中9番目の小ささでした。2019年には同性婚を認める法律が施行されるなど、先進的な性別認識が普及している国でもあります。

台湾(中華民国)の首脳である総統は女性の蔡英文氏が務めており、女性国会議員の割合は全体の38.7%に達しています。台湾の家庭において妻は夫と平等な立場に立っていることが多く、2018年時点の離婚率も日本より高い1,000人中2.3人です。 

ただし、若年層においては生活の全てを彼氏など周りの男性に任せ、居丈高に振る舞う「台女」と呼ばれる種類の女性の存在が問題視されており、一部からは男女平等を重視するあまりに女尊男卑社会が作られつつあるとの批判もあります。

台湾の家庭において父親は日本ほど威厳のある存在ではないものの、家族を大事にすることをよしとする社会規範に基づいて、親としての敬意を払われていることが一般的といえるでしょう。

台湾の父の日では何を送る?人気商品を紹介

日本では、父の日には黄色のバラを送ることが一般的で、他にもボールペン、ビールグラス、ゴルフ用品や時計など、実用的なものが贈り物として好まれる傾向にあります。

また、父の日の発祥の国であるアメリカでは「父の日おめでとう」と書かれたカードを贈る習慣があります。

それでは、日本やアメリカと経緯を異にする台湾の父の日では、どのような贈り物が人気なのでしょうか。ここでは台湾のECサイトで人気を集めている贈り物をいくつか紹介します。

小型家電が人気、腕時計や財布などの小物も

台湾の父の日では、日本よりも更に実用的な品物が好まれる傾向にあるようで、ひげそり、イヤホン、電動歯ブラシなどの小型家電が人気を集めています。

台湾ではスマートフォンの普及率が2019年時点で約81.0%と、日本の約64.0%と比較して頭一つ抜き出ており、スマートフォンを使用している高齢者も多く見られます。

そのため、父の日にスマートフォンを贈ることも珍しくはないようで、スマートフォンも小型家電と並び人気の贈り物となっています。

また、日本と同じく財布などの小物類も人気の贈り物となっているほか、日本ではあまり見られない健康食品やサプリメントを贈る例もあるようです。

台湾ならでは「ドライブレコーダー」に支持

小型家電や実用性のある小物を贈る習慣は日本とよく似ていますが、台湾ならではの贈り物として特筆すべきはドライブレコーダーです。ドライブレコーダーは車やバイクに取り付けるカメラで、運転中の様子を撮影し事故の際の記録に役立てるという商品です。

台湾ではバイクが広く普及しており、2020年6月時点では約2,378万人の人口に対し約約1,402万台のバイクが登録されています。単純計算では全人口の約59%がバイクを保有していることになり、人口あたりのバイク保有率は世界1位です。

そのため、街中を多くのバイクが行き交う光景はもはや日常となっており、交通事情は決して好ましいものではありません。

2019年には年間34万件以上の交通事故が発生し、1,849名が事故により死亡しました。このような事故の多さは、ドライブレコーダーの普及を後押しする大きな原因となっています。

しかし、ドライブレコーダーの取り付けには日本円で2万円程度の費用がかかることや、1日バイクや車を業者に預ける必要があるため、取り付けたいと思いつつもなかなか購入に至らない人も多くいるようです。

そのため、父親にドライブレコーダーを贈ることで機会を作り、父親が普段使っているバイクや車に取り付けてもらおうとすることが、父の日のドライブレコーダーの売り上げを後押ししていると考えられます。

台湾の父の日に送ってはいけないもの

ここまで、台湾の父の日の贈り物として人気のある小物やドライブレコーダーについて紹介しました。

日本では父の日の贈り物についてさまざまな考え方がありますが、一部では履物、文房具、時計や鞄は控えた方が良いとされています。

履物は「相手を踏みつける」、文房具と時計や鞄は「勤勉に働くように」との意味を持ってしまうというのがその理由です。

それでは台湾の場合、どのような贈り物を避けるべきだとされているのでしょうか。

時計と傘を贈ってはいけない理由

中華圏において、父の日のみならず、他人に贈り物をする際には特に時計と傘を避けるべきだとされています。

時計は中国語だと「時鐘(シージョン)」と書き、「鐘(ジョン)」の字と「終(ジョン)」の字は同じ発音です。そのため「あなたとの関係を終わりにする」という意味を持ってしまい、贈り物としては不適切だとされています。

また、傘は「雨傘(ユーサン)」と書き、「傘(サン)」の字と「散(サン)」の字は同じ発音です。そのため「あなたと別れる」という意味を持ってしまい、同じく贈り物としては不適切だとされています。

他にも「靴」と「邪気」、「梨」と「離れる」なども同じ発音であるため、これらも同様に避けるべきだとされています。

信仰文化と関係のある「ろうそく」「人形」「石」

贈り物の中には、同じ発音であるが故に避けられている物以外にも、台湾の俗信により避けられている物がいくつか存在します。

例えばろうそくは、葬儀で用いることが多いため生きている人に贈るべきではないとされています。日本の雑貨店ではアロマキャンドルを取り扱うところも少なくありません。こうした製品をインバウンド、特に台湾市場向けに訴求する場合には細心の注意が必要といえるでしょう。

他にも人形や石は霊に憑依されやすいため避けるべきだとされています。

台湾では主に道教と仏教が信仰されており、特に道教文化は生活の中に色濃く根付いています。道教の神を奉る祭典は自治体や警察の協力のもとで実施されており、大規模なものでは幹線道路に交通規制を敷き祭典を執り行うこともあります。

また、土着の民間信仰が道教や仏教と融合して複雑な宗教体系を形成しており、宗教上の禁忌も多く決められているため、信仰心の篤い台湾人はこれらの決まり事に則った生活をしています。

そのため、霊の呪いや祟りなどといった不吉な出来事には敏感な台湾人が多い傾向にあり、このような文化的背景が人形や石などをタブー視する風習を形成しています。

台湾の文化を色濃く反映する父の日

台湾の父の日は、中華民国の国威発揚が起源となっているため、6月の第3日曜日ではなく8月8日とされています。また、ドライブレコーダーなどの台湾ならではの贈り物が人気となっており、時計や傘、人形や石などの贈り物は中華圏ならではの文化的要因で避けるべきとされます。

台湾では、日本製の商品は品質の高いものであるとして一定の人気を得ています。台湾の父の日に向けたマーケティングを実施する際には、台湾の文化や禁忌を知ることでより台湾人の心を掴むマーケティングが実現できるでしょう。


<参照>

愛網:父親節的由來

フォーカス台湾:台湾のジェンダー格差、世界で9番目に小さい アジアでは最も男女平等

風傳媒:「七年之癢」延長賽!台灣離婚率亞洲第二高 結婚10-14年最危險

頂尖排名媒體:Top 10父親節禮物十大推薦商品排行榜(2020最新)

LINE購物:2019父親節禮物排行Top10:3C、皮夾、手錶

交通部統計查詢網:機動車輛登記數

高雄醫藥大學心理學系:送禮的禁忌

ETToday新聞雲:你不可不知的8大傳統送禮禁忌

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!