訪日外国人観光客がお得に買い物できる免税店は、インバウンドの消費拡大において大きな役割を担っています。
免税店への登録により、客単価が上がった例も報告されていることから、今後インバウンドの消費単価を上げる施策の1つとして有効といえるでしょう。
この記事では、免税店に登録する際の手続き方法について詳しく解説するとともに、免税店のインバウンド対策に対する効果やメリットについて紹介します。
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免税店とは
免税店とは、訪日外国人をはじめとする日本の非居住者に対し、特定の物品を一定の方法で販売する際に、消費税の免除を適用できる店舗を指します。
免税品を販売する免税店になるには、事前に税務署から許可を得る必要があります。
ここでは、免税の対象者と対象品、免税店が行う免税手続きの方法について紹介します。
免税の対象者
免税の対象者は、日本の非住居者と定められているため、旅行目的で訪れる訪日外国人はもちろん、日本人も海外在住の場合など、一定の条件に当てはまる場合は免税対象になります。
外国人は原則、非居住者として扱われるため、基本的に免税の対象者です。また、外国政府または国際機関の公務に携わる人も、免税対象になります。
日本人が免税対象になるケースの1つは、日本法人の海外支店や現地法人、駐在員事務所や国際機関といった外国にある事務所に勤務するために、外国に滞在している場合です。
また、2年以上外国に滞在している人や、休暇などの理由で一時帰国し、その滞在期間が6か月未満の人も含まれます。
免税の対象品
免税の対象品は、「通常の生活で使用される一般物品または消耗品」に限定されています。
免税の対象となる一般物品とは、カバンや靴、洋服や着物、家電製品、民芸品、時計や宝飾品などを指します。
同一店舗における1日の販売合計額が、1人あたり5,000円以上の場合に、免税対象となります。ただし、販売合計額が100万円を超える際には、パスポート等の写しを事業者の販売場の所在地または納税地に保存することが義務付けられています。
免税対象の消耗品には、医薬品飲料、化粧品、果物、食品が当てはまります。同一店舗における1日の販売合計額が1人あたり5,000円以上50万円以下の場合に、免税対象となります。
また、消耗品の購入日から30日以内に出国する旨に対する誓約と、出国までに消費できないよう指定された方法で包装されていることも定められています。
一般物品と消耗品のいずれも、免税で購入したものは他者への販売や事業への使用が禁止されています。
免税する流れ
2020年7月現在、免税手続きの書類作成には、紙と電子の2種類の方法があります。電子手続きは、2020年4月から導入されました。2021年9月までは、従来の紙を使用した手続き方法も併用が可能とされていますが、2021年10月以降は電子手続きが中心となります。
従来の紙による免税手続きでは、免税店は「購入記録票」の作成と、非居住者が提出した「購入者誓約書」の保存が必要でした。2種類とも書類の決まった様式はなく、記載項目のみが定められています。
指定の項目が正しく記入されたこれら2つの書類が揃うことで、免税の販売ができる仕組みでした。
しかし、2020年4月から導入された電子手続きでは、従来の紙による手続きで必要であった上記の「購入記録票」の作成と「購入者誓約書」の保存が不要となった代わりに、「購入者に対する説明義務」と「購入記録情報の提供と保存」が新たに必要になりました。
購入者に対する説明義務とは、出国時に税関へパスポートなどの提示が必要であることなどを、口頭で説明する義務を意味します。
購入記録情報の提供と保存は、購入者のパスポート情報や、購入の事実を記録した電子記録を、事業者が遅滞なく国税庁のシステムへ送信し報告することを指します。従来の紙を使用した手続きよりも、購入者情報を迅速に共有できるメリットがあります。
免税店の申請方法
免税販売をするためには、免税店としての営業許可を得る必要があります。
ここでは、観光庁のホームページを参考に、詳しい免税店の申請方法や審査項目について解説します。
どこに申請しに行くか
免税店として営業するためには、納税地を所轄する税務署への申請が必要です。複数の店舗を登録したい場合は、店舗ごとに申請します。
事業所の納税地を所轄する税務署の場所は、国税庁のホームページで検索し調べることができます。
申請に必要なもの
申請に必要なものの1つに、「輸出物品販売場許可申請書」があります。事前に国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
そのほかには、「社内の免税販売のマニュアル」「許可を受けたい店舗の見取図」「ホームページのアドレスや会社案内など、申請者の事業内容が分かるもの」「許可を受けたい店舗の取扱商品リストや商品カタログなどの資料」「許可を受けたい店舗の主な取扱商品が分かる一覧表」「許可を受けたい店舗で作成する購入記録票のサンプル」などが必要です。
必要書類を準備する上で漏れがないよう、国税庁のホームページで公開している、申請に必要なもののチェックシートを活用することが有効でしょう。
審査項目
免税店の登録をする際には、複数の審査を通過することが必要です。観光庁が発表している審査項目は、以下の3つです。
免税店はインバウンド対策になる
近年訪日外国人観光客からの免税店の需要が高まっているため、免税店としての登録は重要なインバウンド対策になります。
ここでは、免税店は観光庁が指定するシンボルマークを掲げるメリットや、店舗を免税化したインバウンド事例を紹介します。
免税店のシンボルマーク
観光庁は免税店において特定のシンボルマークを運用することで、免税店の認知度向上やブランド化を目指しています。シンボルマークを店頭に掲げることで、訪日外国人観光客は一目で免税店だと認識できるようになるため、集客促進につながる効果が期待できます。
シンボルマークの申請は、郵便とウェブサイトの2種類からできます。
シンボルマークのメリット
免税店がシンボルマークを活用するメリットは、主に3つあります。
1つ目に、免税店の認知拡大が図れることです。日本政府観光局は、公式ホームページなどでシンボルマークを使用する免税店の情報を国内外に発信しています。
免税店の情報発信サイトでは、英語はもちろん、中国語や韓国語などで全国の免税店を検索することが可能です。多言語対応サイトは、訪日外国人観光客にとって利便性が高いため、検索結果から自店舗が訪日外国人の目に止まることも期待できるでしょう。
2つ目に、訪日外国人向けの観光情報アプリ「Japan Official Travel App」に店舗情報を掲載できることです。
例えば、アプリにはマップ上で店舗の位置情報を発信できる機能があるため、付近で観光している訪日外国人は免税店を見つけやすくなり、その店舗を認識していなかった訪日外国人の集客も期待できます。
3つ目に、日本政府観光局が免税店に配布する免税制度・免税店周知ポスターを掲示できることです。ポスターの掲示により、訪日外国人に対して免税制度の周知をすることができます。
免税化によるインバウンド事例
秋葉原でアニメグッズなどを取り扱う「コトブキヤ秋葉原館」は、訪日外国人観光客が多く訪れる立地であることから、2019年6月に免税店の許可を得ました。
同店では、レジカウンターに免税制度を説明するシートを準備し、免税制度を知らない訪日外国人に周知をしています。
免税対象になるには5,000円以上の合計購入額が必要である旨を訪日外国人に伝えることで、商品を買い足して免税を選ぶケースが多くなりました。このように免税販売を始めることで、客単価を上げる効果が期待できるでしょう。
免税店になることでインバウンド対策を
免税店に登録すると、訪日外国人観光客はよりお得に買い物ができるので、他の免税店になっていない店舗との差別化を図ることができます。
また、免税店に登録しインバウンド客を多く獲得できれば、国内の景気が不安定な時期にも安定した売上が確保できるというメリットもあります。
アフターコロナのインバウンド回復期を見据え、この記事で紹介した免税店の登録など、今のうちにできるインバウンド対策を強化しておくことが大切でしょう。
<参照>
観光庁:免税店とは
観光庁:免税販売の手続の流れ
観光庁:免税店になるには
観光庁:免税店シンボルマーク
観光庁:Tax-Free Shopping in Japan
東京都免税店:「コトブキヤ秋葉原館」【サブカルの聖地・秋葉原 豊富な品揃えとオリジナル商品で訪日客に人気の店】
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