路線図から見える、中国人旅行客が新宿に泊まる理由:聖地巡礼、グルメ、買い物...「新宿拠点」の隙の無さ

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中国アリババの人気ECサイト・アプリの「タオバオ(淘宝)」では、交通系ICや白タクや、翻訳付きの買い物随行サービス、医療体験など、様々な日本旅行のサービスが商品として売られています。

アリババの旅行サイト「飛猪」で予約できるホテルもタオバオから予約できますが、日本のホテルでは新宿ホテルが多く確認できました。

新宿は、歌舞伎町など東京屈指の歓楽街があり交通も便利です。

ですが、新宿とセットになりがちな交通便利で楽しめそうな渋谷や池袋では新宿ほどタオバオから予約ができるホテルはありません。

特に池袋については数多くの中華料理屋が並ぶ中華街があり、外国でも母国の食事を食べたいというニーズを満たしそうなのに、です。

その理由を考えると、新宿中国人の訪日旅行をするにあたって、とても利便性の高い土地であることがわかります。

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新宿は中国人観光客にとって便利

タオバオで多く見かける切符が、小田急の箱根フリーパス江の島・鎌倉フリーパスです。

箱根といえば中国人に定番の観光地ですし、また江の島・鎌倉といえば、江の島から近いスラムダンクファンの聖地「鎌倉高校前」が江ノ電で江の島から二駅です。

箱根に行く箱根登山鉄道の写真と鎌倉高校前と江ノ電の写真はタオバオの日本旅行でもよく見つかります。

タオバオで小田急のフリーパス(引換券)を販売していることから、新宿を拠点にすればそれほど困ることなく乗ることができるわけです。

また、タオバオで売られている入場券の予約代行では、藤子・F・不二雄ミュージアムもありますが、これもまた新宿からアクセスの良い小田急線の向ヶ丘遊園駅が最寄りです。

小田急から中国人に人気の箱根や御殿場や江の島へ
▲[小田急新宿駅]:筆者撮影


そして、箱根フリーパスを使えば御殿場まで足を延ばすこともできます。

御殿場にはアウトレットがあり、ここも多くの中国人観光客が訪れています。御殿場までは箱根フリーパスのほか、新宿バスターミナルバス新宿」から御殿場までのバスも走っていて便利です。

バス新宿からは富士山5合目や富士急ハイランドに行くバスがあり、これも複数のタオバオの店舗で予約代行を行っています。

ディズニーランドバスタからの直通バスがあるほか、高速バスを利用して関西方面をはじめ日本各地へ行くのにも新宿拠点は便利です。

JRを見てみると、まず成田空港から直接新宿まで成田エクスプレスで行けるのも魅力です。

中央線に乗れば三鷹の森ジブリ美術館があり、やはりこれもタオバオで予約代行を行う業者がいます。

電車での旅が好きであれば、富士急ハイランド富士五湖のひとつ河口湖まで行くこともできます。

反対方面をみれば、アニメグッズショップ目当てでの秋葉原や、皇居前に行ける東京駅まで電車で一本です。

また山手線に乗れば、中国人の間でも知る人ぞ知る原宿や渋谷に行くことができます。

また新海誠監督の映画「君の名は」では、新宿周辺に加え、代々木駅四ツ谷駅から行ける須賀神社ほか、山手線や総武線からの車窓が描かれています。

聖地巡礼をしたいファンにはたまらないわけです。

こうしてみると、実に新宿は便利であることがわかります。中国人観光客が新宿を拠点にしがちなのは理由があるのです。

新宿から行けるところであれば、心理的ハードルは低いといえます。例えば西武新宿線やJR埼京線で行ける川越の小江戸の街などは人気になるかもしれません。

またJR新宿駅から日光や鬼怒川温泉に行く特急もあります。横浜もJR東京メトロ副都心線と東急東横線で1本です。

もし条件に合致するエリアでインバウンド向けビジネスをしているのであれば、新宿から一本で行けることをアピールポイントに入れれば、中国人観光客にとってより魅力的に感じるかもしれません。

新宿でやることは買い物・食事・聖地巡礼

外国人が日本を観光するならとりあえず日本で一番の大都会を感じる場所には行ってみたいものです。日本人も海外旅行に行く際にも同じことを考えるのではないでしょうか。だからこそ新宿は魅力があります。

百度のQ&Aサイト「百度知道」や旅行サイトなどの質問掲示板では、新宿に泊まるのだけど何をすればいいのか」という質問が多く挙がっています。

その解答で、まず出てくるのが「歌舞伎町」それも歌舞伎町一番街」です。

様々な飲食が体験でき、歌舞伎町ではドン・キホーテや大黒屋で買い物ができるといいます。

風俗を楽しみたいという書き込みもあり、ニーズがあることが伺えます。ただし詐欺が多いから気を付けるように、といった注意コメントも多数確認できます。

ジャッキーチェン主演の映画「新宿インシデント(原題:新宿事件)」を見て、歌舞伎町は危ない街という印象を持つ人も少なからずいるようです。

中国人にとって注目スポットが集まる新宿東口
▲[新宿東口]:筆者撮影

また歌舞伎町ではなく新宿を広げると、ブランド商品を買う際は、京王百貨店、小田急百貨店、丸井、伊勢丹がお勧めという書き込みがあります。

新宿駅から新宿三丁目の伊勢丹方面に新宿通り沿いを歩き、Gucci、Coach、ビックロ、マルイを見るというプランもありました。

さらに足を延ばして新宿御苑に行くことを勧めるアドバイスもありました。

歌舞伎町にしても新宿エリアにしても食事のアドバイスがありますが、「吉野家」「松屋」「一蘭」「はなまるうどん」「喜多方ラーメン」「coco壱番屋」など出てくるのはチェーン店が目立ちます。 

歌舞伎町のある東口側に注目が集まる一方、あまり都庁(展望台)やヨドバシカメラなど西口側を勧めるアドバイスは少なく見えました。

例外は西口がいくつか描かれている「君の名は」の聖地巡りくらいです。

多くの人にとってのルートは、西口駅直結の小田急百貨店と京王百貨店を見てから、歌舞伎町方面に向かう道中に思い出横丁を通って大ガードから東口側に抜けて、歌舞伎町や新宿三丁目の伊勢丹方面に向かう、そうした動きを勧めています。

中国人観光客にとって新宿西口といえば京王小田急両デパート
▲[新宿西口]:筆者撮影

中国人観光客は東京を観光する際は、今後も利便性と情報量から新宿を選ぶことになりそうです。

中国人が知らない観光地を勧めるとするなら新宿からのアクセスや利便性の良さをアピールすることが求められるでしょう。

中国「タオバオ」で買える日本旅行:交通系IC・白タクから、翻訳付きの買い物随行サービス、医療体験まで…ニーズが一挙に見える

中国でナンバー1のオンラインショッピングサービスといえば、アリババの「タオバオ(淘宝網、Taobao)」です。スマートフォン向けのタオバオは、人気のアプリなので、ついつい起動して何か気になる商品を探しがちという中国人も少なくありません。アリババのECサイトでは「天猫(Tmall)」のほうが何かと話題になりがちですが、タオバオで検索すれば天猫の商品も検索できますし、アプリにしても天猫のアプリよりもタオバオのほうが利用されています。またタオバオからは、アリババの旅行サービスプラットフォーム「飛...


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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

山谷剛史

山谷剛史

76年東京生まれ。東京池袋近辺、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。36kr日本語版のお手伝い。前職NNA。2002年より中国アジアのITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に連載。著書に「中国S級B級論(共著)」「中国のインターネット史」など。

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