中国でナンバー1のオンラインショッピングサービスといえば、アリババの「タオバオ(淘宝網、Taobao)」です。スマートフォン向けのタオバオは、人気のアプリなので、ついつい起動して何か気になる商品を探しがちという中国人も少なくありません。
アリババのECサイトでは「天猫(Tmall)」のほうが何かと話題になりがちですが、タオバオで検索すれば天猫の商品も検索できますし、アプリにしても天猫のアプリよりもタオバオのほうが利用されています。
またタオバオからは、アリババの旅行サービスプラットフォーム「飛猪(Fliggy)」のホテル予約が可能です。
中国人の間では「何でも売っている」と言われるタオバオでは、日本旅行関連の商品も売られています。個人旅行者がタオバオで旅行を検討し、旅行商品を人民元で買うわけですが、多くのショップが日本の旅行サービスを扱っています。タオバオで売られている商品だけで日本旅行をすることも無理ではありません。
今回はタオバオで売られている、日本旅行の関連商品を紹介します。
タオバオで買える「日本旅行」交通・体験編
タオバオでの見つけ方ですが、日本各地の「東京」「新宿」「成田」「奈良」といった地名や、「成田」「関西」といった空港名を入れると、商品(サービス)が販売されているならばその商品が検索結果として表示されます。
中国語では旅行を「旅遊」というので、「日本 旅遊」「東京 旅遊」「大阪 旅遊」と検索してもいいでしょう。
ただし簡体字にしなくてはなりません。そこで、いったん検索サイト「バイドゥ(百度)」や、いくつかある中国語簡体字と日本語漢字の変換サイトで簡体字を出してから、タオバオで検索しましょう。
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交通系ICカードが東京、大阪をより身近に?
まずタオバオで売られる日本での移動系の商品ですが、交通系ICカードが売られています。「日本 交通卡」で検索すると見つかります。交通系ICカードは多数ありますが、特にJR東日本が発行するSUICAや、JR西日本が発行するICOCAが多く、JR北海道のKitacaも若干ながらあります。
もちろんSuicaやICOCAで、関東関西以外の交通は利用できるとはいえ、例えば名古屋圏や、福岡圏の交通系ICカードはないというのは、中国人からするとそこの都市の旅行はちょっとだけハードルがあがると思うかもしれません。
価格の一例を見てみると、2,000円分(1,500円+デポジット500円)入ったカードが160元(約2,400円)前後で売られています。中国の主要空港で受け取れるほか、自宅への宅配も可能になっています。
タオバオ(飛猪)で売られている電車系のチケットは他にも、新幹線では東海道新幹線のぞみ号の指定席チケット代行や、地下鉄では東京メトロや大阪メトロ、私鉄では近鉄、阪急、京阪などの数日分のフリーパスが売られています。
新幹線のぞみ号にニーズ
日本の鉄道移動では多くの新幹線や特急に乗車できる外国人限定のジャパン・レール・パスが人気ですが、本数の多い東海道新幹線のぞみ号は利用できないので別途のぞみ号のニーズがあるわけです。
また近鉄は大阪、京都、奈良、名古屋を、阪急は京都と大阪と神戸を、京阪は京都と大阪をそれぞれ繋ぐのでニーズがあるのでしょう。
関東では、小田急の「江の島・鎌倉フリーパス」が複数の店舗で販売されています。中国人に人気の箱根、さらにその先の御殿場や、人気アニメ「スラムダンク」の聖地である鎌倉高校に近い江の島に行けるとあって人気なのでしょう。
「白タク」手配もタオバオで 割安で正規サービスをしのぐ?
空港からのいわゆる白タクサービスも販売されています。東京であれば、成田空港から東京であったり、東京、或いは羽田・成田空港から富士山、忍野八海、河口湖、御殿場、箱根エリア、ディズニーランドへの白タクによる移動が多くのタオバオのショップで販売されています。都内を車で移動するプランは見られません。
大阪であれば、関西空港から大阪市内へのサービスが、名古屋であれば中部空港から名古屋市内、名古屋市内から白川郷へのサービスが売られています。
値段ですが、羽田空港から都区内で360元(5,000円台)程度、東京から富士山で1500元(2万3,000円)程度となっています。日本のタクシーの価格に比べれば、安い値段ではないでしょうか。
バスの代行予約もあります。東京~河口湖・御殿場行のバスや、東京~大阪・京都の夜間高速バスの代行予約をする店がありました。グループ旅行でも、個人の経済的な旅行でも、タオバオは活用できるわけです。
各地の人気テーマパークがわかる
観光については、「東京 門票」「大阪 門票」の簡体字「东京 门票」「大阪 门票」を検索ワードに入れると、人気の観光地のチケット予約代行ができるのがわかります。
東京ではディズニーランドを筆頭に、富士急ハイランド、サンリオピューロランド、東京スカイツリー、藤子不二雄ミュージアム、三鷹の森ジブリ美術館、チームラボの森ビル、デジタルアートミュージアム、草間彌生美術館が出てきます。
大阪ではユニバーサルスタジオジャパン、海遊館、あべのハルカス展望台、京都では舞妓体験、名古屋ではレゴランドの予約が出てきます。
様々なサービスの体験予約がズラリ
中国人に体験型観光のニーズが高まっていると言われていますが、和服試着体験のサービスが多く扱われているほか、大阪や京都では抹茶や寿司づくりの体験サービスが販売されています。
ちなみに日本の体験旅行系では、医療体験予約も多く目につきます。診療科は様々です。
![▲[タオバオの体験予約サービス]:筆者キャプチャ 特に京都で充実している体験系商品の検索結果](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7232/main_image.png?auto=format)
タオバオで買える「日本旅行」宿泊・食事・買い物編
個人旅行向けの商品は移動サービスだけではありません。ホテルや食事や買い物をサポートするサービスも売られています。タオバオで新宿などの地域名で検索すると、飛猪によるホテル予約サービスが出てきます。その中には民泊もあります。
食事に関しては飛猪の「日本美食」「幻日旅遊」「JP Mobile」というショップなどで食事予約代行をしています。中国で人気の火鍋チェーン「海底撈火鍋」の日本国内店舗や、かに道楽、ミシュラン星付きの日本料理、メイド喫茶などの予約サービスがありました。
外国料理に慣れない人にも、高級日本料理を楽しみたい人にも、かに料理を楽しみたい人、メイド喫茶を楽しみたい人、様々な人をターゲットにしているのがわかります。
![▲[タオバオのレストラン代行取得サービス]:筆者キャプチャ ミシュラン星付きが目立つ、日本でのレストラン予約代行サービスの検索結果](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7231/main_image.png?auto=format)
買い物の「翻訳随行サービス」1時間1,500円~
買い物については、交通カードを買うと割引券付きのお勧めショップが出てきますが、一方で東京や大阪での翻訳随行サービスも売られていて、こちらを活用することもできます。1時間100元(約1,500円)程度で提供されています。また東京では、新宿、渋谷、秋葉原に特化した案内人もいます。
医療観光の翻訳随行サービスもあり、こちらは1時間あたり700元(約10,000円)と桁が一つ違います。
まとめ
タオバオを使って日本旅行関連のキーワードを検索すると、自然と中国人の日本旅行プランが想像できます。
反対に、中国のネットユーザーの立場に立って考えてみると、タオバオで商品がない観光地は、認識されない可能性が高いわけです。タオバオで観光地の入場チケットや、体験サービスの予約などの商品を出すことは、観光地や観光コンテンツの認知拡大や集客の一助となりそうです。