8月20日(木)、楽天の地域創生事業、楽天グループのインバウンド向け体験予約サイト「Voyagin」、楽天ペイ、台湾楽天カードは、地方自治体のインバウンド担当者を対象に、コロナ禍で変化した訪日旅行ニーズや、体験商品の磨き上げにおける考え方、事例などを紹介するオンラインセミナーを開催しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で現在インバウンド客はほとんど消失しましたが、新しい生活様式の実践に伴い、インバウンド産業も量から質へ転換すべきフェーズを迎えています。
さらに、新型コロナウイルスはビジネスにも変革を起こし、インバウンドの持続的な成長を遂げるためにDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が必要されています。
今回のセミナーでは、各自治体がどのように地域の魅力を見直しデジタルにのせていくか、またどのように新しいインバウンドの形「観光共創」を作っていくかを考える機会となりました。
同セミナーに出席した訪日ラボ編集部が、内容の一部を紹介します。
<前回のセミナーレポート>
コロナ後のインバウンド観光、自治体が「欧米豪×FIT」にフォーカスすべき理由
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今後求められる訪日体験ニーズは?
Voyaginが2020年7月10日〜22日にサイトにて訪日予約者に対して実施したアンケート結果によると、72%が次の海外旅行は年明け以降と考えていることが明らかになりました。
また、60%近くは1年以内に訪日旅行を検討しているとわかりました。
「海外旅行を考える上で今後重要になることは?」という質問に対し、もっとも選ばれたのは「コロナ対策を明記」です。そのほか、「屋外での食や文化体験」「都心よりも人が少ないエリアでのアクティビティ」「少人数や貸切ツアー」などが上位に入りました。
訪日旅行に求めることをフリーアンサーで尋ねた質問では、観光客でも利用できる医療体制が整っているか、マスク着用義務や参加人数の制限など感染対策に関する事前説明があるかといった点があげられています。
さらに感染リスクを回避できるなら、体験費用が高くなっても良いと回答した人は52%にのぼりました。
このようにVoyaginの調査からは、新型コロナウイルスを機に、人口が集中している都市部よりも、人口の少ない地域へ旅行者の関心が移っている傾向が見られており、地域全体として新型コロナウイルスに関する情報発信、および感染予防対策・感染発生後の対応が重要視されることがわかります。
また、屋外やプライベートツアー、少人数、安全な移動など三密回避をキーワードにした付加価値の高い体験商品が求められていることがわかります。
アフターコロナの観光・インバウンド市場、訪日意欲とこれから重視すべきポイント解説
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地域の体験商品を磨き上げる
地域の体験商品をどう造成するかについては、過去Voyaginの予約傾向からヒントを得られます。
下記の図は、Voyaginの2019年1月から直近までの予約データから特に人気の高い体験商品が持つキーワードと、地域で置き換えた場合に造成可能な商品例を紹介したものです。
例えば、人気商品のうち、相撲の朝稽古の見学や野球観戦など日本の伝統的なカルチャーを地域に置換すると、その地域にしかない伝統工芸、食文化、祭り、自然環境などのコンテンツを商品化することが考えられます。
また、ミシュランや寿司など高級レストランを楽しむ訪日外国人が多くいますが、このような体験は「日本食」というキーワードに集約でき、地域においては「郷土料理」に転換できます。
こうした人気商品のキーワードを抽出し自分の地域に落とし込むことによって、その地域ならではの独自の資源や魅力を体験商品として生み出すことができます。
国によって求める体験が違う
さらに国籍や客層などの違いによって、求める体験も異なるため、設定したターゲット層の嗜好傾向に合わせて、プロダクト内容のさらなる磨き上げを行うことができます。
例えば同じ欧米圏でも、訪日アメリカ人の場合は、野球観戦やゴーカートなどわかりやすいジャパンニーズカルチャーが人気です。豊洲市場での競り体験や高級寿司などのハイエンド商品も好まれます。
一方、訪日イギリス人はチームラボやKAWAII MONSTER CAFEなど最新アートやカルチャーへの関心が伺えます。相撲の試合観戦や京都での侍体験にも興味を示しています。
訪日フランス人は、刀鍛冶や盆栽などのディープな文化体験に加えて、ジブリミュージアムなどアニメに対する関心度も高い傾向がみられます。
中華圏の場合をみてみると、中国人は日本旅行の際に「特別感」や「高級感」を求める傾向があるため、東京の夜景を一望できる六本木ヒルズ森タワー屋上チケットや懐石料理を楽しめる高級レストランの予約が人気です。
一方で、台湾は日本との距離が近くLCC路線も増加していることから、台湾人にとって訪日旅行は気軽な「週末ふらり旅」であり、さらに最新の日本情報を常にキャッチしているため、スヌーピーミュージアムなどの最新施設やSNS映えスポットへの予約が多くみられています。
上記のように人気商品から国ごとの嗜好がわかる一方、全体として体験商品が都市部に集中しており、地方部の旅行先としての認知がまだ十分ではない現状にあります。
ターゲットのニーズに応じて体験商品の精度を高めながら受け入れ環境を整備しつつ、これから地方部の認知促進プロモーションが重要になると考えられるでしょう。
外国人に人気の日本体験ツアーランキングTOP5「1位はマリカー」
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いつプロモーションするか
では、いつターゲットの訪日外国人に対してプロモーションすればいいでしょうか。
これについて、楽天では世界のトラベルデータをもとに旅行客の行動傾向などを分析する『ADARA』が提供したデータより分析しました。
2020年東京オリンピックに向けたインバウンド旅行商品の予約データからみると、もっとも予約された時期は出発日の200日前ごろの2020年1月です。2番目に多いのは出発日の300日前の2019年9月です。
このデータから、訪日外国人の予約や手配の行動は半年以上前からスタートするという傾向がうかがえます。
そのため、ターゲットとなる国の旅行者に対して、自分の地域の認知を拡大させ動機付けとなるプロモーションをするタイミングはさらに前である必要があると考えられます。
前述したとおり、年明け以降に海外旅行を考えている外国人は72%で、しかも来年7月に東京オリンピックも控えているため、これから日本旅行を検討する外国人が増えてくるでしょう。
新型コロナウイルス収束後の訪日外国人の客足の戻りと東京オリンピック開催に向けて、プロモーションの準備には今すぐ着手すべきであり、新型コロナウイルスの状況をみながら遅くても年明けには実施したほうがよいと考えられます。
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コロナで変化した訪日外国人観光客のニーズをキャッチ
今回のセミナーでは、新型コロナウイルスの影響による訪日外国人観光客の旅行に対するニーズの変化を紹介し、「コロナ対策の明記」「地方部・屋外」「少人数・貸切」が今後のポイントになることがわかりました。
さらに、過去に蓄積された人気体験商品の傾向や旅行商品の予約時期データから、地方部の観光資源の磨き上げとプロモーションのタイミングについて、より具体的な提言も行われました。
そのほか、セミナーでは楽天ペイや楽天銀行、台湾楽天カードから、インバウンド向けの電子決済サービスやソリューションなどの導入事例も紹介され、参加者にとって次のアクションをより具体化できる場となりました。
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
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今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
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訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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