コロナ禍がもたらたした世界規模の大不況は、日本の観光スポットやアクティビティにも大きな打撃を与えています。例年国籍問わず多くの人が訪れ、トリップアドバイザーで数々の賞を受賞した「アキバフクロウ」も例外ではありません。
超人気店のアキバフクロウも、今年に入り来店者数が激減し、現在も店舗存続の危機に立たされています。こうした状況の中で開始したクラウドファンディングでは、開始初日で目標金額であった300万円を突破し、9月7日時点では5,496,377円もの支援金を集めています。
その一方で、ここまでの支援金を集めるほどのファンを育むことができたその秘訣はどこにあるのでしょうか。
今回訪日ラボはアキバフクロウに取材し、クラウドファンディングを始めた経緯、世界中のファンを獲得するに至ったサービスやお店づくりへのこだわり、コロナ禍に直面している現在の想いについて聞きました。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
秋葉原の超人気フクロウカフェ「アキバフクロウ」
アキバフクロウは、東京の秋葉原駅から徒歩3分の場所にある「小人数・完全予約制」のフクロウカフェです。
フクロウカフェブームの先駆的存在であり、フクロウのケアを最優先にした営業体制と、シャンデリアに囲まれ、ゆったりとしたクラシック音楽が流れる非現実的な空間がこだわりの店舗です。
これまで90各国以上・約10万人のゲストを迎えており、トリップアドバイザーでは人気の体験で「日本第1位」に選ばれ、同サイトで最も栄誉ある賞である「トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト」をはじめ、数々の賞を受賞しています。
![▲[トリップアドバイザーで最も栄誉ある賞「トラベラーズチョイス・ベスト・オブ・ベスト」はじめ、毎年賞を授与されている] ▲[トリップアドバイザーで最も栄誉ある賞「トラベラーズチョイス・ベスト・オブ・ベスト」はじめ、毎年賞を授与されている]](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7468/main_0dc56849a70767570f8a8e97266fe6ac.jpg?auto=format)
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で世界的に渡航が制限され、国内でも外出自粛が呼び掛けられました。
そんな2020年はアキバフクロウにとって、予想もしていなかった未曾有の危機であり、店舗の存続すら危ぶまれる事態に陥っていました。
クラウドファンディングをやるのは「お門違い」だと思っていた
経営が厳しい状況が続く中、クラウドファンディングという支援の呼び掛けを決断するまでには強い葛藤があったと店主の矢部修作氏(以下、矢部氏)は語ります。
「自己責任で始めた事業である以上、来店されたお客様からいただくお金で経営を成り立たせるのは当たり前であり、それができないために支援金を募るというやり方には抵抗があったのは事実です。」
また、アキバフクロウの作り上げてきた店舗のブランドがお客様との距離をつくっていたかもしれないとも矢部氏は述懐します。
「アキバフクロウは非現実的で「魔法のような」時間と空間の提供を心がけている店です。そのため、これまでお客様に対しては運営側の私的な部分、経営的な事情は一切話したことはありませんでした。メディアの取材に関しても、フクロウの健康のためにならないような演出を要求するところは断ってきた経緯があります。」
しかし、その間にも来店者数はほぼゼロという非常に苦しい状態は続きました。こうした状況の中で、ある熱心なファンのお客様に初めて本音を吐露したところ、クラウドファンディングの提案を受けたということです。
「お客様から「アキバフクロウはなくなってはいけない!」と力強いメッセージをいただいたのを覚えています。クラウドファンディングという方法に頼ることについて初めは抵抗がありましたが、経営的に極めて厳しい状況であること、そしてここまでアキバフクロウを愛してくれているファンがいてくれたことで、前向きになることができました。」
![▲[アキバフクロウには国籍問わず多くのリピーターが訪れている]:アキバフクロウ提供 ▲[アキバフクロウには国籍問わず多くのリピーターが訪れている]:アキバフクロウ提供](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7464/main_20200305-OWL02661.png?auto=format)
クラウドファンディング開始初日に300万円を超す支援金が
多くの葛藤の末に開始したクラウドファンディングは、蓋を開けてみれば開始初日で目標金額である300万円を突破し、現在でも多くの支援者が集まっています。
ここまでの支援額が集まったことについては全くの予想外であったと矢部氏は語っています。
「クラウドファンディングを開始する前は、支援者様が集まったとしても10名くらいだと思っていました。というのも、昨年はお客様のおおよそ95%が外国人であり、日本人のお客様は割合的にはわずかだったからです。
クラウドファンディングを募っているCAMPFIRE(キャンプファイヤー)はそのシステム上、日本人を主な呼び掛けの対象としていますので、ここまで多くの支援者様が集まったことには正直驚いているとともに、非常にありがたいと思っています。」
熱心なファンを育んだ「アキバフクロウ」のこだわり
店主の矢部氏も予想外だったというほど、国内外問わず多くのファンを持つアキバフクロウ。
Twitter上でも今回のクラウドファンディングに対する多くの反響があり、その内容からいかにアキバフクロウが愛されていたかが伝わってきます。
また、一般的にリピーター化が難しいといわれる訪日外国人のファンの中にも日本に来るたびに必ずアキバフクロウに寄るという人や、限られた日本滞在期間の間で二日連続で来店するという方もいるとのことです。
一方で、秋葉原の小さなフクロウカフェが、なぜここまで多くのファンを惹きつけるのでしょうか?
その理由には、アキバフクロウの提供する体験への強いこだわりがありました。
![▲[店内はクラシック音楽が優しく流れ、静謐な空間が整えられている]:アキバフクロウ提供 ▲[店内はクラシック音楽が優しく流れ、静謐な空間が整えられている]:アキバフクロウ提供](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7465/main_20200705-OWL03628.png?auto=format)
「映画を一本観終わったような満足感」を目指して
アキバフクロウが多くのファンを獲得した理由について尋ねると、矢部氏は以下のようにサービスへの想いを語りました。
「私が個人的に映画が好きなこともあるのですが、「アキバフクロウ」という体験を一つの映画のようにしたいと思っています。
つまり「来て終わり」ではなく、来ていただいたお客様の心に刻み込まれるような物語にしたいということです。お客様に心に残る映画を一本観たあとのような満足感を抱いていただくためには、ストーリーづくりが大切だと考えています。
具体的には、まずお客様が自分の国からWEBサイトで来店予約した時には予約した人にしか観ることの出来ない、映画の予告編のような動画をご覧いただけるようにしています。
その動画ではちょっとしたTipsも織り交ぜながら、来店までの期待感を煽るようなつくりにしています。
そして、実際に来店してお帰りいただいた後にも、一般には非公開の動画をお送りしています。その動画では来ていただいた感謝の気持ちや、映画のスタッフロールのような演出で全員のお名前を流しています。
そのほかにも、お客様が来店されたその時間でフクロウと触れ合っている時の写真を即座にデコレーションし、ポストカードという形で最後にお渡ししています。
この取り組みは特に好評で、お客様から「Amazing!」と大変喜んでいただけています。」
矢部氏の語る「ストーリーづくり」とは、まさにインバウンド向けプロモーションにおける「旅マエ、旅ナカ、旅アト」のタイムラインに沿った施策というべきものです。
丁寧につくり込まれた映像や、愛らしいフクロウの写真やポストカードは、訪日外国人観光客に大きな感動をもたらし、その感動の記憶が持続することによって「また行きたい!」という気持ちを喚起し、リピーターが生まれるのでしょう。
![▲[予約をしたその瞬間から旅行が終わったあとまで、アキバフクロウの体験が長く記憶に残ってほしいという思いがサービスの随所に息づいている]:アキバフクロウ提供 ▲[予約をしたその瞬間から旅行が終わったあとまで、アキバフクロウの体験が長く記憶に残ってほしいという思いがサービスの随所に息づいている]:アキバフクロウ提供](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7466/main_20140813-2014-08-13_17-55-50-3.png?auto=format)
コロナ収束まで、安心はできない状況
クラウドファンディングではすでに目標金額に達してはいるものの、コロナ禍の収束の目処が経っていない以上、予断を許さない状況には違いありません。
矢部氏は、多くの支援に対する感謝の気持ちを表す一方で、次のようにも語っています。
「まだまだ安心できない状況です。CAMPFIREでは実質海外のお客様から支援いただくのが難しいので、海外用のクラウドファンディングも準備中です。
また、フクロウと映像を組み合わせた新しいサービスや、アキバフクロウのオンライン化、生態販売など、徐々に入場料以外の収益体制も整え、なんとかしてコロナに負けず存続していきたいと思います。
クラウドファンディングで皆様からご支援いただいたアキフクの存続期間を、絶対に無駄にしてはならないと肝に銘じております。
また、新しい事にチャレンジしながらも、いつでもアキフクはお客様を迎え入れられる状態でい続けたいと思っております。」
![▲[「アキバフクロウを愛してくれているファンの皆様のためにも、存続の為全力を尽くしたい」と矢部氏]:アキバフクロウ提供 ▲[「アキバフクロウを愛してくれているファンの皆様のためにも、存続の為全力を尽くしたい」と矢部氏]:アキバフクロウ提供](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7467/main_akibafukurou.png?auto=format)
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
【7/16開催】【Next Food Vision 2025】食の最新トレンドを発信〜大型オンラインイベント〜※好評につき再放送※
外食店舗、支援サービス、業界のトップ企業が集結!
さらに、有名飲食店や外食産業を牽引する企業による特別基調講演も開催。
成功企業のリアルな戦略や、これからの外食業界を生き抜くヒントがここに詰まっています!
最新のトレンドを知り、トップ企業の成功ノウハウを学びたい方、
業界の最前線で活躍する企業とつながり、新たなビジネスチャンスを掴みたい方にぴったりのイベントです。
今こそ、業界の未来を共に創る一歩を踏み出しませんか?
皆さまのご参加をお待ちしております!
<応募者特典>
-
イベント登壇企業の各種お役立ち資料
※口コミアカデミー内でのアーカイブ配信は予定しておりません -
本イベントのアーカイブ動画(1週間)
<本セミナーのポイント>
- 有名飲食店&業界をけん引する企業の基調講演 - 成功企業の戦略や実例を直接学べる貴重な機会!
- 外食業界の最新トレンド&成功ノウハウが手に入る - 変化の激しい市場で勝ち残るための最前線情報をキャッチ!
- 外食業界を支える最新サービス&ソリューションの紹介 - 飲食業界の課題解決につながるアイデアが満載!
- トップ経営者や専門家が語る「成長の秘訣」と「業界の未来」
- 業界をリードする企業が実践するプロモーション戦略やDX事例を公開!
- 効率化や売上向上につながる最新ツール・サービスを知るチャンス
詳しくはこちらをご覧ください。
→【Next Food Vision 2025】食の最新トレンドを発信〜大型オンラインイベント〜※好評につき再放送※【7/16開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!