中国8連休の旅行者は予想上回る6.37億人:「家族旅行」「95後」がトレンドに

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中国では、2020年10月1日から8日の間、国慶節から始まる大型連休を迎えていました。

新型コロナウイルスの感染拡大により、中国の旅行産業は大きな打撃を受けましたが、8連休となった国慶節連休中は、多くの人が旅行に出かけました。

中国国内における新型コロナウイルスの沈静化や旅行に対する「リベンジ消費」の影響もあり、旅行者数と観光収入が今年度最高を記録し、当局の予想を上回った結果となっています。

今回は、国慶節8連休における中国の観光地の様子とアフターコロナで生まれた新たな旅行トレンドについて解説します。

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8日間で旅行者数は6.37億と予想を上回る、観光収入は7兆超え

中華人民共和国文化・旅游部(日本の観光庁にあたる)の統計によると、10月1日から8日までの8日間に、国内旅行者数は累計6億3,700万人に達しており、前年同期比79.0%まで回復したことがわかりました。

8日間でもたらした観光収入は4,665億6,000万元(約7兆3,261億円)であり、前年同期比69.9%まで回復しました。

連休が始まる前に、中華人民共和国文化・旅游部は延べ5億5,000人が国内旅行をすると予想していましたが、予想より15%増加の結果となりました。

そして、この国慶節連休は今年の数々の連休において最大の市場規模を記録しており、旅行者数も観光収入も今年度最高を更新しました。

祝日名 休暇日程 旅行者数 観光収入
清明節 4月4日~6日、3連休 4,300万人 82億6,000万元(約1,297億円)
五一労働節 5月1日〜5日、5連休 1億1,500万人 475億6,000万元(約7,468億円)
端午節 6月25日~27日、3連休 4,900万人 122億8,000万元(約1,928億円)
国慶節・中秋節 10月1日~8日、8連休 6億3,700万人 4,665億6,000万元(約7兆3,261億円)
中華人民共和国文化・旅游部より、訪日ラボ編集部作成

8連休に人気な観光地はどこ?

今年は8連休となった中国の国慶節連休期間中は、全国の観光地で人出が大幅に回復し、多くの観光客で賑わいました。

各省の旅行者数と観光収入ランキング

ここからは中国各省の旅行者数と観光収入について紹介します。

旅行者数ランキングにおいては、新型コロナウイルスの影響もあり、去年の国慶節連休と比べると人出が減少した地域が多いものの、8割前後まで回復できた地域が多く見られました。

順位 省名 旅行者数 前年同期比
1 河南省 7,235万人 109%
2 江西省 6,810万人 109%
3 山西省 5,247万人 -
4 湖北省 5,229万人 83%
5 貴州省 5,191万人 84%
6 安徽省 5,004万人 78%
7 廣東省 4,998万人 81%
8 江蘇省 4,663万人 82%
9 陝西省 4,224万人 59%
10 福建省 3,928万人 106%
各省統計より、訪日ラボ編集部作成(10月15日作成時、一部の省はまだデータを公表していません)

観光収入においては、300億元(約4,691億円)を超えた省は9個であり、500億元(約7,818億円)に達成したのは江蘇省の1個でした。

新型コロナウイルスが原因で観光収入は前年度と比較すると下がった地域が多かったものの、概ね7割前後まで回復しています。

順位 省名 観光収入 前年同期比
1 江蘇省 512億5,500万元(約8,017億日本円) 71%
2 江西省 398億8,100万元(約6,238億日本円) 103%
3 貴州省 367億2,1000万元(約5,743億日本円) 77%
4 河南省 360億7,100万元(約5,642億日本円) 72%
5 広東省 356億7,000万元(約5,579億日本円) 69%
6 湖北省 348億2,900万元(約5,448億日本円) 72%
7 福建省 340億8,800万元(約5,332億日本円) 110%
8 山西省 316億3,800万元(約4,948億日本円) -
9 安徽省 313億4,000万元(約4,902億日本円) 72%
10 陝西省 254億600万元(約3,974億日本円) 56%
各省統計より、訪日ラボ編集部作成(作成時に一部の省はまだデータを公表していません)

特筆すべきな点は、「コロナの震源地」と呼ばれている武漢が所在する湖北省が旅行者数においては全国4位となり、観光収入では全国6位にランクインしています。

感染封じ込めに成功したことや、当局による一部観光地の入場料を無料化させる「惠游湖北」観光促進キャンペーンがなされたことにより、多くの人が湖北省に訪れることになりました。

人気観光地:自然風景と文化史跡が二強

では、この国慶節連休中、どのような観光地が人気だったのでしょうか。以下、中国の大手オンライン旅行会社「携程」(Trip.comグループ:2019年10月まで、中国国内では「Ctrip」の名称で展開)と中国最大の検索エンジン「百度」が公開した全国の人気観光地ランキングデータを見てみましょう。

なお、携程のランキングは同サイト経由でのチケット購入数、百度のランキングは百度上で検索されたボリュームの順位を示しています。

順位 観光地名
1 上海ディズニー
2 黄鶴楼
3 成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地
4 上海野生動物園
5 天門山国家森林公園
6 上海海昌海洋公園
7 武漢海昌極地海洋公園
8 北京野生動物園
9 長隆野生動物世界
10 円明園
携程統計より、訪日ラボ編集部作成


順位 観光地名
1 黄鶴楼
2 故宮(紫禁城)
3 華山
4 泰山
5 黄山
6 九寨溝
7 張家界
8 稲城亜丁
9 烏鎮
10 長白山
百度統計より、訪日ラボ編集部作成


この二つのランキングから、「自然風景」と「文化史跡」の2種類が特に人気を集めたことがわかります。

自然風景においては、壮大な山脈を眺める天門山や華山、原始林に覆われる九寨溝、チベット高山自然生態系が残る稲城亜丁などがランクインされました。

文化史跡においては、黄鶴楼をはじめ、円明園、故宮(紫禁城)、張家界など中国の歴史を感じられる観光地も支持をえています。

なお、武漢の重要なランドマークである黄鶴楼が携程のランキングで2位、百度のランキングで1位を獲得したことからも、観光地としての武漢の人気の高さがわかります。

中国、人気観光地1位がなんと「武漢」に:上海ディズニー抑え...なぜ?

来週10月1日より、中国では国慶節という大型連休を迎えます。国慶節は、例年国内外を旅行する人が多いシーズンでした。今年は新型コロナウイルスの世界的流行によって海外旅行にいけないかわりに、延べ6億人の中国人が国内旅行に出かけると推計されています。そうした中、Trip.comの調査によると、人気の観光地1位は新型コロナウイルスの"震源地"である「武漢」が選ばれました。日本人からするとぎょっとするような現象が、現在の中国の旅行シーンで起きています。なぜ、新型コロナウイルスの発生地である武漢が一躍...


今年の国慶節連休の4つのトレンド

1. 短距離旅行から長距離旅行まで、全面回復傾向へ

中国国内では新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いているものの、長距離移動を伴う旅行は敬遠される傾向にあり、「本地遊」(地元民が地元を遊覧するという意味)と3泊4日以内の「周辺遊」(住む場所の周辺を遊覧するという意味)が依然として主流となっています。

中国のアリババの傘下にあるオンライン旅行サービスプラットフォームFliggy(飛豬)」によると、「本地遊」と「周辺遊」のホテル予約数が前年同期比に比べて80%の大幅増を記録しました。

一方、海南省の最南端にある「三亜」や中国の北西に位置する甘粛、寧夏などで構成される「大西北」といった遠方の観光地が、今年の国慶節連休中にホットなスポットになりました。

コロナ禍で自由に海外に行けない現在では、非日常感を醸し出す長距離旅行は海外旅行の代用とされています。

そして、遠方の観光地は人が密集しにくいので、ソーシャルディスタンスを保ちながら安心に旅行できるのも理由の一つとして考えられています。

2. 家庭が単位の「私家団」が人気

コロナ禍でクラスターなどの感染リスクを回避するために、親族や友人との少人数のプライベートツアー「私家団」が主流になりつつあり、特に「家族旅行」が人気です。

携程によれば、携程のツアーを予約した人のうちに20%が「私家団」を選び、前年同期比に比べて100%増加に達しました。

フリギーによると、家族で旅行に出かけた人が多くおり、3人以上の飛行機チケットを購買した数が6月の端午節連休より160%増えました。ファミリー向けのレンタカーの予約数が前年同期比で77%増加し、親子の遊園地などの入場券の予約数も前年同期比で30%増加しました。

家族旅行の急激な増加を受け、中国現地のメディアは「今年の国慶節はまるでお正月のようだ!」で形容しました。

3. コロナで需要が高まる「レンタカー」

また今年の国慶節連休では、レンタカーの予約数も大幅に増加しました。

フリギーの調査によれば、レンタカーの予約数は前年同期比で160%増加したことがわかりました。

携程のデータからも、連休中1日あたり利用されたレンタカーが7万台を突破しており、過去最高を記録しました。

平均利用日数も増加し4.5日間となり、前述した「大西北」といった遠方の観光地では利用日数が6日以上に上りました。

利用日数の増加に伴い、レンタカーに費やした金額も上がり、1予約数の平均消費額は2,000元(約3万1,316日本円)を突破しました。

車種でみると、エコノミークラスがもっとも選択されましたが、一部の地域では高級車やスポーツカーに対する需要が急増しました。

携程によれば、海南省の三亜では、高級車やスポーツカーの予約数が全体の25%を占めました。

4. 「95後」の若者が旅行者の中心に

さらに今年の国慶節連休では、「95後」(1995年〜1999年生まれ)と呼ばれる若者が初めて中国において旅行者の主力となった現象も観察されました。

フリギーのデータによれば、今年の国慶節では若者による旅行がもっとも活発であり、中でも95後が全体の30%を占めており、他年代を引き離してトップとなりました。

▲[2020年国慶節連休の旅行者の年齢別構成]:フリギーより、訪日ラボ編集部作成
▲[2020年国慶節連休の旅行者の年齢別構成]:フリギーより、訪日ラボ編集部作成

また家庭のレジャー消費の方針決定においても、95後が重要な役割を果たしています。

データ分析会社Fastdataが発表した「2020年中国在线旅游行业95后用户数据报告(2020年中国OTAにおける95後ユーザー分析報告)」によれば、85後(1985年〜1989年生まれ)と比べ、95後は旅行、娯楽、電子商品購買などにおける影響力が強いことがわかります。

特に旅行消費に対する影響力においては、85後の39.4%に対し、95後は63.5%と大きく引き離れました。

▲[家庭のレジャー消費の方針における影響力の比較:85後と95後]:Fastdataより
▲[家庭のレジャー消費の方針における影響力の比較:85後と95後]:Fastdataより


※「80前」:1980年以前生まれの人。「80後」:1980年〜1989年生まれの人。「90後」:1990年〜1994年生まれの人。「00後」:2000年〜2009年生まれの人。

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春節旅行に備え始めた中国人

8連休となった国慶節連休では、中国国内旅行市場が急速な回復を見せており、旅行者数においては8割近く、観光収入においては7割近くまで回復しました。

また、新型コロナウイルスがもたらした消費者心理変化もあり、短距離旅行と長距離旅行の両極化や「家族旅行」の流行、レンタカー利用数の急増などの現象が観察されました。

それから「95後」も重要なターゲット層となり、彼らの嗜好や動向に合わせた旅行商品の開発やプロモーション戦略が必要になるでしょう。

コロナ禍で移動が制限されている現在、今年中中国人観光客の客足の戻りはあまり期待できない見通しです。

しかし、中国人の旅行に対する意欲は依然として高まっており、百度のデータによれば、国慶節連休期間中、元旦と春節の旅行計画に関する検索ボリュームがそれぞれ58%と88%増加し、次の連休に目を向け始めた人が増えてきたことことがわかりました。

▲[国慶節連休中、元旦旅行計画と春節旅行計画に関する検索量の変化]:百度より
▲[国慶節連休中、元旦旅行計画と春節旅行計画に関する検索量の変化]:百度より

本記事で取り上げた国慶節の動向を踏まえて、旅行に対して高い意欲を持つ中国人に認知してもらう情報発信や「家庭旅行」「95後」をはじめとするターゲット別の観光資源の開発が重要になるでしょう。

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<参考>

新京报:滴~国庆6.38亿人出游超预期,95后首次成为出游主力

中新经纬:25省份发布国庆假期旅游收入:15省份超百亿

携程旅行网:一起走遍祖国大好河山,携程发布《中秋国庆假期旅游大数据报告》

快科技:百度国庆搜索大数据:国民经济生活全面复苏 旅游、娱乐等消费需求远超去年

腾讯网:阿里巴巴发布十一消费趋势报告:这个国庆像过年!

华声在线:2020国庆新跟团复兴报告:“私家团”成跟团游“新常态”

民航资源网 :国庆旅游人次破6亿 租车自驾游增长50%创纪录

旅游消费圈:Fastdata极数|2020年中国在线旅游行业95后用户数据报告

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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