「鬼滅の刃」の聖地は日本に点在する?中国人が注目する「藤の木」ブーム:気運高まる聖地巡礼旅

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『週間少年ジャンプ』の漫画、「鬼滅の刃」の人気は国内に留まらず、中国でも人気を博しています。同じく人気漫画であるワンピースやNARUTOに続き、中国で定番の日本アニメとなり、現地のメディアでも日本国内の人気の様子が報じられ、グッズも多数売られるようになりました。

アニメの舞台を実際に訪問する「聖地巡礼」は、中国でも人気の旅行スタイルのひとつです。特定のスポットをモデルにはしていない鬼滅の刃においても、聖地巡礼ニーズがあることが見えてきました。 

この記事では、鬼滅の刃や聖地巡礼が人気である理由と、鬼滅の刃の舞台になった聖地巡礼で期待できる地域とその対策について解説します。

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鬼滅の刃は中国でも人気

鬼滅の刃が漫画やアニメを超えて、映画やコラボ製品でも大ヒットを記録しているのは記憶に新しい所です。

海を越えた中国でも鬼滅の刃はヒットしています。鬼滅の刃の配信権を持つ中国の動画サイト「ビリビリ」では5億4,000万再生を記録しました。

ワンピースやNARUTO並の再生数を記録した鬼滅の刃は、アニメマニアでなくとも幅広い世代が見る大衆的なアニメになったと言えます。

また日本国内では公開開始から10日間で興行収入100億円突破となった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』も、その人気が中国で報じられています。

中国国内での検索傾向がわかる百度指数」で鬼滅の刃の人気の盛り上がりを調べてみましょう。すると、10月後半から鬼滅の刃がナルトの検索ボリュームを追い抜きはじめ、ワンピースも抜かさんばかりの勢いであることがわかります。(それと同時に、中国国内においてワンピースがいかに人気であるかということもわかります。)

また、ワンピースやナルトといった他の日本の人気アニメと比較した時、男性では鬼滅の刃は他のアニメに遅れを取っているのに対して、女性ではワンピース、ナルトに勝る検索ボリュームがあるという傾向が見えてきました。鬼滅の刃は女性人気を獲得したコンテンツだといえます。

また、鬼滅の刃グッズは中国でも売られています。フィギュアなどがおもちゃ屋や文具店やECサイトの淘宝天猫などで売られ、中国メディアで鬼滅の刃が日本で大きな人気になっていることが報じられています。

ここまで中国でも鬼滅の刃が人気であることがわかると、インバウンドへの影響も気になるところでしょう。

百度での検索ボリュームの比較 青:鬼滅の刃、緑:ワンピース、オレンジ:NARUTO 百度指数
▲[百度での検索ボリュームの比較 青:鬼滅の刃、緑:ワンピース、オレンジ:NARUTO]:百度指数
青:鬼滅の刃の検索ボリュームは男性ではワンピース、ナルトに劣るのに対して、女性で見た場合は鬼滅の刃が最も検索されている 百度指数
▲[青:鬼滅の刃の検索ボリュームは男性ではワンピース、ナルトに劣るのに対して、女性で見た場合は鬼滅の刃が最も検索されている]:百度指数

中国でもここまで鬼滅の刃が人気であれば、渡航制限の解除後、グッズを求めて秋葉原に訪れる中国人が多く現れることは想像に難くありません。

秋葉原はオタクカルチャーの中心地として中国でも有名ですが、その他にもアニメグッズの取り揃えが良いエリアとして、東京の中野や大阪の日本橋も知られており、日本旅行好きの中国人を中心に2019年までは徐々に訪れる人が増加していました。


中国で多数の鬼滅の刃グッズが売られているのは人気の証
▲[淘宝で売られる鬼滅の刃グッズあれこれ]:淘宝 

アニメは知らない地域を気づかせてくれる

聖地巡礼も重要な要素です。有名なところでは、スラムダンクの舞台である鎌倉高校前の踏切見たさに、多くの中国人観光客が鎌倉に足を運びました。

中国人の旅行ブログを見ると、沼津にあるラブライブ関連のスポットを紹介する写真だけでなく、移動や食事を写真や動画で撮って公開する人も見つかります。

また、新宿は交通のハブとショッピングと夜の街として有名でしたが、「君の名は」の聖地巡礼スポットとして新宿とその周辺の地域が注目され、散歩をする中国人も見るようになりました。

その他、鬼滅の刃やラブライブよりはマイナーではありますが、福岡が舞台の「博多豚骨ラーメンズ」や、名古屋が舞台の「八十亀ちゃんかんさつにっき」というアニメがありますが、これもまたビリビリで配信され、タオバオでグッズが販売されています。

ファンの中には聖地巡礼報告をする人もおり、アニメが地方の認知に一役買っているといえます。 


鬼滅の刃の動画再生数はかなり多い部類だ
▲[鬼滅の刃は記録的な動画再生数に]:bilibili

中国人に人気『ラブライブ!』沼津が聖地になれる理由:中国の検索数・旅行口コミサイトで検証するオタクコンテンツへの期待と課題

インバウンド市場への世間の認識が高まるにつれ、中国人をはじめとする訪日外国人にも「聖地巡礼」と呼ばれる旅行スタイルが広く知られるところとなってきました。映画やアニメ作品への情熱を、旅行や購買といった行動に結びつけるファンの熱心さは目を見張るものがあります。静岡県沼津市は、人気アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台となっています。5月7日、同市役所は、上海在住の同アニメのファンを名乗る人物から、段ボール3箱分のマスク1万枚が届けられたことを発表しています。沼津といえば、東京から気軽に行...


鬼滅の刃の聖地は日本全土に点在

それでは、鬼滅の刃の聖地巡礼スポットとしては日本のどの地方が盛り上がりそうなのでしょうか?

検索サイト「バイドゥ(百度)」で「鬼滅の刃 聖地(巡礼)」を簡体字で検索してみると、東京の浅草の「仲見世」、東京都の西端にある「雲取山」、福島県会津若松市の旅館「大川荘」、栃木県足利市の「あしかがフラワーパーク」、京都の「京都鉄道博物館」、奈良県葛城市の「葛木坐火雷神社」、福岡県太宰府市の「宝満宮竈門神社」、福岡県八女市の「黒木の大藤」と日本各地の地名があがります。

あしかがフラワーパークや黒木の大藤が聖地巡礼候補として上がるのは、鬼滅の刃のアニメにも登場した藤の木見たさでしょう。桜需要や紅葉需要に加え、新たに藤需要も生まれそうです。

また、新型コロナウイルス感染拡大の影響があるからなのでしょうか、検索して見つかる画像は中国人が実際に聖地巡礼して撮影したものではなく、日本の聖地巡礼ブログ記事から画像を拝借したり、テレビ番組から動画を拝借して紹介しているものばかりです。

つまり、今は鬼滅の刃の聖地情報を得たいと思って多くの人が検索している状況でしょう。鬼滅の刃ファンが「これは聖地だ」と思うようなところを見つければ、そこが中国で紹介され、やがて日中の往来が可能になったときに多くの中国人観光客が訪れる可能性があるでしょう。

鬼滅の刃の聖地巡礼紹介記事は日本を追ったものになっている。
▲[鬼滅の刃の聖地巡礼紹介記事]:捜狐

観光地は聖地巡礼の外国人を迎え入れる準備を

上記の状況をまとめると、日本への渡航制限が解除された際に、鬼滅の刃の聖地と呼ばれる場所への中国人ファンのインバウンドはかなり期待できそうです。

鬼滅の刃のために訪れた人々が行ってよかったと思える仕掛けがあると、さらに旅行者のブログや動画で紹介され、それを見た人々が行きたくなると思う観光地となるでしょう。

例えばコラボした限定商品を販売したり、主人公の竈門炭治郎やその妹の竈門禰豆子のようになりきれる衣装が用意されると中国のブログや動画で映えるコンテンツが出て、より多くの人を呼び込めると思われます。

自治体の観光案内でも中国語対応できるスタッフや中国語のパンフレットやWEBサイトなどの中国語対応が望まれます。

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この記事の筆者

山谷剛史

山谷剛史

76年東京生まれ。東京池袋近辺、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。36kr日本語版のお手伝い。前職NNA。2002年より中国やアジアのITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に連載。著書に「中国S級B級論(共著)」「中国のインターネット史」など。

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