アンダーツーリズムとは?オーバーツーリズム問題で生まれた新しい旅行形態・地域へのメリットや推進事例を紹介

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アンダーツーリズムとは、これまで有名な観光地として注目されていないローカルな場所を旅行することを指しています。

有名LCC民泊など低価格で旅行ができるサービスが続々と提供され始めたことにより、観光地に多くの観光客が集まる「オーバーツーリズム」が問題視されていた昨今、それを解決し、持続可能な観光開発につながるとされる「アンダーツーリズム」という考え方が注目を集めています。

この記事では、アンダーツーリズムの定義や、そのメリット、アンダーツーリズムを推進している観光地の取り組みについて紹介します。

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アンダーツーリズムとは?

アンダーツーリズムとは、大都市や混雑する観光名所ではなく、あまり名の知られていない観光スポットや穴場スポットといったローカルな場所を旅行することを指します。

アンダーツーリズムとして注目されている場所は、有名な観光地と比較して観光客が少ないことから、落ち着いてゆっくりと滞在を楽しめるという魅力があります。

また、ローカルな場所に訪れる旅行スタイルであるため、アンダーツーリズムでは地域ならではの体験できない自然や、歴史、文化に重点を置く傾向があります。

なぜアンダーツーリズムが生まれたのか?

アンダーツーリズムは、近年観光において問題となっていた「オーバーツーリズム」の対義語です。

オーバーツーリズムとは、観光地のキャパシティを超えて観光客が訪れることによって発生する、観光地周辺の混雑や渋滞、ごみのポイ捨て、地域住民への騒音、宿泊施設不足などの問題を指しており、観光公害とも呼ばれています。

日本では近年インバウンド客の増加によって、京都をはじめとする有名な観光地における「オーバーツーリズム状態」が問題視されており、世界的にも、パリやバルセロナ、ベネチアなどの観光名所を中心にオーバーツーリズムの問題が発生しています。

そして、オーバーツーリズムは地域住民だけではなく、旅の質が下がることで観光客自身にも大きなストレスを与えており、その結果満足度と再訪意欲の低下につながります。

そのため、観光客が多くないローカルな地域に足を運び、のんびりと旅行を楽しむアンダーツーリズムが注目されるようになりました。

オーバーツーリズムとは?|問題点・対策・取り組み事例を紹介

昨年まで日本の観光業界では

コロナ禍で注目されるアンダーツーリズム

ここ数年、観光公害の解決策として注目されてきたアンダーツーリズムですが、最近では、新しい生活様式に合致した旅行スタイルとしても注目を集めています。

新型コロナウイルスの流行以降、三密」を避けられるかどうかは消費者が旅行先を選ぶ際に重要な判断ポイントとなっています。

その際に、誰も知る有名な観光スポットより、まだあまり知られていない穴場のスポットを選ぶ傾向が強まっています。

こうした消費者の旅行に対する考え方の変化に伴い、混雑を避け観光地の「穴場」を訪れるアンダーツーリズムは、今後さらに浸透されていくと考えられます。

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アンダーツーリズムのメリット

アンダーツーリズムには、上記述べた観光客や地域住民のストレスが軽減される以外にも多くのメリットがあります。

ここでは、アンダーツーリズムによって、地域が得られるメリットについて解説します。

持続可能な観光につながる

オーバーツーリズムでは、観光地に人が溢れることで発生するゴミ問題や環境汚染が問題となっていた一方で、少人数でゆっくりと過ごすアンダーツーリズムは、サスティナブルツーリズム(持続可能な観光)にもつながります。サスティナブルツーリズムとは、観光地開発の際に、観光地本来の姿を持続できるよう設計することを指します。

またアンダーツーリズムでは、観光地の混雑を避けたいと思っている人や、地域でしか体験できない観光資源を求める人がターゲットです。

このようなターゲットに合わせた観光対策では、地域の文化や自然環境への配慮と、質の高いコンテンツ造成を両立させやすく、持続可能な観光開発につなげられます。

サスティナブルツーリズムの意味・定義

サスティナブルという言葉は「持続可能な」という意味です。多くは地球環境の持続可能性を指し、環境問題を論じる際に用いられてきました。 最近では観光の分野でもこの「サスティナブル」という言葉が見られるようになってきました。 本編ではインバウンド市場における「サスティナブル」について解説します。 [com_category_dl_btn name="ツアー企画・ランドオペレーター" slug="tour-planning"] [cta_toc_upper_banner] 目次 サスティナブルとは...

富裕層・リピーターの獲得につながる

アンダーツーリズムでは、その土地の文化を体験することで、地域の人や文化、コミュニティとのかかわりが生まれるのが特徴です。

こういった旅のスタイルは、訪日外国人観光客の中でも、その場所のみ「食べられる」「見られる」「体験できる」など地域独自の魅力的なコンテンツを求める富裕層旅行者の志向と一致しています。

こうした限られた人数の富裕層旅行者を誘致することで、オーバーツーリズムを避けながら、地域住民の生活とのバランスを取った良質な観光資源の開発が可能になります。

質の高い観光コンテンツを提供することによって、彼らの旅行満足度を向上させ、リピーターの獲得にもつながると考えられます。

一般旅行者の9倍消費する「富裕層旅行者」の実態:観光コンテンツ作りのポイントや事例も紹介

JNTOの調査によれば、富裕層旅行者は340万人しかないものの、高い消費力を持つため、もたらした市場規模は4.7兆円にものぼり、近年


アンダーツーリズムの推進事例

近年注目が集まっているアンダーツーリズムは、世界ではすでに推進し始めている地域も多いです。

実際にオーバーツーリズムが問題となっていた京都では、数年前からアンダーツーリズムを推進しています。

以下では、京都の他に、ノルウェーで実施されている推進事例について解説します。

京都:「とっておきの京都~定番のその先へ~」プロジェクト

特にオーバーツーリズムの問題が深刻な地域のひとつである京都では、観光客の訪問地を分散化させるため、「とっておきの京都~定番のその先へ~」というプロジェクトに取り組んでいます。

「とっておきの京都~定番のその先へ~」では、伏見、大原、高雄、山科、西京、京北の京都市周辺の6エリアに焦点をあて、周辺エリアにおける体験型観光コンテンツを造成し、「隠れた名所」として観光客に発信しています。

このような「場所の分散化」の取り組みによって、市内観光地の混雑緩和を図るとともに、観光客の満足度を向上させます。さらに、観光客を地域への誘客を促進させ、地域の活性化・文化の継承・継続的な発展にも寄与します。

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ノルウェー・オスロ:人気都市旅行者の「避難先」キャンペーン

ノルウェーの首都であるオスロでは、「The Great Escape to Oslo」と題した観光PR動画を作成し、フランスの首都パリから観光客を取り込むアンダーツーリズム推進キャンペーンを2017年に実施しました。

パリは、世界的な観光都市として知られており、2017年には3,380万人の観光客が訪れています。一方で、増えすぎた観光客による地域住民への影響も大きなものとなっていました。

そこで、パリから直行便で2時間ほどの場所に位置するノルウェーのオスロでは、オスロの自然を体験できるアクティビティや、オスロのアートや食文化を楽しむ様子がよくわかる映像をYouTubeに公開しました。

動画は約65万回再生され、混雑を避けのんびり過ごせる「アンダーツーリズム」としてのオスロの魅力をアピールしています。


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オーバーツーリズムの解決策となるアンダーツーリズム

観光客であふれかえる観光地を避け、ローカルな場所を旅先として選ぶアンダーツーリズムは、近年問題になっているオーバーツーリズムの解決策として注目されています。

アンダーツーリズムを推進し、オーバーツーリズムとなっている観光地から観光客を地域に呼び込むことで、観光地の混雑緩和と地域の活性化につながります。

特に新型コロナウイルスの感染拡大により新しい生活様式が取り入れられている中、その土地に住む人や環境とのバランスを取りながら、観光地開発を進めることがさらに求められていくでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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