2020年度第3次補正予算案、東京オリンピックコロナ対策に850億円計上:開催はどうなる?ホストタウンの今・IOCの動き

政府は12月15日、2020年度第3次補正予算案を決定し、スポーツ庁は東京オリンピック・パラリンピックの新型コロナウイルス対策費用として850億円を計上しました。

日本国内をはじめ欧米諸国などでは、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大が顕著となっており、今後の開催可否の判断に注目が集まっています。

本記事では、東京オリンピックのホストタウンの現在の取り組みをふまえ、大会開催をめぐるIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長と東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言を振り返り、改めてインバウンドにおける開催の意義について解説します。

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スポーツ庁、補正予算案に東京オリンピックコロナ対策費850億円を計上

スポーツ庁は2020年度の第3次補正予算案に対し、東京オリンピック・パラリンピックへの新型コロナウイルス対策などの経費として、850億円を計上しました。

内訳としては、710億円を大会延期に伴う追加経費の一部や選手の検査体制整備などの費用に、127億円を海外の選手団との交流事業に取り組む自治体「ホストタウン」の新型コロナウイルス対策費の支援に、20億円を国立競技場をはじめとする国が所有するスポーツ施設の新型コロナウイルス対策費に当てています。

ホストタウンは今何をしているのか:交流事業の断念も

東京オリンピックの開催に重要な役割を果たすホストタウンの概要をふまえ、現在の取り組みについて解説します。

東京オリンピックの「ホストタウン」の取り組み

ホストタウンとは、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催にあたり海外の選手団を受け入れるなど、さまざまな観点から住民と大会参加者などの交流を図る地方公共団体を指します。

具体的には、スポーツ立国とグローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等に向け、参加国と地域との間で人的、経済的、文化的な相互交流を促進します。

2020年12月2日現在で、ホストタウンに登録している自治体数は510となっており、受け入れる相手国・地域数も181に上っています。

ホストタウンの今

2021年に開催を予定している東京オリンピック・パラリンピックに向け、政府や東京都、大会組織委員会が参加する会議において、海外の選手団を受け入れる自治体「ホストタウン」に対し、選手との接触回避などを明記した新型コロナウイルス感染予防策をまとめました。

本来は地元住民と選手をはじめとする大会参加者との交流促進がホストタウンの重要な取り組みの1つとなりますが、新型コロナウイルスの感染対策として、選手との交流はオンラインを推奨するほか、練習会場は貸切とし地元住民との接触を避けるよう求めました。

そのためホストタウンのなかには、新型コロナウイルス対策の実施に伴う厳しい制約のもとでは本来のホストタウンとしての活動目的が果たせない上に、感染対策の費用が大幅に増加することなどもあり、交流事業の断念を検討する自治体も出てきています。

アフリカのブルンジ共和国のホストタウンに登録されている茨城県下妻市やドミニカ共和国の柔道と陸上の選手団を受け入れる予定の広島県北広島町などでは、交流事業の実施について協議を進めていきたいとしています。

【東京都のホストタウン】7区13市が登録:共生社会ホストタウン・国際交流事業やスポーツ体験・文京区ほか3つの事例・「東京2020参画プログラ

2020年に開催を予定されていた東京オリンピック・パラリンピックを前に、日本の各都道府県で「ホストタウン」登録が進められてきました。開催地である東京都の「ホストタウン」でも、大会を盛り上げるための取り組みが積極的に行われています。この記事では、東京都のホストタウンについて整理し、3つの区の取り組みについて具体的に紹介します。後半では、ホストタウンのように、東京オリンピック・パラリンピック大会の盛り上がりに貢献できる「東京2020参画プログラム」について解説します。※新型コロナウイルスの感染...


2021年の東京オリンピック開催をめぐるバッハ会長・森会長の発言を振り返り

2021年に延期を予定している東京オリンピックの開催について、IOCのバッハ会長と大会組織委員会の森会長の発言を振り返ります。

当初は2020年の開催を強調

世界的に新型コロナウイルスの感染流行が顕著となってきた2020年2月27日には、IOCのバッハ会長が緊急の電話会見を実施し、大会を2020年夏に予定どおり開催することを強調しました。

しかし、代表選考会や国際大会などが世界各地で延期や中止となったほか、選手が練習場所を確保できないといった問題も深刻化したことから、予定どおりの開催に対し各地から批判が相次ぎました。

3月24日には、当時の安倍首相とバッハ会長が電話会談を実施し、大会の開催時期を約1年延長し、遅くとも2021年夏までに開催することで合意しています。

延期の決定に対しバッハ会長は、世界中に感染が広がったため、開催国である日本の受け入れ体制だけでなく、世界中の国・地域の参加可否も加味しなければならないとしました。

2021年に延期とした東京オリンピックは、人類がいまだかつてない難局を乗り切ったお祝いの場となるとし、世界の団結の象徴にしようと述べています。

バッハ会長、11月11日に来日「大会を必ず実現する」ことを確認

IOCのバッハ会長は11月11日、東京オリンピック・パラリンピックを2021年に延期決定後初めて来日し、菅首相などと相次いで会談しました。会談では、2021年に延期した大会を必ず実現することを確認し菅首相と意思を共有しました。

今回の来日の狙いとして、日本の世論を感じることも目的の1つでしたが、警備や新型コロナウイルスの感染対策の問題により、開催反対を訴えるデモの参加者などから直接話を聞くことはできず、開催反対派の世論の意見を肌で感じることは難しかったものと考えられます。

また11月16日には、観客を入れての開催に「非常に自信をもっている」と述べました。IOCとして、世界中から訪れる観客が入国前にワクチン接種を済ませられるよう最大限努めるとしています。

ワクチン開発などを背景に「オリンピック成功に自信」

IOCのバッハ会長は日本経済新聞のオンラインインタビューにおいて、新型コロナウイルスの影響で2021年に延期となった東京オリンピック・パラリンピックの成功に自信を持っていると語りました。

新型コロナウイルスの感染動向の見通しが立ちづらいなかで、8か月後の大会開催をイメージしにくいことなど、開催を疑問視する声に対しては一定の理解を示しています。

しかし、ワクチン開発が進んでいることや、11月1日に日本で開催された体操の国際大会で大規模な感染がみられなかったことを受け、来年の開催に対し自信を持っていることを明らかにしました。

インバウンドにおける東京オリンピック開催の意義

2021年の開催に向けて、大会関係者や世論などからはさまざまな声が上がっています。ここでは、インバウンドの復興に向けた東京オリンピック・パラリンピックの開催意義について解説します。

オリンピック需要の影響は?4つの経済効果と2020東京五輪前後の不安

※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年延期され、開会式は2021年7月23日(金)、閉会式は2021年8月8日(日)となりました。オリンピック開催による日本への経済効果は、東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決定した2013年から2020年の開催、そして開催後10年間の2030年までの18年間で、30兆円規模にのぼることが予測されていました。その一方で新型コロナウイルスの拡大によるオリンピックの延期で6,400億円ほどの経済的な損失が出る...


中止による経済損失の防止

関西大学の宮本勝浩名誉教授による試算では、2020年に予定していた東京オリンピック・パラリンピックが1年延期され、さらに2021年には大会規模を縮小し開催された場合、経済損失の総額は約1兆3,898億円にのぼるとしています。

とはいえ、中止になった場合の多額の経済的損失になることと比較すると観戦者数の制約などがあったとしても、感染対策を十分に講じた上で大会が開催されれば、日本の経済的損失はある程度抑えられます。

大会を念頭に入れた外国人観光客受け入れの再開

政府は外国人の受け入れに関し、ビジネス目的の渡航や中長期の在留資格を持つ外国人に限定するなどして、入国制限の緩和を段階的に実施しており、訪日外国人観光客の受け入れは2021年春を目途に再開することを検討中です。

観光庁の蒲生篤実長官は11月20日の会見にて、訪日外国人観光客の将来的な受け入れ再開に対し、東京オリンピック・パラリンピックにおいて外国人の観戦客をどの程度受け入れるかが鍵になると述べました。

大会開催が、訪日外国人観光客の受け入れ再開の始点や受け入れ方法の基準の確立に繋がると考えられるでしょう。

五輪延期の「ピンチ」を「チャンス」にするには。今こそインバウンド戦略の練り直しを!

3月24日、オリンピックの延期が正式に決定されました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響は未だ終息の兆しは見えず、3月25日、小池知事から東京都内の「外出制限」の要望が伝えられただけではなく、同日には外務省から「全世界への外出禁止」が呼びかけられました。この記事を書いている間にも状況は刻一刻と変化し、全世界が緊迫した状況にあることが感じられます。インバウンド業界関係者にとって、これらのニュースは悪いものばかりに聞こえるかもしれません。あらゆる不確定要素に左右されるインバウンド業界において、...


東京五輪の開催でインバウンド復興なるか

政府とIOCのバッハ会長は、2021年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に前向きな姿勢を示しており、観客を入れての開催にも意欲的となっています。

大会の開催に対しては、世論から反対の声が上がっているのも事実ですが、インバウンド業界にとっては開催してほしいのが正直なところです。

今後の国内外の感染動向と政府やIOCの発言を注視し、東京オリンピック・パラリンピックを契機としたインバウンドの復興に向けて準備を進めることが求められます。

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<参考>

・首相官邸:ホストタウンの推進について

・内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局:ホストタウン等における選手等受入れマニュアル作成の手引き

・BBC NEWS:東京五輪、観客入れての開催を「確信」 IOCバッハ会長

・日本経済新聞:バッハIOC会長「東京五輪、成功の感触」

・時事ドットコムニュース:東京五輪、観光客入国を本格検討 「発熱センター」を設置―来春試行へ・政府

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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