2021年、今こそ情報発信を。インバウンド向けSNS活用法・注意点をおさらい【Facebook編】

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新型コロナウイルスの感染拡大の勢いは未だ止まらない中、2021年を迎えました。

コロナ禍によってインバウンドの客足が止まっている今、訪日潜在層へ向けた情報発信の重要性は高まっています。

渡航制限下の情報発信の意義に疑問を感じる方もいるかもしれませんが、今まで海外旅行を楽しみにしていた人々は事態の収束後を見据えて、今でも旅行情報の収集や計画を立てています。

そのため、次の旅行先に選んでもらうためには継続的な情報発信が必要です。

本シリーズでは、インバウンド向け情報発信の主力の武器ともいえる、SNSの活用法について改めて解説します。

第一回目は、中国を除くほぼ全ての市場にアプローチできるFacebookの活用方法について詳説します。

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インバウンド向け情報発信におけるFacebookの優位性

まず、インバウンド向け情報発信をするにあたって、Facebookの特長・優位性について基本的な要素からおさらいします。

中国を除いたほぼ全ての市場へアプローチ可能

Facebookの利点としてまず挙げられるのは、カバーできる市場の多さでしょう。

We are socialによる「最新グローバルトレンド2020」によると、これだけ有力なSNSが台頭している現代においても、最も利用されているソーシャルプラットフォームは依然としてFacebookが首位となっています。

Facebookは世界で最も使用されているSNSプラットフォーム We are social 最新グローバルデジタルトレンド2020
▲[Facebookは世界で最も使用されているSNSプラットフォーム]:We are social 最新グローバルデジタルトレンド2020

また、Facebookを使って広告を出稿することで、全世界の18歳以上の人口の3分の1以上、18歳〜34歳の人口の半分以上にリーチすることが可能です。驚異的な情報発信力といえるでしょう。

▲[Facebook広告でリーチできる年齢層・性別]:We are social 最新グローバルデジタルトレンド2020
▲[Facebook広告でリーチできる年齢層・性別]:We are social 最新グローバルデジタルトレンド2020

ターゲットの細かいセグメントが可能

また、Facebook広告はターゲットの細かいセグメントの設定が可能です。

年齢、性別、地域の設定はもちろん、利用者層、興味・関心、行動からさらに細分化した項目を選ぶことができます。

また、地域も半径1km〜80kmまで1km単位で設定することが可能です。

そのため、海外への情報発信はもちろん、自社の店舗の付近にいるユーザーへの広告配信といった旅ナカにおける施策としての運用も可能です。

Facebook広告のセグメント選択のイメージ 編集部キャプチャ
▲[Facebook広告のセグメント選択のイメージ]:編集部キャプチャ

施策実行後の分析ができ、ノウハウの蓄積につながる

Facebookではページインサイトと呼ばれる分析画面にて、投稿ごとのリーチした人数、投稿へのエンゲージメント、ページへの「いいね!」などが確認できます。また、フォロワーが増加すればアンケート機能を活用し、訪日潜在層へのマーケティングに生かすことも可能です。

そのほか、Facebookには概ね以下の種類の広告タイプがあり、目的に応じた活用が可能です。

  1. Facebookページ自体のファンを獲得する広告(Facebookページ自体のファンを増やす目的。企業名やメーカー名、サービスなどの認知を上げるために有用。)
  2. 投稿した記事を拡散する広告(ページのファン以外にも情報を届けられる。比較検討の材料になるような情報が効果的。)
  3. 外部リンクに流入を増やすための広告(キャンペーンや会員登録、資料請求など、直接的なアクションに繋げる目的。)

Facebookは投稿内に外部へ誘導するURLリンクを載せることができるため、オフライン、オンライン問わず様々な施策への集客に活用できます。

以上を踏まえると、Facebookの運用はプロモーション費用の「掛け捨て」になりにくい施策といえます。

運用時に意識すべきこと

それでは、実際にFacebookアカウントを活用してインバウンド向けの情報発信をするにあたってなにを意識すべきでしょうか。

一つずつ見ていきましょう。

フォロワーが多いだけでは意味がない。アクティブなファンが必要

他のSNSプラットフォームにもいえることですが、Facebookアカウントの影響力を測る上で重要な指標は「エンゲージメント率」であり、フォロワー数が多いだけでは意味がないということを認識しておきましょう。

時折見受けられる事例として、フォロワーが100万人以上いる企業のアカウントでも一つの投稿に10件未満の「いいね!」しかついていないという事象があります。

これは実際にはほとんどのフォロワーに関心をもたれていないか、アクティブなフォロワーがほぼいないということになるでしょう。

そのため、Facebookの施策を運用するにあたってフォロワーの増加数をKPIにする際には注意が必要です。

現地の空気感を捉える

インバウンド向けの情報発信をするにあたって陥りがちなのは、日本側で発信したい内容に意図が傾きすぎてしまい、フォロワーの琴線に触れられない投稿になってしまうということです。

この問題を避けるには、やはりターゲットとする国・地域の「現地の空気感」に寄り添うことが求められます。

「現地の空気感」を分解すると、

  1. ターゲットとする国・地域では今どのような社会情勢なのか、どんなブームがあるのかといった現地のトレンドへの理解
  2. ターゲットとする国・地域は訪日旅行になにを求めているのか、日本のどのような部分に魅力を感じうるのか、といった価値観への理解

の大きく二つに分けられます。また、上記は常に変化するため、最新の情報をキャッチする姿勢が求められます。

PDCAを回す

ファンに支持されるアカウントとなるために上述した現地の空気感を捉えることは非常に重要ですが、それをすぐに的確に捉えることはまた難しいものです。

ターゲットとする国・地域の人々にはどんなものに興味を持つのかといったインサイトを得るには、PDCAを回していく以外の近道はありません。

投稿内容のジャンル、切り口を変えたり、画像の配置や文章のテイストに変化を加えたりといった検証を繰り返しながら、エンゲージメント率が高い投稿はどんなものかを見つけていきましょう。

実際にあった事例では、「動画よりも静止画の方がエンゲージメント率が高まった」ということもあります。

これは、ターゲットとする国では通信環境が日本ほど整備されておらず、動画を快適に見ることが難しいからという背景がありました。こうした事実の発見はPDCAを回すことで蓄積することができるのです。

双方向のコミュニケーションを意識する

Facebookアカウントの持つ影響力を高めていく上で、エンゲージメント率が重要なKPIとなると先に述べましたが、この数字の向こうには実在の人がいることを忘れてはいけません。

Facebookに限らず、SNSを運用するにあたっては双方向のコミュニケーションが重要となります。投稿内容を見たフォロワーが付けてくれたコメントにはできるかぎり返信するようにしましょう。

フォロワー側にとって、「機械的に投稿をしているアカウント」と思われてしまっては、エンゲージメント率の向上は望めません。

フォロワー側にとって「気軽にコミュニケーションが取れるアカウント」だと認識してもらうことで、積極的に関心を寄せてくれるファンを増やすことにつながります。

また、コメント内容からは訪日旅行に関する相談や、訪日潜在層のニーズを捉えることにもつながります。訪日客のFIT(個人旅行)化が進む近年、コメントから得られる訪日潜在層の個別具体的な情報は企業の重要な資産となります。

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ソリューション企業を選ぶポイント

インバウンド関連事業者によっては、Facebookアカウントの運用を専門会社(以下、ソリューション企業)に依頼するということも選択肢に入るでしょう。

近年の日本のインバウンド業界の発展により、SNS運用を謳うソリューション企業は数多く生まれました。しかしその中には、現地の言葉が使えるというだけでスタッフを採用している企業も存在するのが実情です。

当然、それだけでは十分な成果は望めません。ここでは、良いソリューション企業を見極めるポイントを解説します。

1. 現地感覚があるか

まずは上でも述べた通り、インバウンド対策のターゲットとなる市場についてソリューション企業のスタッフが「現地感覚」を持っているか、というポイントが重要となります。

インバウンド向けの情報発信を効果的に進める上では、現地で何が流行っているか、現地の人は日本のどんな要素(モノ、文化、歴史、サブカルチャーなど)に魅力を感じるのかといった価値観を敏感にキャッチする能力が必要とされます。

こうした「現地感覚」があるかどうかは、ソリューション企業を選ぶ上でまず重要といえるでしょう。

2. デジタルマーケティングのリテラシーがあるか

次に、デジタルマーケティングのリテラシーが備わっているかどうかもポイントです。

上述したように、SNSを運用するということは中長期的な視点で施策を打ち、PDCAを回していくということです。投稿した内容に対するエンゲージメント率や、投稿した時間などからユーザーの反応を分析し、仮説をたて、次のアクションに生かすというサイクルを回すためには、デジタルマーケティングの知見が必須となります。

3. 炎上対策など、安全な運用ができる対策があるか

SNSでの情報発信でついてまわるリスクとして、投稿内容に起因する「炎上」の可能性は考慮すべきです。

炎上リスクに対して、投稿時にどのようなレギュレーションを設けているか、もし炎上が起きてしまった場合にはどのような措置をとるか、などのシミュレーションができているかどうかも、ソリューション企業を選ぶ際に重要なポイントとなります。

ちなみに、炎上するリスクが高いテーマとして、「政治に関する問題」「宗教に関する問題」「ジェンダーに関する問題」「社会的トレンドへの不用意な言及」「組織内の人間による問題行動」などが挙げられます。

上記は自社でアカウントを運用する上でも注意しておきましょう。

そのほか、十分に気をつけているつもりでもターゲットとする国・地域特有の文化に起因する炎上リスクも存在するため、ここでも1つ目に挙げた「現地感覚」の有無が重要となります。

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まとめ

Facebookは世界最大級のSNSプラットフォームであり、インバウンド向けの情報発信をする上で強力な武器となります。

まずは本記事で紹介したFacebookの運用に関わるポイントを念頭に置いて、導入を進めましょう。

ただし、日本旅行の素晴らしさを伝えるためには、機械的にコンテンツを配信するだけでは魅力が伝わりません。

誰よりも観光地の魅力を知っている事業者側が、楽しみながら情報発信することで、共感してくれるファンを増やすことに繋がるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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