ブレジャー(Bleisure)は、「ビジネス(Business)」と「レジャー(Leisure)」を掛け合わせた造語で、ビジネスパーソンの出張旅行などの前後に余暇目的の旅行を組み合わせる旅行スタイルです。
ブレジャーの認知度は日本ではまだ低い傾向にありますが、世界的な注目度は高く、インバウンド市場においても消費拡大などの効果が期待されています。
本記事では、ブレジャーについての基本情報や訪日ブレジャー市場、観光庁が行っているブレジャー促進に向けた取り組みについて紹介します。
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ブレジャーとは?
ブレジャーとは、「ビジネス(Business)」と「レジャー(leisure)」を合わせた造語です。
観光庁は、ブレジャーを「業務目的の旅行の前後に余暇目的の旅行を組み合わせること」と定義しています。つまり、ビジネスパーソンが出張先で余暇を目的としたレジャーを楽しむ旅行の形のことを指します。
たとえば、地方への出張に合わせて有休休暇を取得し、出張の前や後にその場所の観光地を訪れることなどが含まれます。
海外では認知度の高いブレジャーですが、国内ではまだあまり知られていません。
オンライン旅行会社エクスペディア・ジャパンが2019年3月に行った調査によると、日本でブレジャーを「知っている」と回答した人は19%にとどまり、81%の人が「知らない」と回答しています。
また、同調査では出張に有給休暇をつけた経験のない人の割合を国別で公表しています。そこでは12か国中日本が79%と最も高く、日本においてブレジャーという旅行の形がまだまだ浸透していないことがわかります。
なお、同じく英語からの造語として「ワーケーション(Work+Vacation)」という観光用語がありますが、こちらはリゾート地や地方などで働きながら休暇を取るスタイルを意味し、ブレジャーとは異なります。
世界で注目されているブレジャー市場:ビジネス旅行の52%を占める
日本では認知度の低いブレジャーですが、世界的に見るとその認知度は高まってきています。
国連世界観光機関(UNWTO)が行った国際旅行についての調査結果をまとめた「Tourism Highlights 2019」によると、世界中の旅行者のうちビジネス目的の割合は13%となっています。
一方で、Expedia Group Media Solutionsが2017~2018年にかけて行った「Unpacking Bleisure Traveler Trends」の調査結果によると、中国、インド、ドイツ、イギリス、アメリカ発の海外へのビジネス旅行のうち、52%はブレジャーを含んでいるということです。
このことから、世界的にみてビジネス目的の旅行者の割合は少ないものの、そのうち約半数はビジネスだけでなくレジャーも楽しんでいる可能性があることがわかります。
ブレジャー前の情報収集はインターネットが68%/選ばれる観光コンテンツは?
Expedia Group Media Solutionsの「Unpacking Bleisure Traveler Trends」によると、出張をブレジャーにする傾向が最も強いのは、「2泊以上の滞在予定があり、目的地が自宅から遠い」ビジネスパーソンということです。ここから、必ずしも長期の出張でなくともブレジャーへの転換は行われるということがわかります。
また同調査では、ブレジャーを行う際の情報収集や、目的地についても結果が公表されています。
これによると、調査対象となったビジネス目的旅行客のうち68%が「オンライン検索エンジン」で情報収集をしたと回答しています。
家族や友人、同僚に尋ねるという人も多いようですが、インターネットを介する情報収集手段としては、ほかにも「旅行に関するウェブサイト(47%)」「目的地のウェブサイト(44%)」「ソーシャルメディア(30%)」などが挙がっています。
このことから、ブレジャー客へリーチするには、旅行メディアへの露出を増やしたり、自社ウェブサイトやSNSを拡充したりすることが重要だといえます。
そのほか、興味のあるブレジャーコンテンツとしては、1位が「食」で56%、次に「ビーチ」が52%、「自然景勝地」が51%となっており、その土地特有の魅力やアクティビティがあるかどうかがビジネス目的の旅行からブレジャーへの転換を決める際の大きな要因であることがわかります。
日本のインバウンドにおけるブレジャー市場
ブレジャー市場は世界的に拡大しており、今後の訪日インバウンド市場の拡大にも大きく関わっています。
ここでは、インバウンドでブレジャーが注目される理由や、ブレジャー市場の拡大による影響について紹介します。
インバウンドでブレジャーが注目される理由:MICE参加者は1人あたり消費額が観光客の2倍
インバウンドにおいてブレジャーの拡大が重要とされる理由のひとつとして、訪日外国人観光客1人あたりの消費額を増加させる必要があることが挙げられます。
観光庁が発表する「訪日外国人消費動向調査」によると、2015年から2019年まで、訪日外国人観光客数と全体での消費額は増加しているのに対して、一人あたりの消費額は横ばいの状態にありました。
これにより、訪日外国人観光客の数を増やすだけでなく、いかに消費額を増加させるかという質の向上が重視されるようになりました。
そこで注目されているのが、MICEなどのビジネスイベントへ参加する訪日外国人です。
2018年に発表された観光庁の「MICEの経済波及効果算出等事業報告書」によると、国際MICEの訪日外国人1人あたり消費額は、イベントの種類によって異なるものの、おおむね30万円前後ということです。主催者や出展者といった企業側からの消費が含まれることもあり、消費額が大きくなっています。
2020年に発表された観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、観光・レジャー目的の訪日外国人の1人あたり消費額は約15万5,000円でした。
この2つの数字を単純に比較することはできないものの、観光客に比べMICEを目的とする訪日外国人は消費額が高いことがわかります。
このようにもともと消費額の高いビジネス目的の訪日外国人に対してレジャーの消費を促すことで、個人の消費額を最大化できる可能性があるとして、ブレジャーは注目されています。
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ビジネス目的で訪日する外国人数と消費額
ここで、ビジネス目的で訪日する外国人のデータについておさらいしておきます。
観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、2019年に日本を訪れた外国人のうち、全体の13.9%がビジネス目的だったということです。国別でみると、ビジネス目的の訪日が最も多いのはインドの65.9%、次いでドイツの38.1%、ベトナムの34.3%となっています。
同調査では、ビジネス目的の訪日外国人の1人あたり消費額は全国籍の平均で約16万4,000円となっており、前述した観光・レジャー目的の約15万5,000円を上回っています。
ビジネス目的の訪日外国人の滞在日数については、近隣の韓国では3日以内、台湾・香港・中国では4~6日が約半数を占めているのに対し、欧米豪など日本から遠い国々では、7~90日の中長期滞在が最も大きな割合を占めている国もあります。
このように、消費額が多く、かつ、中長期の滞在が期待できるビジネス訪日層に対してブレジャーの促進に関わる施策を行うことが求められます。それにより、ここ数年停滞しつつある日本のインバウンド消費額を押し上げられる可能性があります。
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ウィズ・アフターコロナのインバウンドにおけるブレジャーの可能性
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、日本政府はまずビジネス目的の外国人の入国制限緩和に取り組みました。
現在は緊急事態宣言により全世界からの入国が停止されていますが、状況が落ち着き次第、以前と同様にまずビジネス目的の往来が再開されると予想されます(記事執筆時点)。
観光客の受け入れが再開されるまでは、インバウンド客の多くはビジネス目的の訪日外国人に限られます。厳しい状況に置かれているインバウンド業界にとって、ビジネス目的の訪日外国人、ひいてはブレジャー客は貴重な「お客様」です。
ANAの後援でイギリスの経済誌エコノミストが発表した「THE 2019 BLEISURE BAROMETER: Asia’s best cities forwork and recreation」によると、「アジアで一番魅力的なブレジャーを楽しめる都市」として26都市のうち東京が1位になっています。
日本はアジアの国々の中でも、ブレジャーに適した都市として注目を集めているということです。アフターコロナにおいても日本のブレジャー市場は拡大が期待できるでしょう。
ブレジャー促進に向けた観光庁の取り組み
観光庁は、インバウンド市場の拡大におけるブレジャーの可能性に着目し、ブレジャーを促進するための取り組みを行っています。
これまで、2020年1月に第1回、3月に第2回の「MICE参加者のブレジャー促進連絡会」を開催しており、国内のMICE主催企業などと周辺観光地との連携の実態や、国内企業へのブレジャー導入状況の調査報告を共有しています。
観光庁はブレジャーが地方誘客にもつながる可能性があるとしており、大都市でのMICE+地方でのブレジャーという取り組みでインバウンド客の地方への訪問を促すことを今後のブレジャー推進の方法のひとつとして挙げています。
インバウンド市場において期待が高まるブレジャー
ブレジャーとは、ビジネスパーソンの出張旅行などの前後に余暇目的の旅行を組み合わせる旅行スタイルです。
海外では認知度の高い旅行スタイルですが、日本ではいまだ認知度が低いのが現状です。それゆえ日本のインバウンドでは、これまでブレジャー客への誘致施策や働きかけは不十分でした。
しかしその分、日本のブレジャー市場はまだ伸びしろがあるといえます。まずはウィズコロナ、そしてアフターコロナにおいても訪日外国人市場全体としての消費拡大や地方誘客への貢献が期待されています。
アンダーツーリズム、ワーケーション...全て説明できますか?コロナ禍で注目された新しい旅行形態・働き方4選
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