新潟県・群馬県・長野県の7市町村を中心に活動している観光地域づくり法人(DMO)の雪国観光圏は、2月8日に楽天株式会社が運営する旅行体験予約サービス「Voyagin」と協力し、春から秋の雪のない季節に楽しむことができる同地域の魅力を網羅した体験プログラムを開発したと発表しました。
この体験プログラムの内容と新しい旅行スタイルの台頭について検証します。
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雪のない季節の雪国も観光資源に:体験プログラムや滞在スタイルを提案
この計画の中心となるDMOの雪国観光圏が活動しているのは、新潟県・群馬県・長野県といった豪雪地帯です。
この地域は長期間雪に閉ざされるため、伝統的な生活が未だに色濃く残る「郷」がたくさん存在します。豪雪地帯で人々が生活を営んでいるという地域は、世界全体を見ても意外に少なく、とても珍しい地域であるといえます。
今回、雪国観光圏と「Voyagin」が協力して開発した体験プログラムは、春から秋にかけて自然豊かなこの地域を訪れたいと考える誘客に向けた商品が用意されています。
自然の豊かさを体感できるようなトレッキングや、サイクリングのようなアクティビティはもちろん、この地域で「ワーケーション」や「スタディケーション」をしながら滞在したい人向けのプランもあり、新型コロナウイルスによる生活様式の変化にも対応したプログラムとなっています。
この体験プログラムにおいて「Voyagin」は商品開発を担当し、同社の国内旅行と訪日旅行の各専門スタッフが現地を実際に訪れ、各地域の暮らしや歴史を感じられるコンテンツを作成しました。
なお、この体験プログラムは観光庁の「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業に採択されており、様々な団体が参画しています。
アドベンチャーツーリズム(AT)とは
近年、国内外への旅行のハードルが下がったことにより、それぞれの旅行客が観光に求めるものも多様化している傾向にあります。アドベンチャーツーリズムは、そんな「旅の目的」の一つとして注目が集まっているアクティビティ要素を盛り込んだ旅行で、地方創生やオーバーツーリズムの改善など、観光地にとってもメリットの多い旅行形態としてその可能性が注目されつつあります。さらに、アメリカのアドベンチャーツーリズムの消費額は、来年には2019年比の93%の水準に戻るとAdventure Travel Trade A...
体験プログラムの一例
今回提案された体験プログラムのなかで、いくつか特徴的なものをここで取り上げます。
新潟の古道「松之山街道」のトレッキングツアー
「Voyagin」のサイトを通じて、新潟にある古道の一つ「松之山街道」をトレッキングするプログラムの参加を予約できます。
松之山街道沿いにある村々を訪れて、国内有数の棚田である「星峠の棚田」を見学したり、今は数少ない名人手作りの笹団子を味わったりするプログラムになっています。
コワーキングスペース:きら星BASE
越後湯沢の中心地からアクセスの良いコワーキングスペース「きら星BASE」を、近くの湯沢温泉に滞在しながら利用することができます。
「Voyagin」のサイトからこのコワーキングスペースを予約可能で、ドロップイン1日利用(平日9時-18時)を始めとする様々なプランが提示されています。
コロナ禍で注目集まる「ワーケーション」・「スタディケーション」
コロナ禍でテレワークが導入された結果、PCと充実したネット環境さえあれば職場以外でも仕事ができることが一般に知られるようになりました。
通常の職場や学校以外で仕事や勉強する人が急増した結果、注目されるようになったライフスタイルが「ワーケーション」と「スタディケーション」です。
「ワーケーション」とは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語です。
普段の職場ではない、リゾート地や温泉地でリモートワークをしながら、プライベートの充実も目指すライフスタイルです。
同様に「スタディケーション」とは、「スタディ」と「バケーション」を組み合わせた造語です。
授業や宿題そして習い事をリモートで学べる環境を整えた結果、子どもたちは旅先などでも学ぶことができるようになりました。そして、通常の勉強以外にも旅行などで訪れた地域の文化まで体験するライフスタイルが「スタディケーション」と呼ばれます。
この2つの新しいライフスタイルは、コロナ禍でリモート環境で働いたり勉強したりすることが増え、「どこで仕事(あるいは勉強)をするのか」ということに付加価値が見つけられるようになったことを意味するものです。
アンダーツーリズム、ワーケーション...全て説明できますか?コロナ禍で注目された新しい旅行形態・働き方4選
コロナ禍によって我々の生活は一変し、旅行に何を求めるかといった価値観も変化していきました。そして、観光客を受け入れる側である事業者や自治体もコロナ禍を経たことによって、従来の戦略からの脱却を求められたといえます。本記事では、コロナ禍を経て活発に議論されるようになった旅行形態や、滞在のあり方を表す4つの言葉について改めて整理します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる...
生活様式の変化による誘客の多角化に期待
近い将来、日本を訪れる外国人旅行者は6,000万人にもなることが予想されています。
この観光客の増加に並行して、より幅広い国や地域から観光客を受け入れるための環境整備が必要になります。また、新型コロナの感染拡大により生活様式が大きく変わり、今までになかった旅行スタイルへ対応することも、観光業界には求められます。
前述の「ワーケーション」や「スタディケーション」の浸透も、そうした旅行スタイルの変化の一例であり、訪日インバウンド市場は今後も誘客の多様化に対応した戦略を進めていくことが必要となるでしょう。
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