ナイトタイムエコノミーとは:意味、コロナ禍の最新事例、推進理由

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ナイトタイムエコノミー(夜間経済)とは、主に18時から翌朝6時までの間に行われる、観光や娯楽などの経済活動のことを指します。

ロンドンやニューヨークなど、海外の都市では美術館や劇場が夜間に展示・上演を行う場合が多く、官民が一体となってナイトタイムエコノミーを支えようという動きが見られます。

日本におけるナイトタイムエコノミーには主に飲食店やカラオケなどの例が挙げられますが、今後訪日外国人を呼び込むためには、ニューズに合わせた多種多様なコンテンツを用意する必要があるでしょう。

また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けナイトタイムエコノミーは停滞しており、ポストコロナの時代におけるナイトタイムエコノミーの在り方が現在模索されています。

本記事では、ナイトタイムエコノミーの概要や、新型コロナウイルスがナイトタイムエコノミーに与える影響や、国内外のナイトタイムエコノミーの事例を紹介します。

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ナイトタイムエコノミーの定義、推進の理由と課題

「ナイトタイムエコノミー」は、夜間に行われる経済活動を指します。

この項目では、ナイトタイムエコノミーの概要や、ナイトタイムエコノミーの推進が必要な理由、日本のインバウンド市場が抱えるナイトタイムエコノミーの課題について紹介します。

ナイトタイムエコノミーとは?

ナイトタイムエコノミーとは、夜間に行われる経済活動のことを指します。

観光庁が2019年に発表した「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」によると、ナイトタイムエコノミーにおける夜間とは、18時から翌日朝6時までと定義されています。

ナイトタイムエコノミーの例としては、夜間に開かれるナイトクラブや、夜景観賞、飲食、ショッピング施設などでの経済活動が当てはまります。

このような夜間の楽しみ方を拡充し、夜ならではの消費活動の拡大や地域の新しい魅力の創出を促し、経済効果を高めることを目標としています。

ナイトタイムエコノミー推進が必要なワケ

国内でのナイトタイムエコノミー拡充の必要性が高まっている背景としては、諸外国ですでにナイトタイムエコノミーが定着していることがあげられます。

たとえば、ロンドンやニューヨークといった大都市では、残業が少ないなどの要因から、仕事帰りにパブに寄ったり、帰宅した後に夕食や映画などに出かける人も多いといわれています。

このようなナイトタイムエコノミーの市場規模は、上記観光庁の「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」によれば、ロンドンで約3.7兆円、ニューヨークでは約2.1兆円といわれています。

また、訪日中にナイトライフを楽しむことを期待している外国人が多いことも、ナイトタイムエコノミー推進が必要となる背景の一つです。

東京都産業労働局「平成30年度東京のナイトライフ観光の実態調査・分析」では、ロンドン、ニューヨーク、上海、ソウル、シンガポールなど大都市に居住する人を対象に行った調査によると、「ナイトライフを楽しみたい都市」として東京はロンドンやパリ、ニューヨークと同等の人気を誇っています。

特に上海からの回答者のうち東京でのナイトライフを楽しみたいと考えている人は半数以上の57.5%となっています。

インバウンド市場におけるナイトライフ拡充に向けた課題

国内におけるナイトライフエコノミーは、海外と比較してまだまだ認知度が低く、体験している人が少ないことが課題として挙げられます。

観光庁が2018年に外国人1万人を対象として実施したWebアンケート調査では、訪日旅行以外の海外旅行で体験したコンテンツでは「ナイトライフ」が37%で2番目に多かったのに対し、訪日中に「ナイトライフ」を体験した人は21%となっています。

こうした結果を踏まえ、2018年に観光庁が発表した「『楽しい国 日本』の実現に向けて」では、ナイトタイムコンテンツの拡充や国内外に向けた情報発信が解決すべき課題として取り上げられています。

また、2021年1月7日に発令された緊急事態宣言とそれに伴う飲食店などへの短縮要請、終電の繰り上げによって、現在ナイトタイムエコノミーは大きな影響を受けています。

今後緊急事態宣言が解除された場合、屋外のスペースなどを活用した「三密」を避けたナイトタイムの提案が求められています。

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海外の事例から学ぶナイトタイムエコノミー

海外で人気のナイトタイムコンテンツとして、飲食だけでなく、観劇や美術鑑賞などもあげられます。

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、ナイトタイムエコノミーの在り方は変化しています。

ここでは、海外で人気のナイトタイムコンテンツや、ポストコロナを視野に入れたナイトタイムエコノミーの事例を紹介します。

海外のナイトタイムエコノミーで人気なコンテンツ

海外では、ナイトタイムエコノミーを支える施設として、飲食店やナイトクラブのほか、劇場、美術館・博物館などの文化施設も活用されています。

劇場ではライブやトークショー、演劇といったコンテンツを観賞できるほか、美術館・博物館といった施設が夜間も開いている国もあり、官民が連携してナイトタイムエコノミーを進める動きもみられます。

その他には、ディナークルーズや、ナイトサファリ、歴史的な名所のプロジェクトマッピングなど、それぞれの国がもつ自然資源や文化資産を活用した施策も存在します。

海外のナイトタイムエコノミー事例:コロナ禍への対応も紹介

海外では、これまでナイトタイムエコノミーの拡充に向けて様々な制度の制定や工夫が行われていました。

たとえば、ニューヨークでは、ブロードウェイにおける夜間の公演や、地下鉄の24時間運行を通して、ナイトタイムコンテンツの拡充を行っていました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ブロードウェイでは2021年5月まで公演は見合わせとなり、ナイトタイムエコノミーは危機的状況にあるといえるでしょう。

このような状況を受け、ナイトライフのグローバル・コンサルティングを行う組織VibeLabが中心となり、世界70以上の都市のナイトタイムエコノミーに携わる関連事業者や医療関係者が参加し、取りまとめている調査レポート「Global Nighttime Recovery Plan(GNRP)」が2020年に発表されました。

この調査レポートでは、これまでのナイトタイムエコノミーの在り方を見直し、ポストコロナに向けた新しいナイトタイムコンテンツを行っている事例が紹介されています。

たとえば、リトアニアの首都ヴィリニュスでは、歩道や駐車場を活用した「オープンエアカフェ」が計画され、すべての市有地における屋外での飲食を許可すると発表しました。

これにより、街にはソーシャルディスタンスを守りながら、食事を楽しむ人が増えるなど一定の効果がみられたとされています。

国内のナイトタイムエコノミー取り組み事例

2019年、観光庁はナイトタイムエコノミーを推進するために13件の事業を実施するなど、日本でもナイトタイムエコノミーの施策を取り入れようとする動きが見られます。

この項目では、国内のナイトタイムエコノミーの取り組み事例を紹介します。

1. ロボットレストラン

東京都新宿区にあるロボットレストランとは、ロボットやダンサーによるショーを見ながら食事ができるショーレストランです。

2020年1月現在、営業時間は16時から23時までで、1日に4回公演を行っています。最終公演は21時45分に始まるため、夜間に観光を楽しみたい訪日観光客も足を運びやすく、人気の施設として知られています。

ディスコやクラブのような内装が特徴で、他にはInstagramTwitterなどを使ったSNS上での露出にも力を入れています。

※現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け一時休業中です。(2021年2月現時点)

なぜロボットレストランは年間20万人の外国人観光客を集めることができるのか?数字とデータから紐解く!【独占取材】

外国人観光客に夜の娯楽を提供するトッププレイヤーとして君臨するロボットレストラン。日本ではナイトタイムエコノミーが数少ないと言われている中で貴重な存在になるのではないかと考えられます。そんなロボットレストランの運営やプロモーション等に関わっているインバウンド営業部部長 田中寛典氏に訪日ラボが独占インタビューを行い、内情やインバウンド対策の秘訣に迫る特集の第二弾。 [blogcard url=”https://honichi.com/news/2018/09/18/robotresta...


2. 富士吉田市

山梨県東南部にある富士吉田市は、富士山を目的に多くの外国人が足を運ぶ場所です。

訪日観光客がよく訪れる場所であることから、富士吉田市でもナイトタイムエコノミーに向けた取り組みを行っており、ナイトマーケットやジャズ演奏といったイベントが夜間に開催されています。

イベントの実施の他に、訪日外国人向けの施策としては、英語と日本語の二カ国語で表記したメニュー・パンフレットの作成や配布などを行っています。

※現在はナイトイベントは行っていません。(2021年2月現時点)

3. 江戸東京夜市

江戸東京夜市とは、カンファレンス施設やホテル、サービスを所有・運営するDMO 東京丸の内、神田神社と地域が連携して運営しているイベントです。

2019年夏から運営を開始しており、イベントでは訪日外国人の誘致のほか、日本の縁日の文化を普及させることを主な目的としています。

日本各地の踊りや、屋台などの出店、食品の提供などを行っており、毎月12時から21時までのスケジュールで開催されています。

※2021年4月まで開催は見合わせとなっています。5月以降の開催は現在検討中です。(2021年2月現時点)

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美術館や博物館、劇場、そして飲食店などの夜間利用による経済活動を指すナイトタイムエコノミーは、海外の都市ではライフスタイルの一つとして定着しています。

海外から日本を訪れる観光客の中にも、夜間でのイベントや娯楽に期待を持っている人は多い一方、観光庁の調査によると、実際に日本でナイトタイムコンテンツを体験した人は、ほかの海外地域よりも少ないといわれています。

現在、新型コロナウイルスによる外出や営業自粛が続く中、ナイトタイムエコノミーの業界も大きな打撃を受けています。

このような状況を受け、海外では屋外のスペースを活用しながら新たなナイトタイムコンテンツの在り方を模索する事例もみられます。

国内においても、緊急事態宣言解除後のナイトライフの復興を目指して安全なコンテンツを造成することが求められるでしょう。

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<参照>

・国土交通省:ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集

・国土交通省:「体験型観光コンテンツ市場の概観」 世界のコト消費と海外旅行者の意識・実態の調査結果

・東京都産業労働局:平成30年度東京のナイトライフ観光の実態調査・分析 報告書

・VibeLab:Global Nighttime Recovery Plan

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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