新型コロナウイルスの影響で、世界各国の航空会社では運休や減便が相次いでいます。
2月3日、IATA(国際航空運送協会)は、2020年の旅客実績を発表しました。
国際線と国内線をあわせた、有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)は前年比65.9%減に、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は56.5%減となりました。
ロードファクター(座席利用率、L/F)は17.8ポイント低下し、64.8%となっています。
新型コロナウイルスにより大きく需要が減少し、IATAは「航空市場、最も急激な減少」だとしています。
またユニセフ(国連児童基金は)、2月から新型コロナウイルス・パンデックに対応する「人道航空貨物イニシアチブ」を開始しました。
ワクチンや必要な医薬品などの物資を、世界の主要航空会社と提携し優先的に世界各地に輸送するもので、エミレーツ航空やシンガポール航空、ユナイテッド航空など16社が参画しています。
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【アジア】エアアジアジャパンが破産手続き開始、香港航空で従業員のコロナワクチン接種開始
日本ではエアアジア・ジャパンの破産手続きが開始されたほか、ANAがアジア路線などを中心に再開や増便を決定しています。
韓国のアシアナ航空や中国の航空各社で、日本路線の運航が継続・増便され、香港では香港航空の従業員への新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されました。
日本国内
エアアジア・ジャパンの破産手続き開始
2月24日、エアアジア・ジャパンの破産手続きが東京地方裁判所で開始されました。
負債総額は217億円弱で、航空券の購入者を含めた債権者は2万人以上にのぼっています。
同社は2017年10月に初就航し、国内3路線と国際1路線まで規模を拡大しましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全便の運休に追い込まれました。
ANA、ヤンゴン線の運航再開、マニラ・バンコク線も増便
全日本空輸(ANA)は、2月19日から東京/成田〜ヤンゴン線の運航を再開します。
同路線は2月1日のミャンマーでの国家緊急事態宣言発出以降、運航を停止していました。
ヤンゴン発の水・金曜の週2便運航しており、東京/成田発は貨物便として運航しています。
またANAは2月から3月にかけての国際線の運航計画を変更し、マニラ線とバンコク線を増便しました。
さらに春休みの帰国や、日本への帰任・赴任にあわせて、ロサンゼルスやサンフランシスコ、フランクフルト発など、米欧発日本着の臨時便も追加設定しています。
韓国
アシアナ航空は3月27日までの運航計画を発表し、日本路線4路線の運航を継続することとしました。
東京/成田・大阪/関西〜ソウル/仁川線を1日1便運航するほか、福岡〜ソウル/仁川線は月・火・金曜の週3便、名古屋/中部〜ソウル/仁川線は金曜の週1便を運航します。
4路線以外の日本路線は引き続き運休となっています。
中国
3月1日から27日までの間、中国の吉祥航空は日本路線2路線の運航を継続します。
対象の路線は、火曜日の大阪/関西〜上海/浦東、木曜日の大阪/関西〜南京線のそれぞれ週1便です。
またチャイナエアラインとマンダリン航空は、2021年4月の運航スケジュールを発表し、日本/台湾間では引き続き、成田、関西、中部国際空港(セントレア)、福岡線の4路線を運航することとしました。
このうち成田線は週1往復から週3往復に、関西線は週1往復から週2往復に増便されます。
香港
2月23日、香港航空は香港の従業員が初めて新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたことを明らかにしました。
希望するパイロットと客室乗務員が対象で、接種後は十分な休息後に乗務に戻り、2回目の接種は28日後に受けることとされています。
【東南アジア】タイ・エアアジア、国内線乗り放題パスを再発売、シンガポールでワクチン接種済み乗員のみのフライトを世界初運航
東南アジアでは、タイのタイ・エアアジアが国内線乗り放題パスを再発売するほか、シンガポールで世界初となるワクチン接種済み乗員のみのフライトが運航されました。
東南アジアの運航状況を紹介します。
タイ
格安航空会社のタイ・エアアジアは、同社が運航する国内線が乗り放題となるアンリミテッドパスを再発売すると発表しました。
対象搭乗期間は4月1日から12月16日までで、料金は3,599バーツ(約13,000円、VAT別)で空港使用料などは別途必要となります。
同社は3月からはバンコク発着路線をすべて運航予定で、4月以降はバンコク路線以外も含めて、国内線全線を再開するとしています。
またタイ国際航空は、日本~バンコク間の定期便の夏期スケジュール期間中の運航ダイヤの一部(3月28日~6月30日)を発表しました。
羽田~バンコク線を週1便で再開するほか、関西~バンコク線を週2便に増便し、成田線については週3便を継続する予定です。
シンガポール
2月11日、シンガポール航空とグループのシルクエアー、スクートは、世界初となる、新型コロナウイルスワクチンの接種済みの乗員のみのフライトを運航しました。
最初の便はシンガポール発ジャカルタ行きの便で、その後バンコクやプノンペン行きのフライトも運航されました。
シルクエアーとスクートをあわせたシンガポール航空グループの乗員のうち、90%以上がワクチンの接種を希望しており、シンガポール政府も航空分野に対し優先的に配分する意向を示しています。
またシンガポール航空は、東京/羽田〜シンガポール線の運航を、3月2日から週3便で再開することを決定しました。
当初は1月18日から1日1便での再開予定が延期されていたもので、他路線とあわせ日本とシンガポール間を週21便体制で結ぶこととなります。
インドネシア
ガルーダ・インドネシア航空は、東京/羽田・大阪/関西〜ジャカルタ線を、2月も継続して運航します。
あわせて週5便の体制で、貨物便の運航も行われます。
なお東京/成田・大阪/関西〜デンパサール線は、2月の全便を運休しています。
【北米】デルタ航空が名古屋~デトロイト間の運航再開、ハワイアン航空は日本路線の一部を運休
アメリカではデルタ航空が名古屋~デトロイト間の運航を再開するほか、ユナイテッド航空がアメリカ本土からハワイ到着時の書類審査を免除するサービスを開始しました。
またハワイでは、ハワイアン航空が日本路線の一部を運休することを決定しました。
北米地域の運航状況を紹介します。
アメリカ
デルタ航空は、4月2日から名古屋/中部〜デトロイト線の運航を、名古屋/中部発は日曜、デトロイト発は金曜の週1便で再開します。
デルタ航空ではすでに東京/羽田〜デトロイト・アトランタ・シアトル線の3路線が運航されていますが、名古屋とデトロイトは自動車産業での結びつきが強いため、出張需要が大きくなっています。
またユナイテッド航空では2月1日から、新型コロナウイルスの陰性証明書の搭乗前の提示により、ハワイ行きの乗客が到着時に書類審査なく入島できるサービスを開始しました。
アメリカ本土からハワイ行きのフライトに搭乗するハワイ州の「Safe Travels」プログラム登録者が対象で、書類審査を免除できると認証した乗客には、搭乗口でユナイテッド航空の係員が承認済みであることを示すリストバンドを装着します。
ハワイ
ハワイアン航空は、1月には週4便を運航し、東京/成田〜ホノルル線と合わせてデイリー運航していた東京/羽田〜ホノルル線の2月の運休を決定しました。
これにより2月と3月の日本路線は、東京/成田〜ホノルル線の週3便と、大阪/関西〜ホノルル線の週1便をあわせた週4便体制となります。
親会社であるハワイアン・ホールディングスが1月26日に実施した、決算後の投資家向け電話会議では、日本での新型コロナウイルスの感染再拡大や、政府による規制強化で需要が抑制されたことで、一部の便を運休すると明らかにしていました。
【オセアニア】カンタス航空、国際線運航再開時期は10月下旬の見込み
オセアニアでは、厳しい新型コロナウイルス対策を講じるオーストラリアのカンタス航空グループが、国際線の運航再開時期を10月下旬の見込みと発表しました。
オセアニアでの運航状況を紹介します。
オーストラリア
2月25日、カンタス航空グループは、国際線の運航再開時期を10月下旬の見込みだと発表しました。
世界でも厳しい新型コロナウイルス対策を講じているオーストラリア政府の対応を考慮したもので、2020年8月には再開時期を2021年7月としていましたが、約4か月遅らせたことになります。
国際線の供給座席数が、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準まで完全に回復するのは、2024年までかかると予想されています。
【ヨーロッパ】エールフランス航空でコロナ検査証明管理アプリ導入、ルフトハンザが夏のレジャー需要見据え路線展開
ヨーロッパでは、フランスのエールフランス航空が新型コロナウイルス検査証明の管理アプリを試験的に導入したほか、ドイツのルフトハンザグループが夏のレジャー需要を見据えて複数路線を展開する予定です。
一方でイタリア航空が東京/羽田〜ローマ線の開設を再延期するなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いています。
ヨーロッパでの運航状況を紹介します。
フランス
エールフランス航空は、3月11日から、新型コロナウイルスの検査結果などをデジタルで管理できる、健康証明アプリ「ICC AOKpass」を試験的に運用を開始します。
パリ シャルル・ド・ゴール発のポワンタピートル、フォールドフランス線を対象に、4週間の試験運用を予定しています。
航空・海運業界へのサポートサービスを提供する、メドエア/インターナショナルSOSなどが提供するスマートフォン用アプリで、提携医療機関で実施した新型コロナウイルス検査結果をデジタルで保管できます。
空港での手続きが効率化でき、空港での滞在時間の短縮にもつながるとされています。
ドイツ
ルフトハンザグループは、フランクフルトとミュンヘンからカリブ海やカナリア諸島、ギリシャへの路線を展開する予定です。
ワクチン接種が進むことや検査体制の充実などによる多くの国での旅行制限緩和の見込みや、空港や航空会社の衛生対策強化に伴う夏のレジャー需要の高まりを見据えたものです。
ルフトハンザ・ドイツ航空がフランクフルトからパフォスなど約20都市、ミュンヘンからへレスなど13都市に就航するほか、新たに就航するユーロウイングス・ディスカバーがフランクフルトからアンカレッジなどに就航します。
オーストリア
オーストリア航空は、東京/成田〜ウィーン線の運航を再開する意向を示し、3月29日にも運航が再開される見通しです。
東京/成田発は水・土曜、ウィーン発は月・木曜の週2便を運航する予定です。
オーストリア航空は夏スケジュールで、東京のほか、ウィーンとバルセロナ、フィレンツェ、バンコク、シカゴなどを結ぶ20路線以上を再開する予定です。
特に休暇の旅行需要の増加を想定して観光地への路線再開を視野に入れており、主にギリシャとキプロスの路線展開に焦点を当てているとしています。
イタリア
アリタリア-イタリア航空は、東京/羽田〜ローマ線の開設について、4月1日に再延期すると発表しました。
当初2020年3月29日に開設する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていました。
また同路線の開設後も、東京/成田〜ローマ線で週3便、東京/成田〜ミラノ線で週4便の運航を継続する計画でしたが、両路線とも新型コロナウイルス感染拡大の影響により運休しています。
【中東】エミレーツ航空で従業員26,000人がコロナワクチン接種完了
アラブ首長国連邦のエミレーツ航空では、新型コロナウイルス対策に配慮したスムーズなフライトの実現に積極的に取り組んでおり、従業員のワクチン接種も進めています。
中東の運航状況を紹介します。
アラブ首長国連邦
2月3日、エミレーツ航空はドバイ国際空港に導入された、非接触でスマートな旅の手続きを動画で公開しました。
同空港では2020年9月に、セルフサービスチェックイン機16台と手荷物預入機32台が導入され、搭乗者自身のモバイル端末で操作することで設置機器の画面に触れることなく手続きが完了します。
さらに希望する旅行者は最新生体認証技術を利用でき、チェックインからフライト搭乗まで顔認証で確認されるためスムーズな手続きが可能となります。
また2月21日、エミレーツ航空はフライトに関わるすべてのスタッフが新型コロナウイルスワクチン接種済みとなった、初めてのフライトを運航しました。
当該フライトではパイロットや客室乗務員のほか、エンジニアや保安検査などの地上スタッフまで、運航に関わるスタッフ全員がワクチン接種済みとなっていました。
エミレーツ航空グループでは、最前線で勤務する約26,000人の従業員がすでに2回のワクチン接種を完了しています。
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