すでに海外旅行が解禁となっている海外諸国もある中、国際航空運送協会(以下:IATA)は、航空需要の回復によって空港が混乱状態になる可能性を示しました。
コロナ前の体制で入国管理などの手続きが行われた場合、混雑のピーク時には空港滞在時間が8時間になるとのことです。
手続きを簡素化し、円滑に進めるには、利用客の新型コロナウイルス感染症にかかわる健康状態について、デジタル証明書による管理が必要になるとの見解を述べています。
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2年後には航空需要が完全回復か、鍵はデジタル健康証明書
IATAは、2023年には航空需要がコロナ前の2019年の水準を上回ると発表しています。
その際、空港での手続きをスムーズにするため、各国が健康証明書のデジタル化を推進するべきだとの見解を示しました。
関連記事:IATA(国際航空運送協会)について解説|その役割とは、そして課題は何か
航空需要が2023年にはコロナ前を超えると予想
はじめに、IATAは、今後の航空需要の回復について、5月26日に新たな見解を発表しました。
IATAが発表した予測によると、2023年には、世界の航空機乗客数が、新型コロナウイルス感染症の流行が始まる前の2019年を超え、105%に上るとのことです。
なお、2021年には2019年比52%に回復、2022年には2019年比88%に回復すると予想されています。
IATAの事務局長であるウィリーウォルシュ氏は、この予測値については「楽観的な見方」としながらも、移動や旅行の再開への期待を述べています。
ウィリーウォルシュ氏によれば、新型コロナウイルス感染症のワクチンが急速に開発され、接種が進んでいることは、移動の自由が取り戻されることや、人々の旅行意欲が増すことを促進するとのことです。
一方、需要回復のためには、当面の間、国境の再開、検疫措置の排除、そしてワクチン接種状況や検査証明書をデジタル管理することなどが課題となるとしています。
空港滞在時間が8時間に?求められる「デジタル健康証明書」
これに続いて、IATAは、航空需要が回復した時には、空港が混乱状況に陥るとの予測も発表しました。
IATAが示すところでは、新型コロナウイルス感染症拡大前、乗客が空港で行われる手続き(チェックイン、セキュリティ、国境管理、税関、手荷物受取所など)に費やす時間は、平均約1.5時間でした。
現在は、利用客の数はコロナ前の約30%でありながら、混雑ピーク時には手続きに3時間要するとされています。原因としては、従来の手続きに加えて、感染症に関する健康状態のチェックが必要になったことが挙げられています。
健康状態の管理は、現在主紙ベースで行われています。これが変更されなかった場合、航空需要が2019年の水準に回復した際には、1回の旅行あたりの空港滞在時間が8時間に達する可能性があるとのことです。
引用元:IATAプレスリリース
前出のウィリーウォルシュ事務局長は、「新型コロナウイルス感染症についてのチェックが自動化されない場合、空港が大幅に混乱する可能性がある」と述べています。
そして、「政府はデジタル証明書の標準に同意し、それらを受け入れるために調整する必要がある。彼らは迅速に行動しなければならない。」ともコメントしました。
航空需要が回復した時に備えて、各国がデジタル健康証明書の導入を進めていくことは、もはや必要不可欠といえるのではないでしょうか。
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