コロナ禍で「5時間待ち」白馬・岩岳の超人気コンテンツの裏側-日本のスノーリゾートの次の打ち手とは

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

訪日ラボは4月12日、(一社)地方創生パートナーズネットワーク様(以下、R-NET)の主催する「【第1回】観光庁後援 DMOスノーリゾートマーケティング勉強会」に共催として参画しました。

当勉強会では、コロナ禍でも5時間待ちの行列を作った「ヤッホー!スウィング」の仕掛け人、岩岳リゾート社長の和田寛氏による事例紹介のほか、R-NET代表理事の村松知木氏、訪日ラボ・川西によるオンライン商談会の説明や、アソビュー!の伊藤優氏、WAmazingの青木里美氏によるスノーシーズンにおける商品販売プラットフォームの説明が行われました。

当勉強会の様子を一部紹介します。


【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】

会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。

ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。

スノーツーリズム勉強会とは

本勉強会では、R-NETが司会進行の元、白馬・岩岳で6年間スノーツーリズムに携わってこられた和田寛氏が事例を紹介されました。

和田氏は、白馬の現状と課題について言及し、そこから分析した取るべき戦略の方向性、そしてスノーツーリズム業界全体のあるべき姿についてデータに基づきながら丁寧に説明されました。

(株)岩岳リゾート 代表取締役社長 和田寛氏
▲(株)岩岳リゾート 代表取締役社長 和田寛氏

そのほか訪日ラボによるコロナ禍でも開催できるオンライン商談会についての説明や、アソビュー!による訪日外国人向け商品プラットフォームの紹介、WAmazingのブッキングプラットフォームの紹介も行われました。

スノーツーリズム関連事業者にとって、コンテンツづくりのヒントから商品販路の整備までを一度に理解できる有意義なものとなりました。

訪日ラボ|オンライン商談会について

訪日ラボからはコンサルティング事業部 部長、川西が登壇し、海外旅行会社との「オンライン商談会」のメリットと商談会実施の際に伝えるべき情報について解説しました。

「オンライン商談会」は訪日ラボが自治体DMOの協力を得て開催している、日本の事業者と海外の旅行会社をつないでオンライン上の商談を実現するサービスです。

時間・移動コストの削減、精度の高い旅行会社マッチング、商談後のフォローアップに力を入れており、従来の商談会にありがちだったデメリットを解消しています。

オンライン勉強会スクリーンショット
▲訪日ラボが行うオンライン商談会のメリット

川西はまた、海外の旅行会社が求めている情報のポイントとして、日本の観光情報を2021年度版にアップデートすること、コロナ対策情報を発信することを挙げました。

渡航が厳しく制限されている現在では、海外の旅行会社は日本の情報がなかなか入手しにくい現状があります。過去の資料の使いまわしを避け、アップデートした情報を発信する重要性について言及しました。

そのほか、マスク着用の徹底、アルコール消毒、体温計設置などのコロナ対策についてもより具体的に発信すべきということです。

訪日ラボ・川西による商談会の際に海外旅行会社の求める情報・ポイントの説明
▲訪日ラボ・川西による商談会の際に海外旅行会社の求める情報・ポイントの説明

海外旅行会社の訪日旅行の販売開始予定については、「渡航解禁後となる」と回答した旅行者が35%であり、特に2022年を見据えた情報収集が活発化していることについても言及しています。

オンライン勉強会スクリーンショット
▲海外旅行会社が求めている情報、再開時期について

白馬岩岳でのスノーツーリズム事例について

岩岳リゾート社長の和田寛氏により、主に白馬岩岳のスノーツーリズムについての事例紹介がありました。

岩岳リゾートの現状として、白馬村での観光客数はコロナ禍前の時点では底を打っていたといいます。

また課題として2014年から外国人スキー客が急増しているものの、国内市場の高齢化やスキー人口の減少、価格下降圧力にともない安売り競争に陥ってしまっている状況を指摘しました。

▲白馬の厳しい現状について説明する和田寛氏:スクリーンショット
▲白馬の厳しい現状について説明する和田寛氏

これらの課題に対し、和田氏は『「冬の白馬」から世界水準の「オールシーズン マウンテン リゾート」へ』を掲げ、大自然の中で様々な「非日常感」をどの季節でも提供することのできるリゾートへの変革を目指しています。

「オールシーズン マウンテン リゾート」構想
▲「オールシーズン マウンテン リゾート」構想

「オールシーズン マウンテン リゾート」の取り組みは多岐にわたります。和田氏は取り組みへの実施軸として以下の5つをあげました。

  • 外部ブランドとのタイアップを通じた既存施設の魅力化
  • 手軽に非日常感を味わえる場の創出
  • 長期滞在に適した環境の整備
  • グリーン期のアトラクション増強
  • 地域と一体となった「街の魅力」向上

手軽に非日常を味わえる場として、都市部でも人気のTHE CITY BAKERY(シティベーカリー)とコラボレーションしたカフェを併設した展望施設HAKUBA MOUNTAIN HARBORを開業し、1か月で約3万人観光客を増やすことに成功しました。

HAKUBA MOUNTAIN HARBOR
▲HAKUBA MOUNTAIN HARBORは人気を博している

またグリーン期のアトラクション増強を行うために、白馬岩岳リゾートでは、コロナ禍である2020年8月に「ヤッホー!スウィング」をオープンしました。

最大5時間以上の待ち列ができ、多くのメディアでも紹介されるほど人気のアトラクションとなりました。

ヤッホー!スウィングの効果について説明する和田氏のスクリーンショット
▲「ヤッホー!スウィング」は大変人気となり、一時5時間待ちという状況も生まれた

『地域と一体となった「街の魅力」向上』を目指してつくられた「Iwatake Green Park」においては、昨今のテレワーク需要を考慮し「リゾートテレワーク」としてアウトドアチェア、テーブル、電源、WiFiの整備も行われました。

別次元の軸である『長期滞在に適した環境の整備』も同時に行われており、効率的に整備が進められています。

Iwatake Green Parkのテレワーク環境整備について言及する和田氏
▲Iwatake Green Parkのテレワーク環境整備について

最後に、スノーリゾート全体に向けて、より魅力的なスキー場づくりを進めていくために必要なことについて言及しました。

スキー場単体での努力だけではなく、地域一体となったエリア全体の魅力アップ・効果的なプロモーションの重要性や、スキー場以外での付加価値創出の重要性について語っています。

和田氏による魅力的なスキー場づくりに向けての説明を行うスクリーンショット
▲魅力的なスキー場づくりに向けての説明

アソビュー!による観光商品プラットフォームの説明

和田氏に続き、リゾート経営者がどのようにして観光商品を販売するのか、アソビュー!の伊藤優氏が登壇しました。

国内最大級の体験予約・レジャー商品販売サイトであるアソビュー!は月間PV数2,000万を誇っており、国内外で体験予約・レジャー商品販売を行っています。

アソビュー!について説明する伊藤優氏のスクリーンショット
▲アソビュー!について説明する伊藤優氏

アソビュー!では、インバウンド向け商品をもつ事業者のためにアソビューグローバルプラットフォームを提供しており、海外大手OTAとの連携や多言語サポート体制、国内海外両面での販売を一括管理するといったサービスを展開しています。

インバウンド客対策について説明する伊藤氏
▲「アソビューグローバルプラットフォーム」について


伊藤氏は夏から秋にかけてスキー場の問い合わせが増えていることについて触れ、インバウンド向けのプレミア商品を造成した際にアソビュー!に登録することで、効果的な販路拡大の支援が行えるとしています。

WAmazingによるWAmazing Snowについての説明

WAmazingからは青木里美氏が登壇し、スノーアクティビティ・ブッキングプラットフォームであるWAmazing Snowについて紹介されました。

WAmazing Snowは、日本国内の266箇所のスキー場と提携し、リフト券から宿泊の販売までを一挙に請け負っています。

WAmazing Snowについて説明する青木氏のスクリーンショット
▲WAmazing Snowについて

特に台湾香港からの観光客が多く、北海道や志賀高原スキー場が人気であると青木氏は説明しています。

誘客者数は、コロナ禍以前の19~20年シーズンでは18~19シーズンの2.3倍、平均客単価は1.7倍に増加しています。

台湾、香港からの誘客に強いWAmazing Snow
▲台湾、香港からの誘客に強いWAmazing Snow

WAmazing Snowの強みとしてコスト削減と多言語対応を同時で進められることのほかに、複数のスキー場の商品をまとめて販売しており、チケット管理システムが違っていても共通券として販売できることを打ち出していました。

青木氏はセット券を販売すると客単価が向上していることについて触れ、セット券販売の有用性について語られました。

コンテンツ作りと商品販路の確保で観光客確保へ

今回のスノーツーリズム勉強会では、スノーリゾート地の観光地としての魅力を、冬だけでなくオールシーズン提供できるような磨き上げが重要だということが伝えられました。

国内市場が漸減していく中求められているのは、冬だけにとらわれずリゾート地としてのポテンシャルを最大限に活かすことによる、世界と戦える観光地です。

こうした観光資源の磨き上げのほか、新規販路の拡大と整備についても今から準備しておきたいところです。今回登壇したソリューション企業のサービスの活用も選択肢となるでしょう。

ワクチン普及が急速に進む昨今、インバウンド再開の時期は確実に近づいています。

勉強会登壇者の記念撮影の様子
▲勉強会登壇者の記念撮影の様子

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
  • 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに