2021年度、インバウンドPRは訪日再開を見据えての企画へ

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タイとシンガポールに拠点を置くアジアクリックの小桑です。

私は2020年2月から日本に帰国することができず、シンガポールにとどまっています。

6月13日までの間、シンガポールではインド株などの変異種の市中感染が見つかり、それを警戒したPhase2HA(Heightened Alert=警戒強化)という厳しい行動制限が敷かれていました。

6月14日から現在の新規感染者数などを鑑み、Phase3HAという段階的な制限緩和が進められています。

外出制限下のシンガポールの様子(5月下旬の週末)
▲外出制限下のシンガポールの様子(5月下旬の週末)

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シンガポールはワクチン接種が進み、New Normalへ

しかし、5月31日のリー・シェンロン首相の全国民に向けたスピーチで、シンガポールは次のステージへ進んでいることがわかりました。

シンガポールではすでに、60歳以上の4人に3人がすでにワクチン接種を終え、40歳以上の全ての人が接種できる状況です(5月末時点で人口の約40%が少なくとも1回の接種済み)。

そしてさらに6月1日より12歳以上の全ての学生に対して6月のSchool holiday期間中に接種を行い、続いてその他の全ての人(39歳以下)にも7月には拡大することで、11月ごろまでにはほとんどの人のワクチン接種が終わると考えられます。

リー首相は、ワクチン接種(Vaccination)に加え、セルフ検査キットを全土の薬局で一般販売し、検査を早く、広く実施すること(Testing)、そして携帯アプリや専用のトークン(ポケットサイズの小さな接触管理デバイス)を通じた追跡(Contact Tracing)、この3つを継続して行うことでシンガポールは新型コロナウイルスをインフルエンザのような季節性感染症と同等に扱う「New Normal」へ進むことができる、と力強くスピーチしました。

その一方で、現在は少し足踏みしていますが、香港や韓国などいくつかの国とのトラベルバブル(限定された国同士の隔離等を緩和した往来のルール)の検討や、すでに隔離なしで入国できる国の設定など、経済・観光中心の小国がゆえに国際往来を復活させようという動きも活発です。

こちらの観光事業者の間では、ワクチン接種が進む国を対象に、現実的には2022年春から観光旅行が戻り始めるのではないか、と想定されています。

訪日インバウンドPRの今とインバウンド2.0

私たちアジアクリックは、コロナ禍においても、タイ・シンガポールの現地で情報収集や訪日の再開に向けた活動を継続しています。

そのような中で、2020年度についてはどの自治体・団体も「何をすればいいのかわからない、手探り」の1年でした。

そして手探りの議論の中たどり着いたのは、感染拡大が落ち着いたらwith コロナでも実施できる新しいインバウンド旅行のスタイルです。私たちはそれを、インバウンド2.0と呼んでいます。

これらは、自治体や各種事業者で実際に検討されていることも多いかと思います。
コロナ影響下のインバウンド2.0について
▲コロナ影響下のインバウンド2.0について

私たちも、ASEAN主要6か国からの訪日観光インバウンドPRを行うにあたって、今何をやるべきか、2020年度は手探りでした。

そのような中で感触を得たのが、「バーチャルツアー」と「オンライン旅行博(BtoB/BtoC)」です。

バーチャルツアーは、渡航ができない中での観光PR策として、各国市場において盛んに実施されました。私たちもいくつか実施させていただきましたが、そこで得たことは以下のようなポイントでした。

  • 集客は多くなくてもお客さんとのエンゲージが強い(普段の情報発信よりも、理解促進やファン化に役立つ)
  • 一方で、ただ観光地を歩いているだけだと飽きられ、時間がもたない (配信の際のコンテンツに工夫が必要)

またオンライン旅行博については、従来リアルで実施されていた旅行博がデジタルでの実施に変わったものがいくつか見られましたが、その手法によっていくつか課題を残す結果となったと感じています。

  • ただホームページを見て回るようなものになっていた
  • 見た目やユーザビリティのイベント感が不足

こういった施策は、BtoCを想定しがちですが、実はBtoBにも機会があると考えています。

この苦境を生き残ろうとしている現地旅行会社の中には、この機会に日本の地域の情報収集・勉強を積極的に進めたいという姿勢の企業様もありました。

旅行博ではありませんが、オンライン勉強会をシンガポールの旅行会社と実施したところ、個人・法人部門双方からほとんどのスタッフの方が参加し、長時間取っていただいて非常にディティールまでご理解いただくことができた事例もあります。

2021年度のオンライン旅行博

なすすべもなく感染拡大が起こった2020年と異なり、2021年は日本を含む世界的なワクチン接種の進行、トラベルバブルワクチンパスポートの検討など明らかに「渡航再開」に向けて動き出しています。

フランスなど、もうすでに日本から隔離期間なしで観光目的でも渡航できる国も出てきました。

何をやればいいのか悩みながらもがき続けた2020年度から、明らかに「再開」というターゲットを得た2021年度へ。

そんな中でのインバウンドPRでは、「次に日本へ行くときの訪問地」として具体的にイメージされる可能性があり、伝え方や伝える情報が非常に重要だと考えています。

もちろん完全にコロナがなくなるということはなく、感染対策情報や密にならない新しい観光地の情報は必須でしょう。

当然ですが今、タイ・シンガポールを中心とした東南アジア市場には、訪日観光の情報は過去のものしかほとんど出回っていません。感染対策が必要な状況下での、新しい情報がほとんど訪日ファンどころか旅行会社にもない状態なのです。

現地旅行会社のスタッフの方々に対して実施した勉強会でも、様々な質問が出ました。

訪日ファンも、今聞きたいことがたくさんあるのではないでしょうか。

そういった訪日ファンや現地旅行会社スタッフとの直接のコンタクトの場として、自治体や団体オリジナルの旅行博を開催することはとても効果があると考えます。

昨年より様々なオンライン展示会サービスが出ています。3Dでバーチャルな体験にこだわったものもありますが、私たちが目指すのは「映像を見せて」「パンフレットを渡せて」「説明できて」「質問も受けられる」、従来の旅行博の完全なデジタル版です。

▲オンライン旅行博ご提案企画書の1ページ
▲オンライン旅行博ご提案企画書の1ページ

各国でリアルに開催される旅行博は、(特に東南アジア市場は)まだ開催されるかどうかも、日本から参加できるかどうかも不透明です。

また従来より、旅行博に来ていただいても自分のブースにどれだけ注目してもらえるか、という課題がありました。

独自開催であれば、いつもよりも情報を多く届けられることはもちろん、県内の市町村自治体や観光事業者、団体などと一緒に合同で開催することも可能です。

訪日観光再開に向けて、まだまだ時間はかかるかもしれません。「その時」に備えて、今できることを取り組んでまいりましょう。

(寄稿協力:アジアクリック

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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