【独自】「訪関西意向率」はコロナ前水準を維持。話題の動画の影響力とは/国内向け観光サイト「Premium関西」(第一弾)公開

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一般財団法人関西観光本部(理事長:松本正義関西経済連合会会長、以下関西観光本部)は、2府8県を対象エリアとする関西唯一の「広域連携DMO」です。

関西観光本部では毎年「訪関西意向率調査」事業を実施しており、関西エリアのデスティネーションマーケティングに活かしています。

本記事では、今回で第三回目となる最新版の訪関西意向率調査結果について内容を抜粋してご紹介します。そのほか関西観光本部の直近の取り組みについても併せて紹介します。

関連記事:【独自】万博を見据え、関西観光本部が掲げる「2025に向けた3つの挑戦」とは デジタルマーケティング室長・桑原氏インタビュー

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訪関西意向率調査の概要

訪関西意向率とは、訪日検討層に対する関西への訪問意向を数値化したものであり、関西観光本部は欧米豪の訪日検討層に対する関西への訪問意向率を、2018年から毎年、独自調査しています。

関西観光本部デジタルマーケティング室は、2025年に向けて訪関西意向率を70%に向上させる目標を掲げています。

以下、最新の調査結果である2020年の訪関西意向調査について抜粋して紹介します。

関西観光本部、2020年訪関西意向率は32.4%、2019年の水準を維持

2020年での訪関西意向率は欧米豪が32.4%中国が65.1%という結果になりました。コロナ禍で観光目的での往来がほとんどなくなったのにもかかわらず、訪関西意向率は2019年の水準を維持しています。

また「関西認知率」については欧米豪では50.6%、中国では83.2%という結果となり、訪関西意向率と同様2019年の水準を維持しています。

2020年訪関西意向率・関西認知率調査:関西観光本部のグラフ
▲2020年訪関西意向率・関西認知率調査:関西観光本部

コロナ禍における旅行者の意識の変容について

また関西観光本部では、訪関西意向率の調査に加え「コロナ禍における旅行者の意識の変容について」の調査も行われました。

関西観光本部は旅行者の意識の変容に対し、以下のように指摘しています。

  • 旅行先は都市部から地方部へ
  • SIT(Special Interest Traveler)の需要が拡大
  • 体験コンテンツは非日常から異日常
  • 旅行先を選ぶ基準が感染対策海外旅行者を歓迎する雰囲気に変化
  • 文化体験需要の増加
  • 自然・アウトドア需要の増加

上記で挙げている要素の一つ「非日常から異日常」について、従来では体験型コンテンツは「リフレッシュするもの」を求める志向が中心でしたが、コロナ禍以降は「日本文化の本質を学びたい」「新たな価値観を発見したい」など純粋に異なる世界観を体験したいニーズが増加したと分析しています。

コロナ禍における旅行者の6つの意識変化:関西観光本部
▲コロナ禍における旅行者の6つの意識変化:関西観光本部

関西で開催される国際的イベントに期待

また、2021年以降関西では多くの国際的イベントが開催される予定です。

2022年にはワールドマスターズゲームズ関西、そして2025年には大阪・関西万博、そしてその先にはカジノIRの開業計画があります。

今後、これらの国際的イベントに関する情報が継続的に世界へ発信されることで高まる関西の認知率に比例して、訪関西意向率の上昇が期待されます。

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主に関西で行われるイベントによる訪関西意向率向上について:関西観光本部
▲主に関西で行われるイベントによる訪関西意向率向上について:関西観光本部

コロナ禍での旅行意向について

現在、海外旅行検討層がコロナ禍で体験したい観光テーマとして、文化観光への関心が高まっていることが判明しました。

また、関西観光本部デジタルマーケティング室は、SIT検討層・ET層に加えて、SBNR層を戦略ターゲットとして挙げる。その理由は、日本が誇る関西の伝統文化資源との親和性が非常に高いからです。SBNRとは「Spiritual But Not Religious」の頭文字をとったもので、特定の宗教への信仰を持たず、スピリチュアルに関心があり精神的な豊かさを求める信仰的スタンスを持つ人々のことを指し、欧米での台頭が顕著で、近年注目されています。

関西観光本部では、欧米豪、中国を対象にオンラインでSBNRに関する調査を実施しました。

関連記事:アメリカ人の5人に1人が当てはまる「SBNR」とは?日本文化が興味の中心に・インバウンドへの活用事例も紹介

ストレスフルな状態を癒す対象として文化観光への関心は高く、特に温泉・酒に関心あり

関西観光本部では、2020年9月18日から9月30日にかけてオンライン上でアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス国籍を持つ162名の在日外国人に対して、テーマツーリズムの需要を検証する調査を実施しました。

調査結果から、他のテーマに比べて文化観光への需要度が圧倒的に高いことが判明しました。この現象は、コロナ禍で心身ともに疲労したストレス状態を癒したい、または解放されたいという思いを文化観光に求めたと推察しています。

SBNRテーマツーリズム体験意向調査:関西観光本部
▲SBNRテーマツーリズム体験意向調査:関西観光本部

またSBNR要素の中では「ロ-カルカルチャー」「自然との調和」「ウェルネス」が上位に来ています。

新型コロナウイルス対策とも相性がいいアウトドア、また健康維持のコンテンツのほかに「その土地ならでは」の文化が重要視されていることが分かります。

海外旅行で特に重要視したい要素|関西観光本部資料
▲海外旅行で特に重要視したい要素|関西観光本部

また関西観光本部が発信しているSIT検討層・ET層・SBNR層をターゲットとした動画「Spiritual KANSAI」の6テーマ(巡礼、瞑想、感謝・祈り、精神、侘び寂び、癒し)では「癒し(温泉・酒)」がどの国でも関心の高いテーマとなりました。

日本には日本ならではの温泉旅館、日本酒などがあるため、癒し要素とローカルカルチャー要素を結びつけた発信が効果的だと考えられます。

SBNRテーマの需要|関西観光本部
▲SBNRテーマの需要|関西観光本部

「欧米豪」「中国」それぞれの訪関西意向の違いは

関西観光本部では、欧米豪、中国それぞれで訪関西意向率調査を行いました。

なお、調査対象はそれぞれ以下の通りです。

【欧米豪の調査対象】アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツの20歳以上の一般男女で訪日未経験者・訪日検討層3,024名

【中国の調査対象】20歳以上男女のうち訪日未経験者・訪日検討層1,008名

まず、欧米豪と中国で意見が合致した項目から振り返ります。海外旅行で楽しみたい項目として、以下の3つがあげられました。

  • 「山・海・湖・森林・砂漠・動植物など豊かな自然を楽しむこと(Nature)」
  • 「歴史的な街並み・建築の鑑賞や伝統文化を体験すること(Tradition)」
  • その地域の食事やお酒を楽しむこと(Cuisine)」

しかし、Withコロナの時代に求めるもの、「Spiritual KANSAI」視聴後の訪関西意向率上昇などで違いが見受けられました。

Withコロナ状況下における訪日旅行への期待度の違い

欧米豪では、Withコロナ状況下における訪日旅行への期待として、文化体験、自然体験が特に重視されていました。

またWithコロナ状況下で特に意識する項目として、衛生面における配慮、清潔さのほかに旅行者の歓迎する雰囲気が期待されていることがわかります。

ここから、欧米豪インバウンド客の取り込みに向けて地元住民と一体となった機運醸成が求められています。

欧米豪「Withコロナ状況下における訪日旅行への期待」:関西観光本部
▲欧米豪「Withコロナ状況下における訪日旅行への期待」:関西観光本部

一方、中国では感染症対策の徹底を求める声が多く聞かれました。

中国ではWithコロナ状況下における訪日旅行への期待として、「消毒等のウイルス対策の継続」「衛生面における配慮・清潔さ」「新型コロナ対策・罹患時の対応に関する情報発信」など、感染対策に関連する項目が多く挙がりました。

特に北京、上海ともに月収20,000元(約34万円)以上の層は「混雑回避のための事前予約制度や入場制限」を求めており、感染対策の徹底が欧米豪以上に重視されると考えられます。

引き続き、感染症対策の徹底、そしてインバウンド客を迎え入れるための雰囲気づくりが各自治体、DMOに求められると考えられます。

中国「Withコロナ状況下における訪日旅行への期待」:関西観光本部
▲中国「Withコロナ状況下における訪日旅行への期待」:関西観光本部

「Spiritual KANSAI」視聴後の訪関西意向の変化の違い

また、重要市場である欧米豪と中国では最新の観光動画「Spiritual KANSAI」視聴後、関西観光本部デジタルマーケティング室のKPIである訪関西意向率の上昇傾向に違いが見られました。

欧米豪では「Spiritual KANSAI」視聴による訪関西意向調査では、動画視聴後の訪関西意向率が60.1%向上し8割以上が訪関西意向ありとなりました。

また調査対象国6ヵ国の中でアメリカが最も来訪意向が高くなりました。

詳しくは以下から「Spiritual KANSAI」をご覧頂けます。

関西観光本部:「Spiritual KANSAI」

欧米豪、「Spiritual KANSAI」視聴後の訪関西意向率の変化:関西観光本部
▲欧米豪、「Spiritual KANSAI」視聴後の訪関西意向率の変化:関西観光本部

一方、中国では欧米豪と比較すると、もともとのポテンシャルが高いため動画の視聴が訪関西意向率に与える影響が小さくなりました。

中国では、動画視聴後9割弱が来訪意向ありとなりました。欧米豪、中国ともに訪関西意向率は上昇していますが、欧米豪と中国では10%ほどの差異がみられます。

ただし、欧米豪では視聴前の訪関西意向率が32.4%であることから、動画の視聴が訪関西意向率向上に大きく寄与しており、訪関西意向向上度で考えると中国よりも高くなっています。

中国、「Spiritual KANSAI」視聴後の訪関西意向率の変化:関西観光本部
▲中国、「Spiritual KANSAI」視聴後の訪関西意向率の変化:関西観光本部

国際的イベント開催に対する訪関西意向率の違い

また今後関西で行われる国際的イベントについて、訪関西意向率がどのように変化するのか、欧米豪と中国で調査が行われました。

欧米豪については、2022年開催のワールドマスターズゲームズ関西においては訪関西意向率56.4%、大阪・関西万博に関しては62.7%となりました。

欧米豪、イベントによる訪日意向喚起調査:関西観光本部
▲欧米豪、イベントによる訪日意向喚起調査:関西観光本部

また、中国については、ワールドマスターズゲームズ関西での訪関西意向率は72.6%、大阪・関西万博では80.3%となりました。

中国の方が、欧米豪と比べてどの国際的イベントでも訪関西意向率が比較的高くなっている傾向が読み取れます。

特に大阪・関西万博では突出して訪関西意向率が高くなっており、大阪・関西万博への期待度が伺えます。

▲中国、イベントによる訪日意向喚起調査:関西観光本部

国内旅行需要喚起に向けた取り組み

ここまで、関西観光本部がインバウンド観光客に発信してきた情報、調査を紹介しました。

しかし長引くコロナ禍で、観光目的での国際往来全面解禁はいまだ見通しがたっていません。

そこで関西観光本部は、国内旅行需要を喚起すべく国内旅行者に向けた情報発信を開始します。その取り組みについて、以下では2つ紹介します。

全国のヤマダ電機テレビ売り場で「Spiritual KANSAI」放映へ

訪日検討層の訪関西意向率向上効果が検証できた「Spiritual KANSAI」を活用して、国内旅行検討層への関西訪問意向率をあげるべく、AV機器・電機メーカーである船井電機株式会社(関西観光本部会員企業)と新たな取り組みを開始しました。

全国のヤマダ電機1,000店舗においてFUNAIブランドテレビ新製品売り場において「「Spiritual KANSAI」–感謝・祈り編-, –巡礼編-, –侘び寂び編-, –瞑想編-がデモ動画として現在一斉上映されています。

船井電機は今回の取り組みについて「注目度が高く、圧倒的な美しさを誇る関西観光本部の動画を店舗用デモ映像に採用することで、当社新製品の色鮮やかで迫力ある映像やサウンドの再現力をより一層体感いただきたいです。」と語っています。

「Spiritual KANSAI」の魅力の一つでもある映像美を活用したユニークなPR方法といえるでしょう。

▲ヤマダ電機のテレビ売り場で「Spiritual KANSAI」が一斉上映される:プレスリリースより
▲ヤマダ電機のテレビ売り場で「Spiritual KANSAI」が一斉上映される:プレスリリースより


上質な旅を志向する人向けの国内観光サイト「Premium 関西」(第一弾)公開へ

また、関西ならではの上質な観光体験コンテンツの情報を発信する国内向けの観光サイトというコンセプトの元「Premium 関西」(第一弾)が本日2021年6月21日より公開されました。

この観光サイトが立ち上げられた狙いとして、新たな観光政策でもある“量”から“質”への対応として観光消費額の向上に資する情報発信があげられます。

特に、旅行動機として上位に位置づけられる“食”と“宿”にフォーカスし、かつ「関西でしか体験できない」、「関西ならでは」という「地域性」と「上質さ」にも拘ったコンテンツ製作に注力しています。

Premium 関西、食分野の紹介:関西観光本部
▲Premium 関西、食分野の紹介:関西観光本部

また「Premium 関西」では、安心・安全・清潔も重要視しています。

特に宿泊施設においては、プライベート空間が十分に確保されており、他の宿泊客やスタッフとの接触が少ない点や、部屋食ができることなどを重要視しています。

Premium 関西、宿泊分野の紹介:関西観光本部
▲Premium 関西、宿泊分野の紹介:関西観光本部

詳しくは以下から公式サイトを確認できます。

関西観光本部:Premium 関西

2025年訪関西意向率70%達成に向けて取り組みは続く

関西観光本部の調査では2025年の訪関西意向率70%目標達成に向けて、コロナ禍という逆風の中で2019年の訪関西意向率を維持しています。

長引くコロナ禍ですが、Withコロナ時代には、徹底した感染対策に加え、ストレスフルな状態を癒してくれる文化観光への関心の高さが自主調査で判明しました。

また今回の調査で、自らの興味関心には投資を惜しまないSIT検討層・ET層に加えて、日本が誇る関西の伝統文化との親和性が高いSBNRの取り込みが重要であることも分かりました。関西観光本部による今後の独自性・戦略性の高い施策に注目が集まります。

<問い合わせ先>

一般財団法人関西観光本部 デジタルマーケティング室長 桑原宗久

✉kuwahara-munehisa@kansai.or.jp

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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